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オランダ戦を評価するのは尚早…成果と課題を次戦に活かしてこその前進

オランダ戦で同点弾を決めた本田(左2番目) [写真]=VI-Images via Getty Images

 評価を下すのは、まだ早い。

 10月のセルビア戦とベラルーシ戦に比べれば、試合内容には明らかな改善が見られた。中欧を転戦した1カ月前の2試合は、「自分たちはどう在りたいのか。これからどう変わっていきたいのか」という思いに縛られていた。相手がいることを忘れているかのように、自分たちのサッカーを追求していた。その結果が、2試合連続無得点による連敗だった。

 11月16日のオランダ戦は違う。自分たちのサッカーを追及する先に、どうやって相手を崩すのかというはっきりとした目的があった。サッカーが柔軟性に富んだのはそのためである。

「今日は長い距離のパスもけっこうあったし、そういうところで相手に的を絞らせなかったのが一番大きかった。そのなかで2点目のような崩しが出た。それまでにウラを狙ったりしていたのが功を奏した」

 岡崎慎司はこう話す。ショートパスの連続という画一化された攻撃からひとまず脱却し、ふたつのゴールを奪ったのは、オランダ戦の意義にあげられる。

 ザックの選手起用にも触れておきたい。

 試合前のスタメン発表は、ちょっとした驚きをもたらした。西川周作、山口螢、清武弘嗣、大迫勇也の先発起用は、メンバーを固定してきたこれまでと一線を画すものだ。

 清武を2列目の左サイドで起用し、ボランチの長谷部誠を本来の右ではなく左に置いたのは、アルイェン・ロッベンを軸とするオランダの右サイドを意識したものだっただろう。その一方で、山口を海外組とともに初めて先発させ、柿谷曜一朗ではなく大迫の1トップでスタートしたのは価値を持つ。

 山口は後半からはっきりと持ち味を発揮し、大迫はチームに勢いをもたらす追撃弾をゲットした。彼ら個人の経験値を上げることはもちろん、控え選手を含めたチーム全体を刺激する効果もある。10月の中欧遠征で漂った停滞感を、払拭する足がかりとなる采配だ。後半途中で内田篤人と長友佑都を下げ、ふたりの酒井(高徳/宏樹)を起用したのも、2日後にベルギー戦が控えることを考えれば合理的な判断だ。テストマッチらしい采配である。 

 反省すべき材料もある。

 序盤の主導権を握りながらビハインドを背負ったのは、ワールドカップでチームを貶めてしまいかねない課題である。相手より先に掴んだチャンスを逃し、逆に先制点を許してしまうのは、コンフェデ杯のメキシコ戦を思い起こさせた。小さなミスをきっかけにリズムを乱し、失点によって劣勢に立たされる試合展開が、強豪国とのゲームで繰り返されている。前半13分のオランダの先制点は、原因を作った内田個人ではなくチーム全体で招いたものと理解するべきだ。2点を跳ね返した反発力は評価されるとしても、序盤の戦いぶりが物足りなさを残したことを忘れてはならない。

 引き分けという結果を、差し引いて受け止める材料はまだある。

 オランダはベストメンバーではなかった。さらに、前半の日本を苦しめたナイジェル・デ・ヨングが、後半は出場しなかった。マッチアップすることの多い本田圭佑から自由を奪い、攻撃の起点にもなっていた彼の途中交代は、ゲームに行方に大きな影響を与えた。

 プラスとマイナスを天秤で量れば、プラスに傾く。ただ、オランダ戦の成果と課題をベルギー戦に反映できなければ、チームが前進したことにならない。ワールドカップで問われるのは瞬間的な高パフォーマンスではなく、安定して力を発揮する持続力だからだ。19日に対戦するベルギーは、日本より2日早い14日にコロンビアと対戦している。中2日の日本よりコンディションはいい。また、コロンビアに0-2で敗退した事実は、メンタリティを強くする裏付けになる。急速な成長を遂げてきた実力国が、周囲を納得させる勝利を奪おうとしてくる。

 日本人の観客が圧倒的多数を占めたオランダ戦よりも、待ち受ける環境はタフだ。そのなかで、何ができるのか。オランダ戦で感じさせた前進は、チームに身についているものなのか。2013年を締めくくる評価は19日夜のブリュッセルで下される。

文●戸塚啓

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