2013.11.07

新戦力は選出されず…日本代表、強豪国との対戦控えて方向性は定まるか

日本代表を率いるザッケローニ監督 [写真]=Getty Images

 11月16日にオランダ、19日にベルギーとテストマッチを行うベルギー遠征のメンバー23人が発表された。10月の東欧遠征からは乾貴士とハーフナー・マイクが外れ、高橋秀人と大迫勇也が復帰。またけがが心配された本田圭佑をはじめ、常連選手たちも順当に選ばれた。

 高橋は8月のウルグアイ戦、大迫は9月のガーナ戦以来となるが、彼らの選出に関してアルベルト・ザッケローニ監督は「9月、10月と良いパフォーマンスをしていたので呼んだが、その前は他の選手も見たかったのでローテーションをしたにすぎない。それぞれのクラブでいいパフォーマンス、先の招集でも良いパフォーマンスをした2人なのでまた手元に置いてみたい」と説明した。

 高橋はここのところ問題にあげられるボランチ、大迫は今回も選ばれた柿谷を含め、結果を残せていない1トップでポジション奪取を狙っていくことが求められる。一方で、新潟でハイパフォーマンスを続ける川又堅碁、J1で得点王ランキングのトップを走り、経験豊富な大久保嘉人など最近のパフォーマンスから選出が期待された新戦力は選ばれなかった。

「門戸は常に全ての選手に開かれていると思ってほしい」とザッケローニ監督は語るが、ここまで選ばれていない、あるいはメンバーから外れて久しい選手たちには本大会でのメンバー入りに向けても極めて厳しい状況になったと言わざるをえない。チームが軌道に乗っている状況なら、主力をベースに新たな攻撃のオプションやプラスアルファをもたらせる選手を組み込むことも可能だ。しかし、現在は軸の部分が定まっておらず、戦術のみならずコンディションにもバラツキが生じているため、チームのパイを増やしていく余裕が無い状況だ。

 コンフェデレーションズカップの3試合とウルグアイ戦では守備、東欧遠征の2試合では攻撃に問題が出たことをザッケローニ監督は認めた上で、「そのバランスを追求したい。バランスとは守備をしながら攻撃に移る、攻撃をしながら守備のマネージメントができる」と説明する。しかし、それは相手のキャラクターが変わったことで起こった現象でもあるだろう。

 確かにウルグアイ戦後、グアテマラ戦とガーナ戦を経て守備の連動を確認し合い、攻めている中での後ろのリスク管理の部分は改善された。しかし、ボール支配率で劣勢に立たされることが予想されるオランダ戦、フィジカル面やダイナミズムでセルビアやベラルーシを上回るベルギーとの対戦では、守備も攻撃も日本が真っ向から高いインテンシティを発揮していくことはより難しくなってくる。

 もし10月を2連勝で、あるいは結果的に敗れてもチームのクオリティアップを感じさせる内容で終えていれば、それをさらなる強豪国にぶつけて、通用した部分とそうでない部分を見極めるというプランは全く間違っていない。しかし、現在は主力の攻撃陣がやろうとしていることと守備陣が彼らに求めるプレーに食い違い(例えばシュートを狙ってほしい場面でつないでカットされる、サイドチェンジが有効な場面で中央にこだわって潰されるなど)が生じている状況だ。

 攻撃陣の中でもビジョンのズレが見られる。遠藤、香川、本田は細かいパスを結び合わせて相手の守備を崩そうとするが、岡崎慎司はそうした方向性は否定しないものの「引いている相手を崩すのはそもそも簡単ではない。もっと攻守の切り替わりを使っていくべき」と語る。他にも選手間にはサイドチェンジをもっと使うこと、あるいは縦の揺さぶりを入れることを提案する声もあった。ザッケローニ監督が求める「なくてはならないのは、相手DFラインをできるだけ広げてスペースを作った上で突いて行く」というコンセプトが、東欧遠征の2試合では攻撃陣のプレーに反映されていなかったのも気になるところだ。

 本田は「新たなトライをしているところで、前と同じようにすれば得点できたかもしれないですけど、新しくやろうとしていることが上手くいかず、以前の良さが出てない。そのへんのちぐはぐさは若干あると思う。選手も監督もそこは悲観していない」と主張するが、現時点においてチームでどれだけ共有されているかは不透明だ。もちろんメディアはホテル内のミーティングや非公開練習中のやりとりを直接知ることはできない。しかし、試合中のパフォーマンスはもちろん、試合後に出てくる選手の意見にも根本に近い部分で食い違いが出ているのは明らかだ。ベラルーシ戦後に山口螢が、なかなかゴール前で実力を発揮できていない柿谷の活かし方について問題点を指摘したのはほんの一例だろう。

 チーム作りの過程において、そうした自発的な意見が出てくることは悪くないが、ビジョンや意見をチームとしてしっかり共有して、1つの方向性に持っていけるのかが重要だ。その接点はどこかで見いだせるかもしれないが、本大会から逆算したチーム作りとしては、本来ならば東欧遠征までに一定レベルまでチーム力を高めて、現在持ち得るベストの状態で世界トップレベルの強豪にぶつけることで、改めて世界基準の課題を洗い出してほしかった。

 チーム内に多くの食い違いを抱えた状態でぶつかるには、オランダとベルギーはかなり高い壁だ。攻守が噛み合った状態でも、噛み合っていなくても結局は惨敗するかもしれない。あるいは厳しい状況で踏ん張り結果を残すかもしれない。怖いのはこの時期に絶好のマッチメークになるはずの試合が、チームの方向性が一致しない状態で挑むことにより、課題が鮮明にならないまま終わってしまうことだ。

「(意見をぶつけ合うのは)いいことだと思う。どんどん出すべきだし、正直ぶつかるのが遅いくらいだと僕は思っている。攻撃においても守備においても、サッカーに対する考え方は違ってくるので、それをぶつけ合うのはポジティブだと思う。ちなみに前回のワールドカップでは、それを(本大会直前の)スイスのキャンプでやっていたので、少なくともそこは進歩だと思っている。このままだと(本大会で)負けるという危機感は、すでに今の段階で選手は抱いている。だからミーティングでも妥協は許されない」

 ベラルーシ戦後にそう語った本田の意見には賛同できるが、オランダ戦までに自分たちの方向性を確認し合い、それらを「選手たちが話し合って新しいものを監督の所にもっていく、言うのは大事で、もっとやってほしいが、監督としては解決策を見出して整理しなければいけない」と語るザッケローニ監督が取りまとめ、監督が思い描く方向性とすり合わせて明確な指示に変換させる。そうして出した回答がオランダにどこまで通用するのか、身を持って知ることができれば、続くベルギー戦にも明確なビジョンで臨むことができるはずだ。

文●河治良幸

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