2013.10.15

欧州トップレベルのDF相手に可能性を見せた柿谷…真価を問われる4点目を決められるか

柿谷曜一朗
[写真]=千葉 格

文=元川悦子

 7月の東アジアカップでの3ゴールの大活躍から、瞬く間にザックジャパンの1トップの座を勝ち得た柿谷曜一朗。「今までの日本代表のFWは、デカくてあまり足元を得意としないプレーヤーだったり、すごい足元はうまいのに得点が取れない選手の両極端だったけど、曜一朗は全てを兼ね備えている。やっとそういう1トップが出てきた」と本田圭佑に言わしめるほど、急速にチームメートからの信頼を深めている。
 
 ザッケローニ監督も非凡な得点感覚と裏への鋭い抜け出し、ディフェンスの勘のよさ、戦術理解度の速さを高く評価。8月のウルグアイ戦から主力組の1トップに据え、成長を見守ってきた。9月のグアテマラ、ガーナ2連戦では本田や岡崎慎司、香川真司らとの連係も高まり、攻撃面でいい形の生まれる回数も増えた。しかし3試合ノーゴール。この結果は柿谷の不完全燃焼感を煽ったに違いない。
 
「一番前で出てる以上、ゴールっていうのはつねに求められますし、そこは僕の仕事としてやらないといけないこと。切り替えの速さを上げたり、守備の面で周りを助けてあげるとか、チームのみんながプレーしやすい環境を作ることをもっとしていかないといけない」と柿谷。勝利に貢献できるような仕事を見せたいと肝に銘じた様子だった。
 
 それだけに、今回の10月2連戦での一挙手一投足が注目された。柿谷が欧州の地でプレーするのは2008年のレアル・マドリードの練習参加以来だという。U-17の頃はエースとして世界を転戦していた彼も、その後の伸び悩みとJ2徳島ヴォルティスへのレンタル移籍によって、世界基準を実感する機会から長く遠ざかっていた。

 日本と欧州では気象条件もピッチコンディションも、対戦相手の能力も違う。ノヴィサドの練習でも、予想しない弾み方をするボール処理に戸惑う彼の姿があった。加えて、セルビア守備陣はイヴァノヴィッチ、ナスタシッチら世界トップクラブ所属選手がズラリと並ぶ。屈強なDFに華奢な男がどこまで持てる力を見せるかが気になるところだった。
 
 案の定、日本は激しくプレスをかけてくる相手に悪い形からボールを失い、次々とカウンターを仕掛けられた。柿谷は本田らと絡んで前線で起点になったり、際立った守備力を誇るDF陣の間に抜け出しかけるなど、潜在能力の高さを垣間見せる。しかし彼のほしいタイミングでパスが出てこなかったり、中盤の組み立てでミスが続き、特に前半は孤立するシーンが目立った。
 
「大きい相手にスピードでは勝てると思ってたんで、裏へ抜け出すとか、カウンターの切り替えは意識してやってましたけど、結果は出えへんかったら一緒。もっと周りとタイミングを合わせることが一番大事だと思いました。自分としては裏を狙い続けるだけですけど、ボールがこない時は下りて受けてもいい。そのあたりはもっと話し合いながらやる必要がありますね」と反省を口にする。
 
 その悔しさを後半にぶつけるべくピッチに立った開始9分。内田篤人の浮き球のボールが岡崎につながり、彼がドリブルで崩して中へ入れたボールがフリーの柿谷に通った。GKとの1対1ならJリーグでもしょっちゅう決めている。冷静に蹴れば先制点を奪えるはずだった。しかし、彼のシュートはGK正面に飛び、日本は均衡を破れなかった。失点を喫したのがその4分後というのも痛かった。結局、柿谷はこの日も無得点のまま後半23分に清武弘嗣と交代し、ベンチに下がった。
 
「1対1を決められないのが自分の課題。いい形でボールを回せてる時もあったけど、最後にゴールにつながらなかったら一緒なんで。今日の自分自身の評価は0点」と彼は今回も自分に厳しかった。
 
 それでも、イヴァノヴィッチら強靭なDFに物怖じすることなく戦えたのは大きな収穫だ。
 
「セルビアのDFに驚き? 全然ないです。いいディフェンスは日本人も含めて何人もいますから。だからイメージがなかったわけじゃないしね」と強気の口調でコメントする。
 
 次のベラルーシもセルビア同様、自陣で人数をかけて守備ブロックを構築する堅実な戦い方が想定される。柿谷がまたも大柄なDFに壁を作られるだろうが、相手の個人能力はイヴァノヴィッチらより下がる。ゆえに、代表4点目となるゴールを今度こそ奪い、1トップとしての強烈な存在感を示す必要がある。
 
「ベラルーシ戦はやるからには絶対に勝ちたい。日本のいいところを出せるように頑張ります」と改めて勝利への意欲を前面に押し出した柿谷。本田が言う「全てを兼ね備えたFW」の底力を今こそ見せつけてほしいものだ。

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