2013.10.12

マンUで出番激減の影響かミス連発で途中交代。ゴール前の鋭さが陰を潜めた背番号10

香川真司
決定機を逃し、頭を抱える香川 [写真]=兼子愼一郎

 移籍2年目のマンチェスター・Uで今季プレミアリーグ出場わずか1試合にとどまっている香川真司。新指揮官であるデイヴィッド・モイーズ監督の采配や思惑、ライバル選手たちの活躍が連日、メディアを賑わせるなど、香川を取り巻く現状は日本中の注目の的となっている。

 こうした雑音をシャットアウトするかのように、10月2連戦(11日=セルビア戦、15日=ベラルーシ戦)に挑むザックジャパンに合流してからの彼は、報道陣を極力避けていた。合宿2日目に「アウェーで日本代表がいい結果を残していないことは1人1人自覚している。ヨーロッパでやっている選手が多いからアウェーの難しさはつねに感じてるし、代表がいきなり集まって戦うのは本当に難しい。そこで自分たちが主導権を握ってやれるかにチャレンジしたいし、勝って得点もいい形で生まれるようにやりたい」と代表チームに特化した話をわずかにしただけで、それ以外の質問にはほとんど答えなかった。

 香川自身、とにかくピッチ上でいいパフォーマンスを見せることで、浮上の手ごたえをつかむとともに、周囲の懸念を封印したかったのだろう。

 だが、ノヴィサドで行われた11日のセルビア戦は思い描いたシナリオ通りにはいかなかった。同国代表の名選手であるデヤン・スタンコヴィッチの引退試合が冒頭10分間に盛り込まれ、普段とは違った入りを強いられたこともあり、日本代表は完全に受けに回ってしまう。香川自身も予想外のミスを連発。不用意なボールロストからカウンターを何度も食らった。

「引退試合ということで、違った雰囲気は多少あったのは事実ですけど、僕たちはそんなのは関係なしにやろうと試合前から言ってましたし、自分たちのメンタルの状況次第だと思ってた。でも明らかに立ち上がりは入り切れてなかったですね。最初はピッチ状態に慣れにくかったのも事実で、自分も単なる技術的なミスを何回も繰り返した。それは時間を追うごとに慣れてきましたけど、エンジンがかかるのが遅かったのがクラブの状況によるものなのか…。試合に出てないのが事実だからこそ、わからないですね」と香川も戸惑いを口にした。

 相手のアントニオ・ルカヴィナ(バジャドリード)とドゥシャン・バスタ(ウディネーゼ)の右サイドコンビのプレスも厳しく、日本の生命線といわれる長友佑都(インテル)と香川のタテ関係も思うようにサイドを崩せない。タイトに寄せてくる相手をかわそうと、前半の香川は中央に入ったり、右に流れたりもしながら果敢に得点機を伺った。31分には本田圭佑(CSKAモスクワ)→長谷部誠(ニュルンベルク)とつながったボールを前線で受け、GKと1対1になるが、絶好のチャンスを外してしまう。ドルトムント時代なら冷静に決めていたような場面で外してしまうのも、目に見えない焦りがどこかにあったのかもしれない。それでも日本は0-0で前半を折り返し、香川は残り45分間に巻き返しを期した。

 けれども、セルビアは後半、攻撃を一段と加速させてきた。そして59分のFKからドゥシャン・タディッチ(トゥウェンテ)に先制点を奪われると、日本は一段と苦しくなった。ブラニスラフ・イヴァノヴィッチ(チェルシー)らDFのタレントを並べるセルビアの守備ブロックはどこまでも堅牢で、簡単にはこじ開けさせてくれない。ザッケローニ監督は岡崎慎司(マインツ)をトップに上げる布陣変更に打って出たが、それも不発。香川はは残り5分というところで退く羽目に陥った。その直後にカウンターから2点目を失ったのだから、本人もいたたまれない気持ちになったに違いない。

「ブロックを敷かれた状況で攻撃の糸口は正直、見つからなかったですし、自分も攻撃で違いを示すことはなかった。やっぱり最後のアイディアがなければ崩せないというのをやりながらすごく感じてた。単にクロスボールを放り込んでも厳しいっていうのも目に見えていた。佑都が仕掛けて上げた場面も2~3本崩されていたし、バイタルに1本当ててイヴァノヴィッチの前にもう1人入ってくる動きとか必要でしたけど、攻撃の連係もうまくいかなかった。カウンターの精度を高めるとか、何かアクションを加えないと厳しいですね。僕自身、率直に言ってすごく消化不良です」と香川も顔を曇らせるばかりだった。

 その表情は絶好調だったドルトムント時代とは明らかに違っている、いい時の彼は何事にも強気な姿勢を見せるが、いったん自信を失い始めるとどんどん消極的になりがちだ。この日も苦悩の深さを垣間見せていた。このままマンチェスターに戻っても、苦境脱出は叶わない。とにかく次のベラルーシ戦(ジョジナ)で本来の創造性とキレ、前線での鋭さと決定力の高さを取り戻すことが先決だ。

 今の日本代表が得点の迫力を欠いているのも、香川がベストの状態からかけ離れていることが大きい。この男がゴール前で凄みを増してこそ、日本は世界を凌駕できる。その自覚を持って、次こそ結果を出してほしい。

文●元川悦子

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