2013.10.04

大久保、寿人ら招集外…得点ランク上位が日本代表に呼ばれない理由

Jリーグで得点を重ねる大久保(左)と佐藤(右) [写真]=Getty Images

 3日、日本代表の東欧遠征メンバーが発表され、センターFWとして柿谷曜一朗(C大阪)とハーフナー・マイク(フィテッセ)の二人が招集された。

 ここで突然だが、J1リーグの得点ランキングを見てみよう。 

1位(19得点)=大久保嘉人(川崎)
2位(17得点)=渡邉千真(FC東京)、佐藤寿人(広島)
4位(16得点)=工藤壮人(柏)、川又堅碁(新潟)、柿谷曜一朗(C大阪)、豊田陽平(鳥栖)、マルキーニョス(横浜FM)
9位(14得点)=大迫勇也(鹿島)

 10位は10得点と大差が開くので、この9人が今季J1リーグの得点ランク上位者と言えるだろう。単純にランキングで言えば、柿谷と同格の日本人選手が3人いて、その上に3人の選手がいることになる。「どうして佐藤、渡邉、大久保の3人は代表に縁がないんだ?」というのは、ある意味で当然の疑問と言えるだろう。

 代表というのは基本的に同ポジションの選手同士による相対評価で決まるものであるが、その評価の基準は代表監督の内にあり、そして評価はチーム全体を考えながら決まるものでもある。自身の戦術、選手間の組み合わせ(つまり相性や人間関係)、コンディション、そして起用法(先発か、交代で流れを変えるスーパーサブか)を考えながら、選抜される。また大会直前であれば、グループリーグでの対戦相手との噛み合わせなども考慮されることになるだろう。たとえば、日本代表が高さに弱点を抱えるチームと見て、194cmのケネディを招集した2006年ワールドカップの豪州代表・ヒディンク監督のように。身も蓋もない言い方だが、「代表選手は監督によって決まる」というのが一つの真理だ。何を重視して、何を軽視するのか。「候補全員を代表に選ぶ」という選択肢はあり得ないだけに、それぞれの監督が自分で物差しを用意することになる。

 ただし、ストライカーに関しては、外野からの活発な議論が発生する。これは何も日本に限った話ではない。サッカー選手の実力は数字に表しづらいものがあるが、ことストライカーに関しては「得点ランキング」という極めて分かりやすい指標があるからだ。得点ランク上位者で代表待望論が存在しない選手は一人もいないだろう。たとえば、柿谷を外して佐藤寿人や大久保嘉人、あるいは渡邉千真を招集したとしても、異論噴出となるのは火を見るより明らかだ。

 そもそも日本は1トップを採用しているので、基本的にセンターFWの招集枠が「2」と狭き門であることも留意しておく必要がある。対戦相手や状況に応じて選手を選択できるように、違うタイプの選手が欲しいのは監督として当然のこと。高さのある選手を欠く日本の場合、センターFWはセットプレーでの“防空要員”にもなるので、最低一枚は高さのあるタイプが欲しい。よって、佐藤と柿谷の双方を招集するという選択肢は最初からザッケローニ監督にはない。今回、長身の豊田陽平ではなくハーフナーが呼ばれたのは(決して大久保や佐藤との比較ではない!)、欧州開催で欧州組をテストする好機と考えたからだろう。昨季のパフォーマンスで大きく評価を落としたハーフナーだが、今季は随分と調子を戻してきている。11月のベルギー遠征(オランダと対戦)ではベストメンバーの招集を示唆しているだけに、ここでもう一度チャンスを、といったところだろう。ハーフナーにしても、Jリーグ時代の2011年には日本人トップとなる17得点を記録していた選手であるから、「調子さえ戻れば」という思いはあるのだろう。

 調子と言えば、「現時点で好調の選手」と、「来年のW杯で好調の選手」が決してイコールではないという問題もある。監督は神様ではないので、そこを完全に見通すのは難しい。逆にW杯イヤーに調子の良い点取り屋を最後に加えるという手法は、1990年のイタリアW杯得点王となったスキラッチといった例を持ち出すまでもなく、W杯のような短期決戦における一つのセオリーだ。そうしたやり方は、ザッケローニ監督も視野に入れているはずだ。

 もっとも、こうした「FW議論」が活発化するということ自体は好ましいことのように思われる。かつてJリーグのトップクラブは軒並み助っ人ストライカーに依存しており、得点ランクに並ぶのは彼らの名前ばかりだった。ところが現在は冒頭にあげた得点ランクのように、日本人FWの名前が並び、「なぜ○○を呼ばないのか?」と言われる選手が多数いるようになった。強力な外国籍FWが日本に来なくなってしまったことの裏返しでもあるわけだが、日本代表にとっては「選びたいFWがいない」といった状態よりもずっと良い。各チームの「柱」になるような日本人FWが多数育ち、来年のW杯を前に「少なくとも誰かの調子は良いだろう」と思える現状、代表監督に「豊富な選択肢がある」という状況は、そう悪いモノではない。

文●川端暁彦

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