2013.09.11

決意のガーナ戦で結果を残した香川、クラブでの巻き返しを期す

香川真司
ガーナ戦では同点弾となるチーム1点目を決めた香川 [写真]=嶋田健一

 9月2連戦のラストとなる10日のガーナ戦(横浜)。18時間の長時間移動で来日したうえ、ケヴィン・プリンス・ボアテング(シャルケ)やマイケル・エッシェン(チェルシー)ら主力を欠く相手に対し、日本は序盤から主導権を握り、連動した攻撃を仕掛けた。が、6日のグアテマラ戦(大阪)同様、最後の詰めが甘い。前半23分にはロングパスに抜け出した清武弘嗣(ニュルンベルク)がGKラザク・ブライマー(グアダラハラ)と1 対1になったが、守護神の鋭い反応に阻まれ、決定機を逃してしまった。

 この直後、ザックジャパンは予期せぬ失点を食らう。カウンターを仕掛けたガーナは、マジード・ワリス(スパルタク・モスクワ)が右サイドを抜け出してヒールで流したところにアルバート・アドマー(ミドルスブラ)が侵入。これを今野泰幸(ガンバ大阪)、香川真司(マンチェスター・U)が止めきれず、長友佑都(インテル)に当たってボールがファーサイドにこぼれた。ここに飛び込んだフランク・アチェンポン(アンデルレヒト)がシュート。内田篤人(シャルケ)に当たってコースが変わる不運もあったが、日本にとっては非常に痛い先制点だった。

 電光石火の一撃で勢いに乗ったガーナが何度かカウンターを繰り出すようになり、日本守備陣はヒヤリとさせられた。「何度か危ない場面があった。2点3点取られてもおかしくない状況だった」と遠藤保仁(G大阪)も反省する。ザッケローニ監督も苛立つ展開のまま0-1で前半を折り返した。

「ハーフタイムに『これを乗り越えられるか』と自分に問いただしてプレッシャーをかけた。相手のラインがバラバラでスペースが空いていたんで、簡単にゴールが取れると思ったのに、前半は周りとの距離感が遠かった。蒸し暑さで自分の体が重く動きも鈍かった。それを何とかしないといけないと思って後半に入りました」とエースナンバー「10」をつける男は強い決意を持って後半に挑んだ。

 その言葉通り、香川は後半5分に自ら結果を出す。長友からパスを受け、左サイドから強引にえぐって遠目から右足ゴール。高い個人技を示した同点弾は、グアテマラ戦の不完全燃焼感を払拭するのに十分だった。

「ニアを突こうという意識はあった。中に入った時、空いていたんで、もう1つ持ち込んでシュートっていうイメージができていた。思い切りのよさも全部出ました。無心でしたけど、いい感覚があったからよかったです」と本人も安堵するゴールが日本を救った。

 その後、本田圭佑(CSKAモスクワ)とのワンツーから遠藤が2点目を叩き出し、遠藤のFKから本田がダメ押しとなる3点目をゲット。ガーナが後半になってトーンダウンしたのも幸いし、日本は3-1で勝ち切ることができた。グアテマラ戦後は「正直、ムカつく」と苛立ちを募らせた香川も、この日は納得した表情を見せていた。

 今季、クラブで出場機会を得られていない彼にとって、このガーナ戦は非常に大きなアピールの場だった。今回の2連戦のために帰国した際、クラブで出番がないことを報道陣に問われた香川はさっと顔色を変え、非常にナーバスな様子をのぞかせた。デイヴィッド・モイーズ監督の秘蔵っ子であるマルアン・フェライニがエヴァートンから移籍してきたことも、胸中を複雑にしていたのだろう。2010年夏のドルトムント移籍以降、比較的順調なキャリアを歩んできた香川がかつてない大きな壁にぶつかっているのは間違いない。それを克服するためにも、どうしても日本代表でゴールという目に見える結果がほしかった。そのノルマを達成し、彼の目にようやく輝きが戻った。

「クラブで試合に出ていないんで、こういう緊張感ある試合をやってなかった。やっぱりこういうゲームをやるのはすごくいいことですね。自信や勢いを取り戻す意味でも今日はゴールを取りたかった。今、マンチェスターで試合に出てないのはもちろん問題かもしれないけど、新しいシーズンが始まって監督が変わったことは自分の中でも受け止めています。でも帰ってからチャンピオンズリーグもあるし、この前のリーグ戦でも負けているんで、チャンスは絶対に出てくる。ここからが本当の勝負だし、本当に気が抜けないと思っているんで、コンディションを上げて頑張ります」と香川は努めて前向きにコメントしていた。

 このガーナ戦では単に1点を奪っただけでなく、本田や柿谷曜一朗(セレッソ大阪)といい連携を見せてチャンスを数多く作り、守備面でも献身的な姿勢を前面に押し出した。ガーナの1点目の場面に絡んだことを「自分の責任」と受け止め、その後は懸命に下がってカバーに入り、ボールを奪いに行った。そういう動きができたのも、コンディションが上向いている証拠だ。

 6月のコンフェデレーションズカップ(ブラジル)を戦い、オフを長く取ったことで同じく出遅れた吉田麻也(サウサンプトン)も「まだプレミアが3試合終わっただけ。僕にしても真司にしてもスタートが遅れただけなんで、ここから巻き返していければいいと思います」と共闘宣言をしていたが、体のキレとゴール前の鋭ささえ取り戻せば、香川は必ずいい仕事ができるはず。ガーナ戦でのスキルの高い得点シーンを脳裏に焼き付けて、マンチェスター・Uでの戦いに身を投じ、生き残りを果たしてほしい。

文●元川悦子

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