2013.09.07

劇的な連携向上を見せた本田圭佑と柿谷曜一朗。ザックジャパンの新ホットライン完成へ

後半開始時からともにピッチに立った本田(右)と柿谷(左) [写真]=白井誠二

 2列目に岡崎慎司(マインツ)、香川真司(マンチェスター・U)、清武弘嗣(ニュルンベルク)、1トップに大迫勇也(鹿島アントラーズ)というフレッシュな攻撃陣を並べながら、引いて守るグアテマラを相手に攻めあぐねた前半の日本。アルベルト・ザッケローニ監督は後半に挑むに当たり、早々と2枚のカードを切った。本田圭佑(CSKAモスクワ)と柿谷曜一朗(セレッソ大阪)を投入。彼ら中央の縦のラインを軸に、攻めを活性化させようと試みたのだ。

 その思惑通り、2人の加入によってゴール前の推進力は一気に加速した。本田がボールを持った途端、攻撃のスイッチが入り、左サイドの長友佑都(インテル)が一気に駆け上がってチャンスを作る。柿谷も香川も彼らの意図を感じ取り、スムーズに動いてゴールを伺う…。日本の攻めは前半とは明らかに異なるリズムに変化した。

 迎えた後半5分。長谷部誠(ニュルンベルク)の縦パスに反応した長友が目の覚めるようなクロスを蹴り込んだ。これに反応した柿谷がニアサイドに鋭く切れ込み、DFとGKを引きつける。そしてファーサイドでフリーになった本田がヘッド。ついにグアテマラゴールをこじ開けることに成功する。

「何よりもボールがよかった。競り合うこともなくボールを当てに行っただけ。だけど強い相手とやるとどうなのかな…。ダヴィド・ルイス(チェルシー)とだったら、たぶん触ってたのかなっていう気がします」と本田はあくまで自分に厳しかったが、いい連携からの得点という意味では満足そうだった。

 この場面を筆頭に、柿谷と本田のコンビは8月のウルグアイ戦(宮城)より劇的に向上した。前回のゲームは相手が強かったこともあり、柿谷は「周りを生かそう生かそう」としすぎてボールタッチが極端に少なくなった。「圭佑君たちのスペースを空けるように自分が受けないようにしてた」と彼は説明したが、あまりにもボールが出てこず、苛立ちや戸惑いが多少なりともあったはずだ。けれども今回は、本田からパスを受けて、攻めの起点になる回数が目に見えて増えた。3-0の快勝もこうした効果だといっても過言ではない。

「僕がサイドに流れてしまうと一番前がいなくなる。このチームの1トップはディフェンスラインを下げて、バイタルを空けるのが一番大事だと思っています。前向いて強引に仕掛けることはいつでもできる。周りとの連携を強く意識して、時と場合によってチームプレーと自分のプレーを使い分けしていけるようにならないといけないですから」と強調するように、柿谷はバランスを考えつつプレーにメリハリをつけながら動いた。本田ら主力と組むのはまだ2試合目なのに、ここまで周りに順応できるのは、高度なインテリジェンスを備えている証拠。10代の頃から「天才」と称されてきた男は、やはり只者ではない。

 そんな柿谷を、本田も改めて絶賛していた。

「曜一朗は点は取れなかったけど非常に(ボールが)収まるし、ようやくこういうタイプの1トップのプレーヤーが出てきたなという感じがします。今まで日本代表のFWって割と両極端というか、デカくてもあまり足元を得意としないプレーヤーだったり、逆に足元はうまくても前で得点を挙げられない選手だったりしたけど、曜一朗は全てを兼ね備えている。これまでは攻撃の時はわかり合っているプレーヤーでパス交換することが多くなっていたけど、今後、曜一朗もそういう中に入ってくる気がします」と新たなホットライン完成に大きな期待を示した。

 グアテマラ戦は柿谷と一緒にプレーする時間こそなかったものの、その能力の高さを熟知するC大阪の元チームメート・清武も「曜一朗は技術もあるしポストプレーもうまいし自分でも仕掛けられるから、いろんな選手とコミュニケーションを深めていけばもっとよくなる」と太鼓判を押した。彼らザックジャパン既存戦力の柿谷に対する信頼は、この日の45分間でグッと深まったのだ。

 当の本人は「いろいろ試すという意味ではいい機会だったけど、今回はプレッシャーもぬるかったし、この相手にできなかったら世界ではやれない。もっと強い相手や強豪国とやった時にどうなるかだと思う」と慎重な姿勢を崩さなかった。そして「次のガーナがどのくらい強いのかは正直、僕もまだ代表に入ったばかりでわからない。いろいろ聞いたりビデオを見ながらどうするか考えたいですね」と、いち早く4日後の世界基準の勝負に目を向けていた。

 ガーナは6日にザンビアとの2014年ブラジル・ワールドカップ、アフリカ2次予選最終節をホームで戦ってから強行日程で来日するため、コンディション的にはかなり厳しいだろう。それでもケヴィン・プリンス・ボアテング(シャルケ)やマイケル・エッシェン(チェルシー)らタレントの揃うスター集団であることには変わりない。そこで本田と柿谷が息の合ったプレーを見せ、得点チャンスを数多く作ってくれれば、彼らのホットラインも本物だ。

 そういう視点でガーナ戦を興味深く見守りたい。

文●元川悦子

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