2013.08.31

ザックが求める「バランス」…チーム全体に攻守への貢献の再徹底を

ザッケローニ
日本代表を率いるザッケローニ監督 [写真]=Getty Images

 大量失点、守備崩壊と騒ぎ立てる周囲をよそに、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は、自身の哲学を曲げることはなかった。

「守るための守備をするのではなく、次の攻撃に繋がるための守備をしようという哲学を持っている」

 日本代表は、6月のコンフェデレーションズカップと14日に行われたウルグアイ代表戦の4試合で、実に13失点を喫した。減らない失点と重なる黒星もあって、9月に行われる「キリンチャレンジカップ2013」の2試合に臨む代表メンバー発表会見の席では、守備に関する質問が相次いだ。守備陣の再編成を望む声も少なくないが、指揮官は世間を牽制するかのように、「失点を1人の選手やDFラインだけのせいにするのは簡単な事。他のパートや他選手との絡みを考慮することが大切だと思っている」と語り、チーム作りにおける自身の考えを今一度、周知させた。

「攻撃をするときにDFラインの選手が1番最初のアタッカーだと、そこからはじまると。それとは逆に守備のときは1列目の選手から守備をすることが大切だと思う。チームとしてまとまって機能しているとき、特に我々は守備一辺倒でやるようなことはしていないから、攻撃と守備をしっかりとこなすということが大切になる」

 指揮官自身が度々口にするように、現在の日本代表において、「バランス」が持つ意味は非常に大きい。コンフェデレーションズカップでイタリアから3点、14日の試合ではウルグアイから2点を奪った。失点過多という状況は、得点力の高まりと相まって、チーム全体のバランスが少なからず崩れていることの裏返しと言える。

 ザッケローニ監督も大量失点が続いている要因に選手のコンディションを挙げるとともに、「チーム全体の守備問題としてバランスを調整しようかなとは思う」と、解決策にも言及した。敗戦が重なったこともあり、矢面に立たされた形となった守備陣だが、指揮官の信頼は揺らいでいないようである。

「DFラインのメンバーは心の底から信頼している。例えば世界中から好きなDFを取っていいと言われても、そんなに大きくは変えたくないと思わせるほど、信頼しているメンバーばかり」

 守備陣への厚い信頼は、言葉とともに、発表されたメンバーにも反映されている。

 DFにはウルグアイ戦と同様の8選手が名前を連ねたが、変化はウルグアイ戦のメンバーからは駒野友一が外れ、酒井宏樹が復帰しただけである。常連だった高橋秀人が外れたMFや大迫勇也と齋藤学が復帰を果たしたFWと比べて変更点が少なかったことは、大量失点の責任が守備陣だけのものではないことへの証明と言えるはずだ。

 そして、バランスの修正という観点から見れば、大迫と齋藤の復帰理由が興味深い。

 ザッケローニ監督は、「大迫はボックス内に入ってくる動きや、そこでのフィジカルの強さやダイナミズム、ポストプレーの上手さ、シュートに絡める柔軟性だったりを評価している。最近はゴールに向かう姿勢、ゴールの数が伸びてきた。齋藤は相手に的を絞らせない動きや一対一での強さ、仕掛けの恐さを持っている。オフザボールの動きで相手のDFラインの裏に走り込んだり、非常に運動量がある」と語った。それぞれの特長への評価を明かしたが、両選手の共通点にも触れている。

「2選手に言えることは、攻守両面でチームに貢献できること。選考する中で全ての日本人選手を注意深く見ているが、大切なことは攻守両面でチームに貢献できることを大切にしている」

 ザッケローニ監督も、失点や黒星が続いていることには、気を揉んでいるはずである。ただ、会見での言葉や前線にも守備への貢献を求める選手の選出理由を考えれば、守備陣がヒステリックなまでに批判を浴びている現状は、指揮官の目には見当違いに映っている可能性は否定できない。

「就任当初は決定力不足と言われ、そこの問題点から改善しようと着手した。そこはある程度整備できたので、これからは違うステップを改善していこうと思う」

 守備陣の再編成で失点の減少を期待する声は根強い。一方で、選手をすげ替えるだけならば、再び壁にぶつかった際、チーム作りは行き詰まってしまうだろう。

 指揮官は何度も、「大切なことは全員が攻守に働くこと」と語った。

 ワールドカップまで、残すは10カ月弱。日本代表を新たなステージに押し上げる第一歩は、チームの本質的な部分の再徹底から始まる。

文●小谷紘友

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