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得意のドリブルからゴール。2列目競争へアピールした「ハマのメッシ」への注文/齋藤学

25日のオーストラリア戦で先制点を決めた齋藤 [写真]=Kenji YASUDA/Photoraid

 3-3のドローに終わった21日の東アジアカップ初戦・中国戦(ソウル)からメンバー総入れ替えという選手たちも驚く陣容で25日の第2戦・オーストラリア戦(華城)に挑んだザックジャパン。初めてキャプテンマークを巻いた高橋秀人FC東京)筆頭に、立ち上がりの日本は慣れないメンバーゆえの固さも垣間見えた。

 そんな重苦しい空気を一掃したのが、開始8分、右サイドアタッカー・斎藤学(横浜F・マリノス)の切れ味鋭いドリブル突破だった。深い位置までえぐって逆サイドの山田大記ジュビロ磐田)に折り返したボールは、残念ながら得点にこそ結びつかなかった。それでも「自分のところで相手のサイドバックに1対1で勝とうと思って試合に入って、1本目でいいドリブルができた。そこから相手を圧倒しようと思った」と本人が話すように、このワンプレーで大きな自信と手ごたえを得たのは確かだ。「自分の持ち味を前面に押し出そう」という貪欲な姿勢を目の当たりにして、チームメートも闘争心を掻き立てられたことだろう。

 そこから齋藤と山田が頻繁にポジションチェンジを繰り返し、手薄になっていた相手の両サイドを徹底的に突いていく。練習で確認していた通りのオーストラリア攻略法で日本は完全に主導権を握った。そして26分、齋藤にとって最大の見せ場が訪れる。左サイドでボールを受け、中央にドリブルで切りこんだ彼がDF2人をかわし、右足でGKのタイミングを外すループシュートをゴール左隅に蹴り込んだのだ。

 さすがは「ハマのメッシ」の異名を取る男である。横浜のチームメート・栗原勇蔵も「学はすごいいいシュートを決めた。完封して勝ってたら完全にヒーローだった」と賞賛する技あり弾で、日本は幸先のいい先制点を手に入れた。

「うまく相手の間を突こうと思ったら全然ついてこなかった。オーストラリアの選手は日本人よりデカいけど遅いので、1対1はしやすかったです。ゴールが入ってよかったと思います」と彼自身、国際Aマッチ2試合目の代表初ゴールを素直に喜んだ。

 前半はその後も前線に果敢に飛び出してチャンスに絡み、後半に入ってからも大迫勇也鹿島アントラーズ)が上げたチーム2点目の場面では、豊田陽平(サガン鳥栖)からのパスをスルーして相手を引きつけるという見せ場を作った。中国戦で1得点1アシストの華々しい活躍を見せた柿谷曜一朗セレッソ大阪)、工藤壮人柏レイソル)の2人に負けじ劣らず、ザックジャパン最激戦区である2列目争い参戦を力強くアピールしていた。

 しかし「ゴール以外、チャンスらしいチャンスがなかった」と齋藤自身、不満顔をのぞかせたように、時間の経過とともに存在感が薄くなっていったのも事実だろう。彼は一瞬のキレが鋭く、先発で出た時は常に献身的でダイナミックな仕事をするため、体力的な消耗も非常に激しい。ロンドン五輪代表でジョーカー的に使われたのも、試合の中で体力面やパフォーマンス含めていい時悪い時の波があるからではないか。この日も先制点という素晴らしい活躍を見せたがゆえに、後半29分の途中交代という右肩下がりの仕事ぶりには若干、物足りなさも感じられた。

 結局、齋藤が下がった後、日本は2-0から2点を返されて一時は同点に追いつかれた。そして2試合連続ドローに陥りかねない窮地からチームを救ったのが、3点目を奪った大迫だった。東アジアカップ初勝利の原動力となった1つ年下の点取屋に一番おいしいところを持っていかれて、ハマのメッシも悔しさが残ったはずだ。

「今回のオーストラリアは日本にとってはやりやすい相手。体力的にもきつそうだったのは間違いなかった。もっと圧倒して勝たなきゃいけなかったかなと思いますけど、こういう国際試合の難しさはずっと前から感じてること。ホントになかなか勝てないもんなんです。だからサコ(大迫)の2点がすごく大きかった」と大迫に賛辞を送るとともに、不完全燃焼感を打ち明けた。

 齋藤が1年後の2014年ブラジルワールドカップで生き残りたいのであれば、香川真司(マンチェスター・U)や岡崎慎司(マインツ)のように苦しい時も運動量や精度を落とさず、つねに安定したプレーを見せる必要がある。堅実志向のザッケローニ監督は平均点以上のパフォーマンスをコンスタントに見せられる人間を重用する傾向がより強い。齋藤もそういう計算できる選手にならなければならない。

 さしあたって28日の最終戦・韓国戦(ソウル)はその重要な試金石。1年前のロンドン五輪3位決定戦で敗れた宿敵に、自らのゴールでのリベンジを果たせれば、未来への希望が開けてくる。オーストラリア戦を前向きな方向に生かすしかない。

文●元川悦子

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