2013.07.18

東アジア杯でザックは何を望むのか…W杯への切り札発掘なるか

ザッケローニ
東アジアカップ2013を「新しい選手にチャンスを与えることにした」と語ったザッケローニ監督 [写真]=鷹羽康博

 まさしく、新戦力発掘に狙いを絞った人選となった。なにしろ初招集は7選手、国際Aマッチ未出場は15選手にも上った。

 アルベルト・ザッケローニ監督が15日に行われたメンバー発表会見で、「今回は新しい選手にチャンスを与えることにした」と語ったように、東アジアカップに臨む日本代表のメンバーには新顔がズラリと並んだ。国際Aマッチ75試合出場を誇る駒野友一を例外に、代表戦出場10試合台の栗原勇蔵と槙野智章の3人を除けば、全選手が国際Aマッチ出場は1ケタか0である。

 一見すれば、全ポジションで万遍なく新戦力を招集したようにも見える。しかし、やはりと言うべきか、攻撃陣への期待度の高さを窺わせる選考となった。守備陣では前述した駒野、栗原、槙野の3選手の他、現政権当初に呼ばれていた森脇良太を含めれば、東アジアカップでベースとなる顔ぶれは、うっすらながら見通せる。一方で、中盤から上に目を移せば、高橋秀人と原口元気以外は全選手が代表キャップを記録していない。高橋は継続招集されているが、代表出場1試合の原口は約10カ月ぶりの復帰である。新たなアタッカーを渇望している様子が垣間見えてくる。

 ザッケローニ監督の考えは、まず攻撃ありきである。今回の会見でも「基本的な考え方として、ワールドカップでは守るだけのプレーをするつもりがない。頭の中には、自分たちのサッカーを積極的に出すことを思い描いている」と語った。実際に今野泰幸と吉田麻也という足もとの技術が高いセンターバックを起用している点からも、チーム作りのスタートは攻撃であることは間違いない。今回のメンバー選考でも、FW登録だけで実に7選手を呼び寄せたことも頷ける。

 そして、期待をかけるアタッカー陣の中でも、最も望むのは試合の流れを変えられる切り札的な存在“ジョーカー”ではないか。

 現在の日本代表は、ワールドカップ予選突破のために、先発する選手を固定してきた副産物として、メンバーの硬直化や交代カードが限定的になっていたことは否めない。1-0の勝利を収めた昨年のフランス戦、3-4と打ち合った末に敗れたコンフェデレーションズカップのイタリア戦を考えれば、コンディションなどの外的要因などに左右されるものの、世界の強豪国相手に打ち合うことや場合によっては勝利を収めることもあり得る。一方で、コンフェデのブラジルやメキシコとの試合では、先制点を取られて反発力を示せないままに敗れ去った。潜在能力の高さには、脆さも内包しているのである。

 アジアでは地力で巻き返せていた点が、強豪国との連戦となって3戦全敗したコンフェデでは、覆い隠せずに白日のもとに晒される結果となった。

 ザッケローニ監督は、6月に行われたイラク代表戦前に「ワールドカップ予選、コンフェデまでを現代表の区切りにして、そこからは本大会に向けて1年ということで、最終章に入る」と語っていたが、言葉通りにチーム作りも最終過程に入って来ている。「全員がスタート地点に戻り、そこから競争が始まる」という言葉も聞かれたが、強豪とも競える状態にまで持ってきたチームを解体して、実際にメンバー選考を白紙に戻すとは考えにくい。東アジアカップに向けた会見でも、「現状の代表メンバーに入り込むのが難しいことは、これまでやってきたメンバーがいかにいいパフォーマンスを見せているかということで、非常にポジティブなこと」と語っている。

 だからこそ、戦力での上積み、劣勢での反発力を生み出せる“ジョーカー”の存在を望んでいるはずである。

 幸運にも東アジアカップ後には、8月にウルグアイ戦、9月には国内での連戦、秋には欧州遠征が控えている。東アジアカップで結果を残した選手をチームに組み込みやすい日程が組まれた。ただ、当たり前だがファンやメディアの待望論でメンバーが決まるわけではない。選手が自らのパフォーマンスを見せつけなければ、道は切り開けない。ザッケローニ監督も、「平均年齢が25、26歳だということは望ましいが、それは選手がどれだけやってくれるかにかかっている」という考えを明かしている。

 今回招集された選手達は、総じてJリーグで成績を残した選手達である。結果を出すことの重要性は言われるまでもないだろう。ワールドカップまでは既に1年を切り、残された時間は多くはないが、切り札になるためには十分と言える。だからこそ、選手達には流れを変えるジョーカーではなく、監督の思惑を越えてメンバー選考を白紙に戻すようなインパクトを期待したい。

文●小谷紘友

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