2013.05.31

ブルガリアにまさかの苦杯…ミックスゾーンを素通りし、悔しさを爆発させた長友佑都

長友佑都
ザッケローニ監督から指示を受ける長友佑都 [写真]=足立雅史

 2014年ブラジルワールドカップ出場権のかかる6月4日の大一番・オーストラリア戦(埼玉)を直前に控え、30日のブルガリア戦(豊田)はチーム状態や戦術の最終確認の場となるはずだった。

 ところが、アルベルト・ザッケローニ監督は約1年半封印していた3-4-3のシステムで試合に入り、後半から本来の4-2-3-1に戻すという変則的な戦いに打って出た。指揮官としては「6月にはコンフェデレーションズカップ(ブラジル)もあるし、今のうちに多彩なバリエーションを用意しておきたい」という思惑があったのだろう。が、来年のブラジル出場はまだ決まっていない。

 そんな「中途半端感」が頭から出てしまったのか、開始早々の3分に相手MFマレノフ(フルアム)に無回転ブレ球FKを決められる。まさかの失点後、日本は乾貴士(フランクフルト)と香川真司(マンチェスター・U)の個人能力を高さを生かし、たびたび相手ゴールに迫るが、堅守を誇るブルガリアを崩せない。後半になってメンバーと布陣を入れ替えてからも得点が遠い。そして再びリスタートから長谷部誠(ヴォルフスブルク)がオウンゴールを献上。ブルガリアの実力が想像以上だったとはいえ、ホームで0-2という完敗を喫したことで、5日後の天王山に暗雲が漂った。

 この試合で後半から出場し、45分間ピッチに立った長友佑都(インテル)は人一倍の悔しさを爆発させた。長期離脱から戻ったばかりの彼はまだ体が重い印象で、キレのある動きを思うように見せられなかった。加えて、長谷部のオウンゴールにつながるファウルを与える手痛いミスを犯した。タッチライン際で怒鳴り続けるザック監督のイタリア語がストレートに入ってきて、本人も苛立ちを隠せなかったに違いない。

 試合後、彼はペン記者の集まる取材ゾーンを素通りした。さすがにテレビインタビューの時には止まったが、「ちょっと悔しくて今は冷静に試合を振り返ることができない。今日の試合全体を通して世界では戦えないと感じる。正直、危機感が強い」と吐き捨てて、スタジアムを後にした。2008年5月のコートジボワール戦(豊田)で国際Aマッチデビューを飾って以来、どんな時もフレンドリーにメディア対応をしてきた長友がこんな行動に出るのは初めて。それほど自身の不甲斐なさに怒り、チーム状態の不安定さを深刻に受け止めているのだろう。

 2010年南アフリカワールドカップ直前の大混乱を肌で知るこの男には、今の代表の空気が生ぬるく感じられたのかもしれない。香川が「いい形ができた」とポジティブに振る舞い、「今日も内容は悪くなかった。決めるべきところで決められればオーストラリア戦は行けると思う」とハーフナー・マイクも前向きにコメントする中で、激しい感情をむき出しにする長友の存在は明らかに異質だった。「このままズルズル行ったら大変なことになる」という厳しい現実をこの男が身を持って伝えてくれれば、ザックジャパンはピリッとした雰囲気を取り戻せるのではないか。

 もちろん長友自身も最終決戦までの4日間でできる限りコンディションを高め、最大の持ち味である一対一の強さとキレのある動きを取り戻す必要がある。本田圭佑(CSKAモスクワ)が戻ってこられるか微妙なだけに、彼にはこれまでのように力強くチームをけん引してもらわなければいけない。

 ブラジル行きを逃す確率はほんのわずかだが、サッカーは何が起きるか分からない。つねに魂を込めて戦うことの重要性を誰よりもよく分かっている長友の完全復活が、ザックジャパン発足後最大の窮地を乗り切る絶対条件といっても過言ではないだろう。

文/元川悦子

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