2013.05.30

ザック監督率いる日本代表の生命線「インテンシティ」を読み解く

日本代表を率いるザッケローニ監督 [写真]=足立雅史

 30日に行われるキリンチャレンジカップ2013のブルガリア代表戦、6月4日に行われるブラジル・ワールドカップ最終予選のオーストラリア代表戦の2試合に向けたメンバー発表記者会見で、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督には、1つの単語に絡んだ質問が相次いだ。

「インテンシティが高い時にチームの良いところが出る」

 かつて日本代表を率いたハンス・オフト監督は、「トライアングル」や「アイコンタクト」という単語を日本サッカー界に広め、フィリップ・トルシエ監督の「フラット3」は同監督の代名詞となった。ザッケローニ監督は「インテンシティ」という聞き慣れない単語を「チームとしての回転数」と置き換えるとともに、その重要性を続けた。

「例えばヨーロッパでも今シーズンに結果を残しているバイエルンやドルトムント、ユヴェントス、マンチェスター・Uは、インテンシティを持っている。ヨーロッパのサッカーを見ても、いくら個の力が強くてもこのインテンシティが欠けたチームはなかなか結果が出ていない」

 ザッケローニ監督は、より詳しい解説を請う質問を受けると、「オンのときでもオフのときでも活動的になるということがインテンシティの意味」という言葉とともに、具体例を挙げて解説を語った。

「自分たちがボールを持っていないときには、相手のボールホルダーに対して素早くアプローチに行く。そのアプローチに後ろの選手が連動する。もしくは、パスが出そうなところに、連動してアプローチできるように準備をしておくこと。逆にボールを持っているときは、足下だけにボールを収めるのではなく、スペースにボールを運び、走りながらパス交換やボールを進めていく」

 新鮮な単語ということもあり、すぐさま代替する日本語を探すことは難しいが、概要は攻守に渡って主導権を握る、あるいは連動して仕掛けていくという意味で解釈できるだろう。ただ、インテンシティという単語自体は新しいものだが、ザッケローニ監督はかねてからチームの回転数を説明することがあったので、何の前触れもなく使用したわけではない。今回も、「今までの戦い方を振り返っても、インテンシティが継続的にピッチに表れているときに、パフォーマンスが伴っている事実がある」と語ったように、日本代表の状態を図る上での指針とも言うことができる。

 一方で、「技術力では我々がアジアで一番だと自負しているが、その技術力もインテンシティがなければいい方向に進まない」と語るように、チームの生命線とも言えるインテンシティを高い状態に持っていくためには、いくつかの条件が必要になると言う。

「インテンシティを出すために、集中や気迫が必要になってくると思う。そういったところで選手に注意を呼びかけたい」

 日本代表は、ブルガリア代表戦、ワールドカップ最終予選のオーストラリア代表戦やイラク代表戦、コンフェデレーションズカップと約1カ月の長期戦に臨む。対戦国はもちろん、ホームやアウェー、中立地と様々な状況での試合が続く。ザッケローニ監督は上記の他に、コンディションもインテンシティの下地になると語った。

 実像を掴みきれていない新語についてだが、連戦の中でさらにクローズアップされていくことが予想され、メディアを含めて観客や視聴者も理解を深めていけるだろう。過去を振り返ってみても、イビチャ・オシム監督が「ポリバレント」という言葉とともに、ユーティリティープレイヤーを重宝したことを含め、歴代代表監督が印象的なフレーズとともに、自身のサッカーを説明することは、見ている側がサッカーの理解を深めていくことに繋がった。

 加えて、その言葉の数々が、徐々に全体から細部を論じるフレーズに移行している点も興味深いものである。日本は、5大会連続5回目のワールドカップ本大会出場に王手をかけている状態だが、右肩上がりの成長は、確実に日本にサッカーが浸透していった結果とも言える。

文●小谷紘友

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