2013.05.23

工藤壮人の初出場はあるか。ザッケローニ監督がFWに求める役割とは

工藤壮人
ACL全北戦で決勝点となった3点目を決める工藤壮人 [写真]=兼子愼一郎

■前田遼一がファーストチョイスである理由
 日本代表のメンバーはほぼ固まっている。いや、固まってしまったと言うべきかもしれない。アルベルト・ザッケローニ監督の初戦は、2010年10月8日のアルゼンチン戦だった。この時の先発メンバーは次のとおり。

GK 川島永嗣
DF 内田篤人、栗原勇蔵、今野泰幸、長友佑都
MF 長谷部誠、遠藤保仁、岡崎慎司、香川真司、本田圭佑
FW 森本貴幸
 
 そう、現在のメンバーとほとんど変わらないのだ。この試合の65分に森本と交代した前田遼一を加え、まだメンバーに入っていなかった吉田麻也を入れれば、現在のベストメンバーができ上がる。
 
 ホームでの親善試合とはいえ、アルゼンチンに1─0の勝利という上々のスタートを切った後、アウェーで韓国と引き分けた。とはいえ、指揮官にはほとんど準備期間は与えられていなかった。本格的なスタートになるはずのアジアカップでも、天皇杯の関係で選手が集まらず、ほぼぶっつけ本番で大会に臨んでいる。
  
 ただ、カタールでのアジア杯は、チームの基礎を固める上で非常に有意義な期間になった。
 
 イタリア人監督らしく、ザッケローニ監督はディテールこだわる。結構細かい指示をする監督だ。
 
「思っていたよりも、攻撃的な監督だった」(遠藤保仁)
 
 攻撃面での監督のアイデアが出てきたのがアジア杯だった。準決勝の韓国戦のゴールはその典型だろう。

 本田が相手選手の中間地点でパスを受けて相手を引き付け、空いた左サイドを長友がオーバーラップし、長友のクロスを前田が決めている。左で作って右が決めるのは、日本代表の得意とするパターンだ。
 
 本田、香川が中央左寄りのバイタルエリアでパスを受け、左サイドを空けて長友を侵入させる。中央には1トップの前田と右から岡崎が入ってくる。
 
 日本の切り札である本田、香川は2人ともトップ下のタイプだ。この2人が相手のMFとDFの中間地点でパスを受けることで、相手の守備のバランスを崩していく。
 
 その前提となっているのが、あまり目立たないが前田のディフェンスラインを牽制する動きである。
 
 1トップの前田は相手のディフェンスラインの裏に出たり、手前に動いたりしながら、主に相手のセンターバックと駆け引きをしてラインを上げさせない役割を果たしている。これがないとセンターバックにラインを上げられてしまい、DFとMFの間隔が狭くなって本田や香川がパスを受けにくくなる。意外と重要な役割なのだ。
 
 前田以外の1トップとしては、ハーフナー・マイク、岡崎、本田、李忠成が起用されてきたが、デコイ役(※相手DFを引き付けるために行うオトリとしての動きのこと)として最も上手く、かつ点も取れる前田は、1トップのファーストチョイスになっている。
 
 前田とともにゴール前で勝負できる岡崎も得点源として外しにくい。裏への飛び出しができて、抜群の運動量、守備力も長友クラス。清武弘嗣や乾貴士の台頭こそあるものの、サイドの運動量が問われる現代サッカーにおいて、岡崎は欠かせない。
 
 ピッチ上の《監督》である遠藤、キャプテンの長谷部、このコンビも鉄板。センターバックは今野、吉田で固定されているし、一時は激戦区だった右サイドも経験と実績で内田が酒井宏樹をリードしている。
 
 攻守に細かい指示をするザッケローニ監督が緻密に作り上げたチームには、新参者が入っていきなり機能する余地が少ない。メンバーは初戦の段階からほぼ固まっていて、その後もほぼ順調に経過しているので、ますますチームを変えにくい状況になっている。
 
 ただ、それが悪いとは言えない。もともと寄せ集めで、活動期間も短いのが代表チームの宿命だ。同じメンバーでコンビネーションも確立されているのはむしろ強みだろう。
 
 しかし、チームを変えなければいけない状況になった時の準備も必要である。

文/西部謙司
サムライサッカーキング6月号から抜粋

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