2012.11.14

日本代表、過酷なアウェー戦でのカギは“省エネ・サッカー”か/オマーン戦

先月には欧州遠征を行った日本代表

 香川真司の選出は叶わず、内田篤人は招集メンバーから外れ、駒野友一も出場が危ぶまれる。日本代表は14日に敵地で行われるブラジル・ワールドカップ最終予選のオマーン戦を前に、負傷者が続く不運に見舞われた。

 ただ、アルベルト・ザッケローニ監督がメンバー発表の際に、「香川が現在してきている貴重な経験を超えられる選手はいないが、今回も彼の代わりに入る選手が良い働きをしてくれるだろう」と語ったように、痛手ではあるが致命的な打撃でないことは確かと言える。

 実際に、香川は2011年にアジアカップでの骨折から半年程離脱期間があり、9月に行われた最終予選のイラク戦も腰痛で欠場しているが、極端なチーム力の低下はなかった。清武弘嗣や酒井宏樹が代表の常連となっていることを考えれば、欠場が濃厚な駒野を含めた、3選手の不在も十分にカバーできる状態にあるはずだ。

むしろ、注目すべきはポジションの並びであり、不安となるのはコンディション面だろう。

 欧州遠征を負傷で欠場した前田遼一や岡崎慎司の復帰で、フォーメーションは4-2-3-1が濃厚。右サイドバックでは酒井宏樹の先発が見込まれるだけに、中盤の「3」の並びに興味を惹かれる。トップ下には本田圭佑が入るだろうが、注目はその両サイドになる。これまでは左に清武、右に岡崎が入ってきたが、岡崎が欠場した欧州遠征では、フランス、ブラジルとの2試合とも清武が右サイドにポジションを移していた。清武と酒井宏樹は五輪代表でも長らくコンビを組んできただけに、ユニットとしても計算でき、香川と内田の不在の影響も最小限に抑えられるだろう。

 しかし、ユニット維持のためには、清武と岡崎のポジションが入れ替わる。従来の並びか、ユニットか。サイドの違いだけでも、視野の取り方やボールの持ち方は変化があるため、中盤の並び方は選手離脱から波及する最大の注目ポイントになるとも言えるのではないか。

 そして、最大の不安材料はアウェーの環境も含めたコンディション面である。

 現地の15時30分からと、気温が30度を越すことが見込まれる昼間の時間設定には、「午後の早い段階でのキックオフを選択してきたのは、自分たちの慣れた土壌で勝負したいからではないかと思っている」と、ザッケローニ監督も警戒を強めていた。加えて、欧州組のリーグ戦の関係でメンバー全員がそろったのは、12日の深夜。国内組は9日からカタールで事前合宿を行なっていたとは言え、少ない練習時間とともにコンディション面での劣勢は否めない。

 懸念が少なくないことからも、注力すべきは先制点よりも失点しないことが挙げられる。

 ホームのオマーンは、オーストラリア相手に3次予選で白星を挙げ、最終予選でも引き分けている。状態の悪い中で無理に攻め込むとなると、ザッケローニ監督が注意点に挙げた「特長である精度の高いカウンター」に足をすくわれる可能性は高くなる。リスクを犯しての勝ち点3よりも、リスク回避での勝ち点1を狙う戦い方も必要になるだろう。

 日本はオマーン戦と来年3月のヨルダン戦に連勝すれば、自力での予選突破が決まる状況。しかし、両チームが勝ち点5差で迎える今回の対戦では、スコアレスが続いて焦りが出てくるのは、あくまでも下位にいるオマーンである。開始早々からがむしゃらに先制点を狙う必要性は感じられない。スコアが動かずに時間が深まれば、バランスを崩さざるをえないのはオマーンであり、日本のカウンターのチャンスも自然と増えると予想される。

 一見、ネガティブな戦い方にも捉えることができそうだが、何もいかなる試合でも相手を圧倒することにこだわる必要はない。事実、守勢に回ることで逆に多くの好機を作り出す戦いを、先月の欧州遠征でブラジル相手に体験したばかりである。相手や状況に応じてプレースタイルを変えることは、世界トップクラスが親善試合で見せていたことを考えれば、敵地での公式戦で用いても批判される理由には当たらないだろう。

 日本は最終予選の後半戦を迎えるにあたり、独走態勢と言える状況ではあるが、オマーン戦に敗れれば、両チームの差は勝ち点2に縮まる。今節以外にも中東でのアウェー2戦を残していることを考えれば、一気に混戦に巻き込まれる可能性があるだけに勝ち点奪取は必要となる。

 2連勝で本大会出場が決まる状況下や周囲や自らが求める理想はもちろんあるだろう。しかし、日本が中東のアウェー戦で過去にも度々苦戦を強いられてきたことを考えれば、“省エネ・サッカー”を貫いてでも、負けないことが重要視されるべきであろう。

文=小谷紘友 写真=足立雅史

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