2012.08.08

史上初となる決勝進出を阻んだ“僅かながら確かな差”/メキシコ戦

U-23日本代表は、韓国との3位決定戦で銅メダル獲得を狙う

 初の決勝進出が阻まれたという結果は、展開からすれば妥当だった。試合後、東慶悟らが「相手が上手かったのは間違いない」とメキシコの実力を認めていたように、力の差は確かに存在し、1-3という逆転負けにも理由はあった。ただ、大津祐樹が「僕自身がもう1点、もう2点取れれば勝てた試合だった」と語っ たように、チャンスが皆無だったわけではない。

 関塚隆監督が「先制して立ち上がりは良かった」と言うように、序盤は日本のプレッシングも機能して、敵陣での細かなパス回しも見られた。先制点の場面では大津の強烈なミドルシュートも見事だったが、左サイドでのパス交換で相手を揺さぶった結果、ゴール前にシュートを撃つスペースを生み出していたことは見逃せない。メキシコを今大会初めてビハインドの状況に立たせたこともあり、過去4試合の戦いぶりからも逃げ切る要素は、少なくなかった。

 ただ、メキシコの反発力は卓越していた。

 メキシコ同様パス回しに特長があったスペインは、日本のハイプレッシャーを前にしても頑なにパスを回して乗り切ろうとしてきた。一方、メキシコは、前線のタレントに打開を託した。中盤での細かなパス交換よりも、早い段階で前線のジョバニ・ドス・サントスやハビエル・アキーノといったドリブラーにボールを預けて、日本のDFとの1対1に持ち込むことで劣勢からの盛り返しを図っていった。スペインとメキシコのどちらが正しいというわけではないが、同点ゴールこそセットプレーからの得点だったが、メキシコが個人技で日本に行きかけた流れを引き戻した点は見事と言える。

 さらにメキシコは、日本が過去4試合で戦った相手とは異なり、永井謙佑をほぼ完全に抑えきってきた。永井は準々決勝のエジプト戦で負傷交代していたため万全の状態ではなかったが、各国の脅威となってきた永井のスピードが活きるスペースを確実に消してきた。ボールポゼッションを取り戻しつつ、DFラインの裏のスペースを埋めていくことは難度の高い戦い方だったが、他国とは異なり大会直前の親善試合で一戦交えたことが、メキシコへ有利に働いたのだろう。

 一方の日本は逆転されてから今大会初めて追いかける立場となったが、メキシコほどの反発力は示せず終始した。ただ、メキシコの反発力は2点目を叩き込み、3点目をアシストしたオーバーエイジ枠のオリベ・ペラルタに一因があったとも言える。オーバーエイジ枠で吉田麻也と徳永悠平を加えた日本が守備で抜群の安定感を得たように、メキシコのオーバーエイジ枠の存在が、反発力の差を作り出したと見ることもできるのではないか。

 日本は敗れたものの、各選手の能力を含めても圧倒的な差はなかったと言える。大会を通じても世界トップへの壁は手が届かないほど高くはないことが証明されたが、メキシコとの敗戦は偶発的なものではなく、僅かでありながら確実に存在する力の差が積み重なった結果でもあった。

 それでも国際大会での1つのプレー、1つの勝利が自信となり、飛躍的な成長に繋がることを実証してきた。日本サッカー史に残した大きな足跡も、決して色褪せない。長年閉ざされてきた扉を再び開き、日本に歓喜をもたらしてきてくれた選手たちには、最後のメダルマッチを制することで自らがその喜びを手にして欲しい。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)

 

[写真]=Getty Images

 

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