2012.07.30

不調の中で光った高い修正能力…初めて第2戦でのGL突破を掴む/モロッコ戦

永井の決勝点をアシストするなど攻撃陣をけん引した清武

 試合への入り方は、相当に悪かった。スペイン戦の疲れもあってか、立ち上がりは攻守に精彩を欠くプレーが多く、関塚隆監督も「1戦目のような試合の入り 方はできなかった」と、素直に認めている。また、各選手の動きの重さと相まって、モロッコの個人能力の高さにも面食らった印象は否めない。トップに位置し たアムラバトをはじめ、屈強なフィジカルを前面に押し出してきたプレーに何度となく危険なシーンを作られていた。

 ただ、立ち上がりの劣勢を無失点で凌ぎ切ったことで、勝利を一気にたぐり寄せることができた。関塚監督同様、清武弘嗣も試合後に、「思った以上に体が動 かなかった」と語ったが、それでも徐々に劣勢を挽回していく力を日本は持っていた。特に目を引いたのは、修正能力の高さだろう。

 ミスパスが多くカウンターにさらされていたが、清武を中心にサイドでボールを落ち着かせたことで攻撃にもリズムが出てくるようになり、相手の個人能力の 高さに手を焼いていた守備陣も無理をしてボールを奪いにいかず、粘り強く対応することでフィジカルの強さに対抗していった。予想以上の疲労蓄積に加え、プ レッシャーに気圧されるなど、一気相手に飲み込まれてしまう要素は決して少なくなかった。それでもパニックにならず、コンディションが悪いなりにも冷静に プレーを修正して流れを引き寄せたことは、称賛に値すべきポイントのはずだ。実際に、序盤の存在感を奪われた格好になったアムラバトは後半途中にベンチに 下げられることになり、交代で入ってきた選手にも流れを引き戻す働きをさせなかった。

 また、永井謙佑のゴールで試合が動いた後に、扇原貴宏と永井に対してモロッコの選手によるラフプレーがあった。ビハインドを負ったチームがプレーを急ぎ たくなることは当然のことだが、扇原に対する行為はセットプレーのポジション争いの最中で、永井へはプレーが止まった後の出来事で、ともに試合終了間際 だった。1秒でもプレー時間を得たい状況での行為だったことを考えると、序盤の攻勢のリズムを完全に奪い取られたことによる苛立ちが表面化した事例とも考 えることができる。

 後半ロスタイムにはGKとの1対1のピンチを迎え、権田修一のファインセーブと吉田麻也のカバーによって何とか無失点で切り抜けたことを考えると、僅か な差による勝利ではあったかもしれない。ただ、グループ首位で迎えた有利な状況や上記の修正能力とともに、相手のリズムを奪い取る老獪さなど、要所でモ ロッコを紙一重で上回った結果による完封勝利と見ることもできるのではないか。

 日本は大会初戦で優勝候補の筆頭と謳われたスペインを下して一気にグループDの中心に躍り出た。モロッコ戦でも着実かつ、老獪に勝利をつかむことで早々 とグループ突破を決めたが、過去のワールドカップとアトランタ大会以降のオリンピックを振り返れば第2戦で決勝トーナメント進出を決めたことは初めてであ る。開催国だった2002年のワールドカップという特例はあるが、ロンドン・オリンピックは地力でグループ内の主役を勝ち取り、その役割を演じきった初め ての大会となった。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)

 

[写真]=Getty Images

 

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