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【インタビュー】長谷川唯が今、思うこと ~自分と向き合い、未来を担う子どもたちへアクションを~

取材はオンラインで実施 [写真提供]=UDN SPORTS

 日テレ・東京ヴェルディベレーザの中心選手として、2年連続国内三冠を達成し、現在のなでしこジャパンをけん引する選手の一人でもある長谷川唯。

 新型コロナウイルスの影響により、2020年の大目標であった東京オリンピックが翌年への延期となり、なでしこリーグの開幕も延期となっている中で、今、何を考えて過ごしているのか。また、時間がある中で新たに始めた活動などについて聞いた。

インタビュー=小松春生

■開幕が楽しみな気持ちが多い

長谷川唯

[写真提供]=UDN SPORTS

―――練習や試合ができない中、どんなことを考えながら日々取り組んでいますか?

長谷川唯(以下、長谷川) 試合ができない状況ですが、意外にポジティブに捉えられているというか、そこまでネガティブになっていません。開幕に向けて体と心を準備してきましたが、自分はケガの影響もあって、スタートが遅れそうだったということもあります。むしろ、こういった状況でなければ、できないくらいウェイトトレーニングなどを消化しているので、プラスに捉えています。

―――メンタル面はいかがですか?

長谷川 練習がしっかりできていないですし、グラウンドでボールに触っていないので、試合勘や体力の不安は多少ありますけど、開幕することが楽しみという気持ちが多いので、「早く始まらないかな」という感じで、マイナスにはなっていないです。

―――今はどんなルーティンで過ごしていますか?

長谷川 フィジカルコーチがチーム、個人用のトレーニングメニューを出してくれているので、それを消化しつつ、貸し出しのウェイトトレーニング器具を使って、週2回程度で重りのあるしっかりとした筋トレを消化できていますね。

―――1日の中でメリハリをつけることが難しかったりはしませんか?

長谷川 自分は午前中にトレーニングをしたいタイプで、ゆっくりしてから午後やるか、ってなると動くのがダルいと思ってしまう人間なんだと、こういう状況下で気づけました。気持ちが乗る午前中にトレーニングをするようにしています。

長谷川唯

[写真]=J.LEAGUE

―――早くピッチで成果を試したいですね。

長谷川 この短い期間でプレーにどれだけ影響が出るかはわからないですけど、もともとパワーのある方ではないので、この期間に他の人よりパワーアップして、自分が苦手なところでも他の人と戦えるようになりたいと思います。

―――トレーニング以外はどんな過ごし方をしていますか?

長谷川 動画とか海外ドラマを見ている時間が多いですね。あと、英語の勉強を少ししています。もともとチームで英会話を勉強する機会があるので、それも含めて、まずは単語を覚えるように時間を取っています。手応えはまだないですね(笑)。

―――チームメイトとコミュニケーションは?

長谷川 同じ世代の選手と連絡を取ることが多くて、「トレーニング以外に何しているの?」っていう会話です。「おすすめの韓国ドラマは…」なんていう話は聞くんですけど、自分はあまり見なくて(笑)。あとは他の選手もいつもはやれないようなトレーニングを多くできていると聞いています。

―――トレーニング以外の時間という点では、長谷川選手がSNSに投稿した「縄跳びリフティング」が話題になりましたね。

長谷川 思っていたよりも反響がありました。いろいろな人がリフティングなどの動画をアップしている中で、「何か違うことを」という軽い気持ちで載せてみたら、たくさん嬉しい反応をいただけましたし、面白みのあるものをやってよかったと思います。

―――子どもたちからの反応もたくさんあって、嬉しいことですね。

長谷川 大人や学生よりも、小学生が返事や成功動画を送ってくれましたし、自分よりもうまくできている子や、目隠しをしている子もいて、「スゴイ!」って思いました。子どもたちが学校に行けないような状況の中で、チャレンジしたいと思ってもらえるものを見てもらえることは、アスリートだからできることでもあると思うので、自分の環境などは生かしていかないといけないと思います。

―――現在、長谷川選手や香川真司選手、柴崎岳選手らが所属しているUDN SPORTSでは、子どもたちを支援する「#つなぐ」プロジェクトを展開しています。活動の一環として、長谷川選手も子どもたちとオンラインで交流しましたね。

長谷川 みんな、積極的にたくさん質問をしてくれました。答えてあげられることは嬉しかったですし、自分が小さかった頃はそういった機会がなかったので、たくさんの子どもたちに経験してほしいですし、今回はいい機会になりました。

―――ご自身にとっても、自分が子どもたちから憧れられる存在になっていると直接認識する機会になりました。

長谷川 数年前だったら、こんなに聞かれることがある状況だったのかと思うと、日本代表になることや、なでしこリーグの優勝チームでプレーすることは、子どもたちにとって憧れられる選手になっているということなので、今、そこでプレーできていることは、すごく光栄ですし、すごく責任もあることだと感じます。

―――今、長谷川選手から子どもたちに伝えたいことはありますか?

長谷川 自分は幼稚園からボールを蹴っていますけど、誰から強制されることもなく、いつも「一番楽しいから」やっていて、それがサッカーを続ける一番の理由になっています。最後に頑張れることとか、目標に向かうことは楽しくないと続けられないので、自分のやりたいこと、好きなことを本気でやってほしいと思います。

―――ちなみに今、長谷川選手の目標は?

長谷川 チームでタイトルを獲ることや代表でワールドカップやオリンピックでいい成績を残すことは、もちろん大きな目標です。それに加えて、自分が大きな舞台で楽しむことができるか、どれくらいのことができるかを試したい気持ちがあります。これからの女子サッカーのことを考えたら、結果はすごく大事ですけど、個人としては、そこでどれだけ楽しめるか。年を重ねて振り返った時に、「この時、楽しかったな」と思えるプレー、サッカーをしたいと思います。

■次の世代に役立てるような行動を起こしていきたい

長谷川唯

[写真]=J.LEAGUE

―――ピッチで表現することができない状況になったことで、気持ちや想いを直接発信したいと考え、個人で実行する選手が増えました。長谷川選手は“伝えること”について、どう考えていますか?

長谷川 もともと発信とか、「こういったトレーニングがいい」とアドバイスするようなことは、あまり外に出さないタイプで。プレーしている姿を見てほしいということもありますし、それを見て、目標にしてくれる選手が増えてほしいという気持ちがあります。ただ、他のUDN所属選手やトップレベルの選手を見ると、これからの世代の選手のために何かをしている印象が強くあって。今は日本代表という立場でプレーさせてもらっていますし、次の世代に役立てるような行動を起こしていきたいと思います。

―――周囲の選手に対して、発信に対する意識の変化があると感じたりはしますか? 例えば籾木結花選手は積極的に働きかけています。

長谷川 W杯で優勝したメンバーはそういった意識の強い選手が多いと感じています。籾木選手もいろいろやっていますが、一方で他の同年代の選手は「自分がやるものなのかな」と感じている選手も多いと思うので、自分から他の人も巻き込んで何かをやることも大事だと思いますし、まずは自分だけでもやり始めることが大事ですね。

―――UDN SPORTSが推進する社会貢献などの活動であるUDN Foundationの動きも本格化するので、いろいろな活動がやりやすくなる環境にもなります。

長谷川 具体的に「これ」というのは、まだ難しいところもありますが、いろいろな選手の活動を見て、それを参考に自分もやれるということはプラスですし、一人ではできないことがUDN Foundationでのつながりからできることもあると思います。まずは、自分の所属しているチームで何かできたらいいな、とは思っています。

長谷川唯

[写真提供]=UDN SPORTS

―――日本でも、多くのスポーツ活動が停止し、再開などがすぐには難しいという声がある一方、望む声もあります。社会に対するスポーツが持つ意義や価値を、この期間で感じますか?

長谷川 自分は選手という立場ですが、ファン・サポーターの方から「早くプレーが見たい」「本当だったら今日試合だったのに」という声をSNSなどでもらいます。自分たちは楽しくやっているところもありますが、「人を楽しませる立場にいる」ということをすごく感じますし、責任があることだと感じているので、多くの方に楽しんでもらえるプレーを必ずしないといけません。

―――少しずつ開幕への道筋も見えてきました。まずは今季、どういったプレーを見せていきたいですか?

長谷川 ベレーザというチームは1位でも満足しない、内容も求めるチームです。去年も一昨年もすべてのタイトルを獲りましたけど、うまくいかない場面があれば、勝った後でもすごく話し合います。結果は大切ですが、いい意味でそれが関係ないチームなので、そういった姿を見せていきたいです。

 今季はいろいろと試そうとしています。田中美南選手がINAC神戸レオネッサへ移籍したことで、得点への不安の声を聞きますが、期待できる若手もたくさんいますし、そういった選手を引き出すプレーをしていきたいです。個人の得点という部分では、昨季は低い位置でプレーすることが多かったので、もっと点を取りに行く姿勢や、一つ前のポジションでの仕事もやっていきたいと思っています。さらに上のステージへ上がるにはもっと得点を取らないといけないとも思っています。

―――最後にファン、サポーターへのメッセージをお願いします。

長谷川 こういった状況が続く中、医療従事者の方をはじめ、たくさんの方が苦しい中で戦っていると思います。みんなでそれを乗り越えたら、スポーツも再開できると思いますし、元の生活に戻れると思います。自分たちはいいプレーを見せて皆さんを楽しませたいと思うので、それを楽しみに待っていてください。

「#つなぐ」プロジェクト


「#つなぐ」プロジェクトとは、香川真司や柴崎岳、原口元気らが所属するUDN SPORTSが展開する、支援プロジェクト。新型コロナウィルスにより多大な影響を受けている日本において、全国の学童や医療従事者、所属選手の縁のある地域の方々へ、マスク20万枚とUDN Foundationの活動の証であるリストバンドと選手のメッセージが入ったレターを配布すると共に、選手が出演するコンセプトムービーや選手からのメッセージムービーを展開する。プロジェクトには、今まで普通に繋がっていた人たちと直接的に繋がれなくなってしまった人たちの心のつながりをもたらしたい、また一過性のものではなく、こういった支援の輪がつながり広がっていくようにとの想いが込められている。

「#つなぐ」プロジェクト×「Save the Children」


子ども支援専門の民間・非営利の国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」へ、UDN Foundationからマスクを1万枚寄付。「セーブ・ザ・チルドレン」を通じて各地の学童保育に届けられる予定となっている。

また、「セーブ・ザ・チルドレン」が実施する読み聞かせプロジェクト「#SaveWithStories(セーブ・ウィズ・ストーリーズ)」に、UDN SPORTS所属の小川航基と長谷川唯が参加。「#SaveWithStories」は、外出自粛の影響で、外に出ることのできない子どもたちとその家族に、楽しくそして教育的でもあるコンテンツを提供し、子どもたちにポジティブな影響を与えるために実施される。

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「アリとキリギリス」 Read by 長谷川唯/ Yui Hasegawa @yui___hasegawa グリム童話 Illustrated by Jami Cricket Published by 森のえほん館 @morinoehonkan.jp セーブ・ザ・チルドレンでは、日本、そして世界で子どもたちのための支援活動に取り組んでいます。 ★新型コロナウイルス感染症 緊急子ども支援へのご寄付(募金)にご協力ください https://bit.ly/2z569X9 →詳しくは @savethechildren_japan のプロフィールから #SaveWithStories #セーブウィズストーリーズ #絵本 #読み聞かせ #新型コロナウイルス #COVID19 #SavetheChildren #セーブザチルドレン #長谷川唯 #アリとキリギリス #森のえほん館

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