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菅澤優衣香の“素顔”と“戦う顔”「よくギャップがあるって言われます」

2019.06.03

菅澤は6月7日に開幕するフランスW杯に出場する [写真]=野口岳彦

 ゴールを狙う貪欲な姿勢、そして端正なルックスから、女性ファンも多い。なでしこジャパンのFW菅澤優衣香は、男勝りでサバサバとした性格なんじゃないか? 私はそんな想像を勝手にしていた。けれどインタビューを進めるうちに、彼女のほわんとした空気に包まれていることに気づく。

 菅澤がこちらを見てニコッと微笑む。「よくギャップがあるって言われますけど、普段はおっとりしているんです」

 選手と面と向かって話してみると、印象がガラリと変わることがある。ピッチ上で感情を露わにしていた選手が、実際はとても恥ずかしがり屋だったというように、“ある一面”しか見えていないことは多い。

 彼女の素顔を少しでも知りたいし、知ってもらいたい。そんな思いを抱きながら、インタビューをスタートさせた。
(※取材は2019年4月下旬)

菅澤優衣香

こちらの質問に、少し照れたように笑いながら応じてくれた [写真]=野口岳彦

【Off Pitch】

仕事は完璧にこなす! 普段は保険会社に勤務

私は事故対応をする部署にいます。エクセルでデータを入力したり、電話対応をしたり、デスクワークが基本です。サッカーに集中できるようにサポートしてくださるので、仕事が負担になることはありません。練習前に体のケアをする時間も持てています。一緒に働いている人たちに「いつも助かっている」と言われるとうれしいですね。仕事をやっていて良かったと感じる瞬間です。

最近ハマっているのは『Netflix』

ホラー以外なら何でも見ます。遊園地のお化け屋敷が本当に無理なんです。友達にしがみついて、一番後ろからついていくタイプです(笑)。サッカー以外に夢中になれるものって、なかなかないんですよね。休みの日はネットショッピングをしたり、ネットサーフィンをしたり。たまに母親と洋服を買いに外に出ます。

支えてくれる家族の存在

家族といるときは素の自分でいられます。実家が近いので、オフの日は帰ることが多いです。母がプレーのアドバイスをしてくるんですよ(笑)。父や兄も思うところはあるみたいなんですけど、直接言ってくることはないですね。「お母さんから言って」と伝えているようです。私が素直に聞かないからでしょうね(笑)。「このシーンはもっと前を向くべきだった」とか、「ここは足を踏み込まないと」とか。かなり細かいことを言ってくるので、「ハイハイ」って流すことが多くて(笑)。私のために言ってくれているのは分かっているんですけどね。

菅澤優衣香

プレー中と同じく、オンピッチの話になると表情が引き締まる [写真]=Getty Images

【On Pitch】

最大の武器は「適応力」

経験を重ねるにつれて、試合の中でプレーを修正できるようになりました。体の当て方を変えたり、タイミングをずらしたり。90分間でいろいろと試しながらやっているうちにできることが増えました。こちらが対応すれば、相手も修正してくる。いかに相手の上をいくかが大事になってきます。私が苦手としているDFは、ガツガツと突っ込んでくるような若い選手です。何を考えているか分からないから、特長をつかむまで時間がかかってしまう。そういう点ではベテラン選手のほうが動きを読みやすいです。

若い頃は自分のプレーでいっぱいいっぱいになって、周りを動かすことなんて考えられませんでした。でも今は違う。経験を積んで、周りが見えるようになったし、周りの声も聞こえるようになった。周りの選手を生かしながら、自分も生かされる。やっとそれができるようになりました。

私が決める! 強くなったゴールへの執着心

若い頃は「誰かが点を取れば勝てる」と心のどこかで思っていました。自分のゴールも大事だけど、チームが勝つことのほうが大事だって。でも、ただ勝つだけでは満足できなくなってきて、次第に「自分のゴールでチームを勝たせたい」という思いが強くなりました。私はガツガツしているタイプではないので(苦笑)、監督にはよく「もっと自分で行け!」と言われていました。

GKと一対一の場面でループシュートを決められたときはうれしいですね。代表戦ではあまりない形ですけど、リーグ戦でたまにあるんですよ。GKとの駆け引きも楽しいし、“してやったり”感があります(笑)。ボールを蹴った瞬間に入ったか、外れたかが分かります。このシュートは完全に決まったなと思ったら、ボールの軌道を最後まで見ないです。

もう2位はいらない! 攻撃の要として2大会連続のワールドカップ出場へ

W杯はワクワクする舞台です。緊張はほとんどしません。こうやって取材を受けるほうが緊張します(笑)。前回大会のカメルーン戦で決めたゴールは気持ち良かった。試合後は祝福メールがいっぱい来ました。今でも忘れられないゴールです。ただ大会を通してシュートの本数が少なかった。今大会は2点、3点と取っていきたい。FWとしてしっかり点を取って、チームの勝利に貢献したいです!

取材・文=高尾太恵子
写真=野口岳彦、ゲッティ イメージズ

菅澤優衣香(すがさわ・ゆいか)
菅澤優衣香
1990年10月5日、千葉県生まれ。JFAアカデミー福島で育ち、2008シーズンより強化指定選手としてアルビレックス新潟レディースに入団。2010年のU-20女子ワールドカップに出場。2012年にはA代表に選出され、2015年のFIFAワールドカップカナダに出場。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースを経て、2017シーズンに浦和レッズレディースへ移籍。今年6月に開催されるFIFAワールドカップフランスのメンバーに選出されている。

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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