2017.12.16

【コラム】なでしこ、“優勝決定戦”に敗れ栄冠逃す…E-1選手権で見えた課題とは

北朝鮮に敗れてE-1優勝を逃した [写真]=Getty Images
執筆家、編集者、女子サッカー解説者。FIFA女子Player of the year投票記者。

 EAFF E-1サッカー選手権女子の最終戦は、なでしこジャパンと朝鮮民主主義人民共和国による「優勝決定戦」となった。得失点差の関係で引き分けならば優勝を逃す立場にあったなでしこは、「チーム全員、失点をしないというゲーム運びをしながら得点を狙いに行く」(高倉麻子監督)というプランでゲームに入ったものの、最後までゴールを割ることができず0-2で敗れた。

 2カ月前のスイスとの親善試合の後、高倉監督が「ポジションにとらわれず自由な絵を描けるように」「見る人が本当に思い切りガッツポーズをするようなゴールに期待している」と想いを告げた攻撃陣も、この日は北朝鮮を相手にシュート数5本に抑えられた。

 今大会に出場した東アジア4チームは、世界の女子サッカーの進歩から取り残されかねない瀬戸際に立っている。今夏に開催された女子EUROではオランダ、デンマーク、オーストリアなどの新興国が台頭。ドイツ、フランス、スウェーデンはベスト8で散った。またアジアではオーストラリアが急成長。7月にアメリカを破るなどして、最新のFIFAランクでは4位に上昇し、強豪国の一角に加わった。なお、その最新ランクで日本は順位を1つ下げ、9位(2008年以来)に転落。もし今ワールドカップが開催されたら……と考えると、日本はベスト16から8程度にとどまってしまうのではないだろうか。

 今大会のなでしこの敗因(といっても韓国と中国には勝っているが)は、組織戦術不足に集約される。高倉監督は選手個々のレベルアップを図るため、1対1にひるまないこと、フィジカルを言い訳にしないこと、組織に依存しないことなどを選手たちに課している。ところがその方針は今のところ裏目に出ており、選手個々の判断と選択はプライベート(個人的に正解だと思うこと)の域を抜け出し切れず、パブリック(各個人が集団に対して約束すること)が培われていない。自由を標榜する攻撃陣は分断され、1対1を強いられ、自由を奪われた。一人ひとりの高い技術が、チームの中で十分に発揮し切れていない。

高倉麻子

なでしこを率いる高倉監督 [写真]=Getty Images

 今後の強化方針は見直しを迫られるだろう。フィジカルを「永遠の課題」といっていつまでも放置するわけにはいかないが、とはいえ日本が組織で強豪国を上回れず、後手後手の個人勝負に持ち込まれては、結局フィジカルの差でやられる。現実的には、個人の技術を封じられない程度のアスリート能力(身のこなし、体の安定感など)を鍛えつつ、強いプレッシャーの中でボールを活かす戦術、相手を崩す戦術、ボールを追い込んで奪う戦術、それらを実行可能なスキルと連携を磨いていくこと。もし高倉監督で難しければ、新しい監督を探したほうがいい。

 2017年のなでしこジャパンの活動はこれで終了したが、来年4月にはヨルダンでワールドカップ予選(を兼ねる女子アジアカップ)が開催され、アジアカップ出場8カ国中5カ国に世界への切符が配られる。B組の日本はベトナム、韓国、オーストラリアとのグループステージで2位以内なら予選突破。万が一3位でもA組3位(ヨルダン、タイ、フィリピンのいずれかと予想)とのプレーオフに勝てば突破できる。つまり、EAFF E-1サッカー選手権で優勝を逃したからといってワールドカップ行きに暗雲が立ち込めたわけではないということ。地に足をつけて、2019年、2020年に向けて舵を切ってほしい。

文=江橋よしのり

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