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東アジア女王の称号を懸けた熱戦が幕を上げる…指揮官交代の中国女子の実力は?

2017.12.08

中国女子代表はEAFF E-1サッカー選手直前にオーストラリア遠征を実施。しかし、2連敗に終わった

 EAFF E-1サッカー選手権2017(女子)が今週末に開幕する。決勝大会には男女代表ともに日本、韓国、北朝鮮と中国が出場、男子は9日から味の素スタジアムにて、それに先立ち女子は8日からフクダ電子アリーナにて、東アジア女王の称号を懸けての熱戦が始まる。

 昨年の中国女子代表は、ブルーノ・ビニ監督が率いたリオデジャネイロ・オリンピックのアジア予選を、オーストラリアとともに勝ち抜けて、その後の本大会でもベスト8に進出。準々決勝で最終的に金メダルを獲得することになるドイツを相手に惜敗を喫して大会を去る、というまずまずの結果を残している。

 オリンピック本大会のグループリーグ南アフリカ戦で、MF譚茹殷(広東女足)がセンターサークル付近から放ったスーパーゴールが世界中で話題となり、2016年のアジアサッカー連盟の最優秀選手賞の最終選考にノミネートされるなど、五輪イヤーの中国女子サッカー界は、譚茹殷という新しいヒロインの出現によって大いに盛り上がったのだ。

 年が明けた2017年の中国女子サッカー界は、通常の国内リーグ戦に加えて、4年に一度開催される全国運動会が行われた影響で変則スケジュールとなった。所属するチームでのリーグ戦と、選手の本籍地のチームで出場する全国運動会の影響で、例年よりも過密な日程をこなしていた。

 代表チームの編成についても大きな動きがあった。ブルーノ・ビニ監督が契約期間を残しながら監督ポストから外れ(結局は代表チームに顧問として残った)、国内リーグを戦う江蘇蘇寧女足を指揮していたシグ・アイヤールソンが新たに監督に就任した。新監督は母国であるアイスランド女子代表監督の経験などがあるようだが、その手腕は未知数と報じられている。

 国内リーグ日程終了後に新監督の就任が発表され、中国女子代表はオーストラリアで強化合宿を行ったが、新監督が招集した強化合宿のメンバーに、譚茹殷の名前は含まれていなかったようだ。

 譚茹殷は中国南部の広東省の出身であり、全国運動会の開催もあったことで、今年は2部リーグに所属する故郷の広東女足に復帰していた。両膝に抱える故障の具合も良くなかったという情報もあり、代表からの招集を自ら辞退したものと思われる。

 実際に、筆者が取材で訪れた7月の2部リーグの試合でも、試合の大勢が決まった時点で早々にピッチを退いており、コンディションが良くないという判断を下したことが容易に想像できる。

 シグ・アイヤールソンが指揮を執る新生中国女子代表は、強化合宿で訪れた先で、オーストラリア女子代表と2試合を組み、合計8失点の2連敗という船出を切っている。新監督は、今年の過密日程の影響と、強化合宿による身体的な疲労を理由としているが、既に中国国内では新監督の采配に対して、疑問と不満の声が上がっている。

 代表チームは、オーストラリアでの強化合宿を終えた後に、広東省内で3日間のコンディション調整を施してから来日する。所属チームや代表チームで、年がら年中拘束され続ける中国の女子サッカー選手たちを気の毒に思うのだが。

 9月1日時点でのFIFA女子ランキングは、この大会のホストである日本が最上位の8位で、続いて北朝鮮が10位、中国が13位、韓国が15位となっている。この極東の4カ国とオーストラリアが、アジアサッカー連盟内の覇権を争う構図となっていることから、女子も男子と同等かそれ以上に白熱の様相を呈するに違いないだろう。

 中国女子代表は、過去にこの大会での優勝はない。大会では8日に北朝鮮、11日に日本、15日に韓国と対戦する。いずれの試合もフクダ電子アリーナで行われ、大会日程終了直後に最新のFIFA女子ランキングが発表される。

文=池田宣雄・香港
協力=アジアサッカー研究所

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