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世界を戦う上で想定される「負けパターン」…なでしこがアジア大会で得た課題

2014.10.02

アジア大会決勝で北朝鮮に敗れたなでしこジャパン [写真]=Atsushi Tokumaru

「1-3」スコアボードに刻まれた数字は、そのまま試合内容を意味しており、なでしこジャパンの連覇への挑戦が終わってしまったことをも意味していた。

 アジア大会女子サッカー決勝。なでしこジャパンの相手は、準々決勝で中国を、準決勝では終了間際の得点で開催国・韓国を倒して勢いに乗っている北朝鮮だった。佐々木監督が「一番戦いたかった」と形容したチームは、強く逞しく、そして鋭かった。「すごい2トップだなと思いました」とMF阪口夢穂が率直に語り、「カウンターの質が高かった。本当にトップレベルの質。10番(ラ・ウンシム)はそこまで速くはないが、動き出しの質とタイミングが完璧」とMF宮間あやが振り返ったように、強力2トップを軸に攻め立ててくる「今までの試合の感じとは違った」(DF有吉佐織)チームだった。

 ボール支配率では59:41と日本が上回っていた試合だったが、2倍以上のシュートを食らっていることからも分かるように、内容的に日本が上だったと言えるゲームではなかった。12分にセットプレーから失点すると、52分にもカウンターから追加点を奪われてしまう。直後に宮間が一矢を報いたものの、そこからは「もっと“サッカーらしいサッカー”をしたかった」と宮間主将が嘆くほどに単調なロングボールが増えてしまい、攻撃が機能しない。逆に87分にやはりカウンターから1点を失っての敗戦は、ある種の必然を感じさせる流れだった。

 宮間はこの試合を受けて、来年の女子ワールドカップへ向けての課題を「守備力」と断じる。カウンターから食らった失点は、ある意味でなでしこジャパンが世界の舞台を戦う上で想定される「負けパターン」である。「あれをキチンと抑えられるようにならなくては」と語る主将の言葉は、嘆き節ではなく、明確な危機感の表明に聞こえた。

「アジア大会版なでしこジャパン」はこれにて解散となる。「新戦力発掘」という当初目的で言えば、FW増矢理花、DF臼井理恵といった人材がそれぞれ奮戦はしたものの、既存メンバーを脅かすほどの力は見せられなかったという印象も強い。その意味で、来年の女子ワールドカップへ向けては今後がより肝心となった。すぐにカナダ遠征が控えており、来年には準備の場となるアルガルベ杯、そして女子ワールドカップ・カナダ大会が待っている。危機感を強めたアジア大会が、いよいよ最大目標へと向かうなでしこジャパンにとっての「苦い良薬」となってくれればと思う。

文=川端暁彦

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