2012.08.10

なでしことアメリカのライバル関係が生み出した至高の決勝戦/ロンドン五輪

素晴らしい戦いを繰り広げたなでしことアメリカ

 オリンピックの女子サッカーで史上最多となる8万人以上の観衆に見守られた決勝は、格別な一戦となった。

 実際に、試合前から期待感は高まっていた。舞台は“サッカーの聖地”と称されるウェンブリー・スタジアム。雌雄を決するのは、昨年の女子ワールドカップ決勝と同じくなでしこジャパンとアメリカ。ワールドカップとオリンピックの2冠か、大会3連覇か。いずれにせよ偉業が達成される対戦は、現時点での最高と言えるカードだった。

 結果的には、アメリカが2-1でなでしこを下して4度目の戴冠を果たすことになったが、両チームに違いはあっても差はなかったのではないか。

 戦前はアメリカ優位を推す声が優勢を占めたが、予想とは異なり試合が始まってみれば終始なでしこが得意のサッカーを展開した。今大会最高と言える出来で、特長の細かなパス交換によって多くの決定機を生み出す。63分の大儀見優季の得点も、相手の守備をパスで崩すなでしこらしさが集約された秀逸のゴールだった。

そして、勝者のアメリカも素晴らしかった。

 8分にカーリ・ロイドが2列目から猛然と走り込み、ヘディングで押し込んだ先制点は迫力に満ちたゴールで、最終的に決勝点となった54分の2点目も見事だった。中盤からドリブルで持ち上がったロイドが、そのままサイドネットに突き刺したミドルシュートは決勝戦という掛け値なしに大会屈指のゴールだろう。なでしこの得点同様、アメリカも持ち味であるダイナミズムと圧倒的な個人技で作り出した2ゴールで優勝を手繰り寄せた。

 試合の勝敗を分けた点については、戦った選手たちはともかく、周囲が決定力に差を求めてはあまりに短絡的だろう。なでしこがアメリカほど個々に依存しない以上、ロイドが見せつけたような圧倒的な個人能力を求めては酷と言える。なでしこのシュートがクロスバーに弾かれたことや、好セーブを連発していたアメリカのGKホープ・ソロが遅延行為で警告を受けたところを見ると、相当にアメリカも追い込まれていた。決定力不足という紋切り型の敗因を押し付けるよりも、素直にアメリカ守備陣の執念を讃えるべきではないか。

 勝負の世界である以上、勝者と敗者は必ず生まれる。今回は大会3連覇を果たしたアメリカの笑顔が弾けたが、昨年はなでしこがワールドカップを初めて制して喜びに沸いている。互いに持ち味が異なる両チームが力を出し尽くした息を呑む戦いは、1年間切磋琢磨した結果の賜物だろう。

 サッカー発祥の地で開催されたオリンピックの女子サッカーは、極上の条件下で行われた決勝戦に相応しい至高の熱戦を最後に幕を閉じた。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)

 

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