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なでしこは日本女子サッカーの方向性が間違っていないことを証明した/ロンドン五輪

今大会、確かな成長を見せたなでしこジャパン

 アメリカの3連覇で幕を閉じた女子サッカー、ロンドン・オリンピック大会。本来のレベルの高さを見せつけたアメリカに対し、2004年のアテネ・オリンピックでベスト8、2008年の北京オリンピックでベスト4の成績を残したなでしこジャパンが、さらに進化を遂げたことを証明した大会になった。グループリーグの3試合中、ベストメンバーで臨んだカナダ戦、スウェーデン戦は相手の引き気味な試合運びに対して受け身になり、本来の早いパス回しが陰を潜めたが、準々決勝のブラジル戦、準決勝のフランス戦では、相手チームの怒濤の攻めを研ぎ澄まされた集中力と全員守備で耐え抜き、攻撃時には正確なボールポゼッションと高速パスワークが復活し、2-0、2-1で勝利した。決勝戦のアメリカ戦では、一進一退の攻防が90分間続き、紙一重の差で負けはしたものの、昨夏のワールドカップ優勝後から急速に成長している日本女子サッカーの方向性が間違っていない事を、世界の最高の舞台で確認する事ができた。

 アメリカはワンバック、モーガン、ロイド、ラピノなど、多彩なタレントが爆発的な攻撃力でグループリーグから決勝までの6試合を無敗で優勝した。アメリカは高さとパワー、そしてスピードのどれをとっても世界最高のチームと言えるが、今後はなでしこジャパンのポゼッションとパスワークとの勝負が当分、続くだろう。

 フランスとの3位決定戦を制したカナダは、準決勝でアメリカと延長戦にもつれ込む死闘を演じながらも、3-4で惜敗した。6ゴールを決め得点王に輝いたシンクレアや4ゴールのタンクレディを擁するカナダは今大会でその存在感を確固たるものにした。フランスは中盤のネシブや188センチの長身センターバックのルナールをはじめ、タレントに恵まれていたが、組織力の弱さが今後の仮題だ。卓越した技術で世界一のFWと言われるマルタを擁するブラジルもフランス同様、組織力の弱さは否めなかった。

 これからの女子サッカーの潮流は、今大会の決勝戦をみるように、日本とアメリカのスタイルに二分されていくだろう。オリンピックでのベスト8、ベスト4、そして準優勝とひとつずつ階段を昇って来たなでしこジャパンには、次のリオデジャネイロ・オリンピックでの優勝を目指して、さらなる飛躍を期待したい。

[文]=松原渓

[写真]=Getty Images

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