2012.08.03

なでしこ、強豪ブラジル撃破で不毛な議論と批判に終止符を/ロンドン五輪

主将の宮間あやのコンディションの向上も期待される

 思わぬ喧騒に巻き込まれてしまった。

 グループリーグ最終戦の南アフリカ戦前後で巻き起こった“引き分け狙い騒動”について、なでしこジャパンの佐々木則夫監督の胸中を察すれば、結論はそこに行き着く。決勝トーナメントに向けての移動面を考慮した結果、グループ2位通過をするべく、南アフリカ戦途中に同点の状態を維持して引き分けを狙った指示を出したことが大きな波紋を呼んだ。

 指示については賛否両論多くの意見が噴出したが、サッカーに限らず、多くの種目で戦略的な駆け引きが行われていることを考えれば、特段騒ぎ立てる事例でもないはずだ。ただ、普段は日の目をみない種目でも世間の注目が集まるオリンピックという舞台だっただけに、一気に重大事となってしまった。

 準々決勝のブラジル戦に向けては、平時であれば取り立てて問題視されない出来事によって、なでしこにとって初めてと言えるような逆風が吹いた影響は心配される。

 もちろん、火消しも早かった。佐々木監督が試合後の会見で責任の所在は自身にあると明確に語り、自ら矢面に立つことで選手を批判から守り、影響を最小限に留められた。なお、本筋とは逸れることになるが、佐々木監督が作戦を包み隠さず明かして謝罪したことは、常々女子サッカーの将来を口にしていることと同様に、普段サッカーを目にしないような観戦者が試合内容に失望した可能性に対しての配慮があったであろうことも加筆しておきたい。

 ただ、世間の大騒ぎとは裏腹に、すべては佐々木監督の思惑通りに進んだ。グループを2位通過したことで、再びカーディフで試合を行えるメリットを受け、南アフリカ戦で主力の多くを先発メンバーから外したことで、リフレッシュも図れている。

 ブラジルは、オリンピック2大会連続で銀メダルに輝き、5年連続で世界最優秀選手賞に輝いたエースのマルタと2大会連続オリンピック得点王のクリスチアーニという強力な攻撃陣を擁している。各選手とも足技に優れ、グループリーグで戦ったカナダやスウェーデンのように体格差を全面に押し出してくるプレーとは異なる。

 対戦相手のスタイルが変化することへの対応はしなければならないが、なでしこの戦い方に概ね変更はないだろう。フィジカル勝負を避けるとともに、相対的な守備時間を減らすためにも生命線というべきパス回しによって、ボール支配率をできる限り高めたい。ただ、ブラジルはロンドンからカーディフまで移動による負担に加え、グループリーグ3試合をほぼ変わらぬメンバーで戦ってきた。中2日での試合が続いているだけに、コンディション面では間違いなくなでしこが有利に立っていることから、運動量では確実に圧倒したいところだ。

 佐々木監督は、南アフリカ戦後の会見で引き分け狙いを明かしたことに続き、「せっかくこういう形で選手が指示通りやってくれたわけだから、何とか準々決勝を勝ってベスト4にいくことに尽きると思う」と、勝利への決意を口にしている。

 描いていたシナリオとは違い、予想外の騒乱に巻き込まれた。だが言い換えれば、佐々木監督が負の影響を最低限にとどめるためのあらゆる手段を講じた以外には、シナリオ通りに運んでいる。あとは、すべてが不毛な議論だったことを実証したい。

 メダルを獲得するために、的外れな批判をぬぐい去るために、彼女たちに課せられたミッションはひとつ。ブラジル戦で白星をつかむこと、ただそれだけだ。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)

 

[写真]=Getty Images

 

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