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なでしこの使った“常套手段”、決勝Tでは本来の姿を期待/グループF

南アフリカ戦での引き分けで2位でグループを突破したなでしこジャパン

 勝ち点1差の中に3チームがひしめくことになったグループFだが、結果から見ればなでしこジャパンとスウェーデンの一戦が混戦を作り出す原因となった。

 大会前からなでしことスウェーデンの2チームがグループ2強と言われていた通り、初戦を勝利で飾り、直接対決の第2戦を迎えた。なでしこはパスワークで押し込む中、体格面で上回るスウェーデンがフィジカル面で活路を見出す展開となったが、試合自体はスコアレスドローに終わっている。そして、両チームとも に1勝1分けの勝ち点4ながら決勝トーナメント進出を決めたことで、第3戦でのグループ突破順位の駆け引きが一気に過熱することになった。

 大きな議論を呼んだグループ首位と2位突破での違いは、実のところ大きな恩恵を受けるのは、ほぼなでしこに限られていた。準々決勝は通過順位に関わら ず、中2日の試合となるが、移動面で大きな隔たりがある。第3戦をカーディフで戦うなでしこは、グループ首位突破ではグラスゴーまで移動することになるが、2位通過ならば第3戦同様にカーディフにとどまることが可能となっていた。一方、第3戦をニューカッスルで戦うスウェーデンは通過順位に関係なく移動 は必須になるため、環境面での考慮はさほど入っていなかったと思われる。

 もう1つの論点となった対戦相手に関しては、首位突破ならばフランスが有力で、2位ならば開催国のイギリスかブラジルだった。なでしこにとっては、直前の試合で敗戦を喫したフランスは避けたかっただろうが、スウェーデンが同様にフランスとの対戦を避けたかったどうかは測りかねるところだ。

 2位通過に関しても、開催国のイギリスはなでしこもスウェーデンも回避したかったことが実情ではないか。フランスへの苦手意識ばかりが取り上げられる 中、なでしこは昨年の女子ワールドカップでイングランドに0-2と完封負け。そもそもホームアドバンテージのある開催国との対戦はどの国にとっても好ましいカードとは言えないはずだ。なでしこらが所属するグループFは、他グループに先立ち第3戦を行うため、準々決勝の対戦相手が確定していなかったことを考えても、グループ突破順位の関心は、なでしこの移動面に絞られていたといっても過言ではないだろう。

 佐々木則夫監督は第3戦の南アフリカ戦の試合後、試合途中に引き分け狙いを指示したと明かした。おそらく、グループ最大のライバルであったスウェーデン との第2戦で勝利を収めていれば、勢いを駆って南アフリカ戦でも勝利を狙っただろうし、3連勝となれば1位通過によって伴う準々決勝での移動面の影響も看過していただろう。ただ、幸か不幸かスウェーデン戦をドローで終え、得失点差で2位にとどまったことで、第3戦に向けて戦略上の選択肢が多く手に残る結果 となった。

 第2戦の引き分けにより混戦となったグループF。ただ、スウェーデンにとっては駆け引きをする理由が乏しく、なでしこにしてもサッカー界で日常的に行われている“常套手段”を使っただけのこと。周囲が騒ぐほど物珍しいものでも、複雑な心理戦でもなかった。

 周囲の議論は加熱しているが、当人たちは特別な感情を持たずに決勝トーナメントへ臨んでくるはずだ。あとは結果を残すことができるか。それは、彼女たちの力次第で、今回の駆け引きによる影響を危惧する議論ははっきり言って不毛である。

 普段と変わらぬなでしこたちの雄姿を、普段にも増して力強い彼女たちの姿を、期待したいところだ。

 

[写真]=Getty Images

 

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