2012.07.29

実力伯仲のスウェーデン戦から見えたなでしこの課題と収穫/ロンドン五輪

「ワールドカップの時のように完成していない」と話した宮間

 より拮抗した対戦相手によって、なでしこジャパンの強みと課題の両面が浮かび上がる戦いとなった。FIFAランキングでは、なでしこが3位でスウェーデンが4位。過去の対戦成績でも、4勝2分4敗の全くの五分だった。

 実力が伯仲していただけに、無得点で終わったものの、2ゴールを挙げた初戦のカナダ戦よりも多くの決定機を作り出せていたことはチームとしても手応えを感じていることだろう。佐々木則夫監督も試合後に、「得点の場面を作る局面やボールを運ぶビルドアップの部分ではカナダ戦より攻守によくやったと思う」と評価を与えている。実際に後半には、ボール支配率で圧倒してスウェーデンを自陣に釘付けにした時間帯も長かった。

 そして、なでしこの特長と言える支配率の高さが攻撃はもちろん、守備でも大きな効果を発揮していた点は見逃せない。ボールを相手陣地で回す時間が長かったことでDFラインを押し上げられた結果、相手のエースであるロッタ・シェリンをゴールから離れた位置でプレーさせることに成功した。訪れたピンチの芽も岩清水梓と熊谷紗希が冷静に対処したことで傷口は広がらなかった。

 ただ、同時にカナダ戦では覆い隠されていた不安材料も、散見されている。

 カナダ戦でもボールポゼッションが落ちた終盤で劣勢に立たされたが、より実力差が小さいスウェーデンが相手だっただけに、シュートまで持ち込まれる場面が増える結果となった。また、主将の宮間あやの状態も心配される。オリンピックからは大野忍がFW、川澄奈穂美が中盤の左にポジションを移したことに伴い、宮間は中盤の右に位置することになっている。この配置転換は、左サイドの攻撃が機能していることで一定の成果は上げているが、同時に宮間の戸惑いも生んでいるようだ。

「オリンピックになって2トップが替わり、自分も右サイドハーフになったことでまだワールドカップの時のように完成していない」

 スウェーデン戦後に本人が語ったように、ポジション変更は宮間が初戦、2戦目と続けて従来の存在感を発揮できていなかった一因に挙げられそうだ。

ただ、幸いにも第2戦が終わっただけである。なでしこの中でも随一と言える戦術眼を持つ宮間だけに、戦い方にフィットできればチームが更にワンランク上がる可能性もある。スウェーデン戦でオリンピック初出場となった田中明日菜、岩渕真奈がともに存在感を発揮したことも、大きな収穫となった。さらに1勝1分けの勝ち点4となったことで、グループFで3位以内が確定。全グループ3位の成績上位2チーム以上に入ることで3大会連続となる決勝トーナメント進出も決まった。

 決勝トーナメント1回戦となる準々決勝の対戦相手を見越して、世間がグループ何位で突破が決まるかと気を揉む中、佐々木監督は「次はもっと準備して今日よりいい試合をする。勝ち点3を狙いに行くことに尽きる」と言い切った。不確実な打算をするよりも、過去2戦で膨らませつつある内容に更なる自信を加え、出てきた課題を修正することが何よりも勢いを与えるだろう。再び勝利への強い意欲を思い起こさせたことを考えれば、残った不満よりも手にした収穫の方がより大きい一戦になったと言える。

文=小谷絋友(サッカーキング編集部)
[写真]=Getty Images

 

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