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群雄割拠の様相を呈す女子サッカー…なでしこの険しい道のりが始まる/ロンドン五輪

フランスを始め、強豪国との戦いが始まる

 なでしこジャパンが昨年の女子ワールドカップに続き、再び世界の頂点に上り詰めることができるか、否か。大勢の注目はその一点に注がれていると言える が、ワールドカップ同様に世界一へは険しい道のりが予想される。

 日本は19日に行われたオリンピック前最後の親善試合で、フランスに0-2と完封負けを喫した。敵地という条件を差し引いても、目立ったミスとともに相 手の速さに振り切られた1失点目と規格外の高さに屈した2失点目を見せつけられると、本番に向けて不安に駆られる気持ちも無理はない。ただ、昨年の女子 ワールドカップでも、アメリカやドイツといった体格面で勝る相手には苦戦を強いられながらも、好ゲームを演じて世界の頂点に立った。

 その意味でも、最も重要になってくるのは、日本の強みであるパスワークをどれだけ押し出していけるかになるだろう。速いテンポでボールを回せれば日本の 攻撃にリズムが出るとともに、相手との肉弾戦を挑まなければならない場面も減少する。試合後に佐々木則夫監督が「次にフランスと当たっても、食らいつき、 粘りを出す自信はある」と語った裏には、フィジカル面での劣勢は折り込み済みだということと、コンディションの向上とともに日本の長所を打ち出せるという 目論見を感じ取れた。

 当然ながらグループリーグ突破やメダル獲得は、上述したようなフィジカル面での劣勢をいかに最小限に押し留めることができるかにかかってくる。グループ リーグ初戦で対戦するカナダには身長175センチのクリスティン・シンクレア、第2戦のスウェーデンにも179センチのロッタ・シェリンがトップに構え る。第3戦の相手となる南アフリカはオリンピックとワールドカップの出場歴こそないが、代表通算74試合で55ゴールを誇るノコ・マトローを擁し、侮れな い相手が居並ぶ。3カ国との対戦では、粘り強い守備はもちろんのこと、いかにボール保持率を高め、屈強な相手FWのボールタッチ数を相対的に減らすことが できるかがポイントになってくる。

 他グループに目を移せば、グループEのブラジル、グループGのアメリカがメダルの有力候補なのは言うまでもないだろう。ブラジルは2006年度から5年 連続で世界年間最優秀選手賞に輝いたFWマルタを軸にし、2大会連続でオリンピック銀メダルを手にしている実力国。そして、そのブラジルを抑えて2大会連 続で金メダルを獲得してきたのがアメリカと、両国の実力は全チームでも抜きん出た存在と言えるだろう。2カ国とともにフランスとイギリスもメダル争いに絡 んできそうだ。中でもイギリスは、女子ワールドカップで日本を2-0で下したイングランド勢が含まれている陣容。開催国というアドバンテージもあり、台風 の目になる可能性も大いに秘めている。

 全出場国を見るとアメリカ、ブラジルといった強国が名を連ねる一方、ドイツやノルウェーといった強豪国が本大会へ進めず、群雄割拠の様相を呈してきた印 象も受ける。女子ワールドカップをパスサッカーで制したことで、フィジカル優勢のサッカーに一石を投じた日本が、ワールドカップとオリンピックの主要大会 連覇を果たして新たな主流を作り出すのか。

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