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レッズランド20周年記念イベント開催。参加者たちの笑顔から見えた浦和レッズの“20年間の歩み”

7時間前

昨年の12月27日、レッズランド開業20周年を記念したイベントが行われた [写真]=浦和レッズ

 晴天に恵まれた昨年12月27日、浦和レッズが2005年に開設したレッズランド(さいたま市桜区)でギネス世界記録™に挑戦するイベントが開催された。

 レッズランドが開業してから20周年を迎えたことを記念し、人文字で巨大なサッカーボールを描こうという企画。ギネス公式認定員の立ち会いのもと、赤と白の2色に分かれた1198人の参加者は、サッカーのセンターサークルと同じ半径9.15メートルの円を隙間なく埋めるように丁寧に形を整えていった。ただ、完璧なサッカーボールの形にするのは思いのほか難しく、立ち位置の調整に悪戦苦闘。ドローンによる確認で認定員から「OK」が出ると、参加者から大きな拍手と歓声が沸き起こり、「人文字でサッカーボールの形を作り出した最多人数」(1198人)として無事にギネス世界記録™に認定された。

 イベントを担当したレッズランドのスタッフは「円の真ん中の人は1時間半近く満員電車に押し込められるような状態で頑張ってくれました。みんなで力を合わせてやり切った達成感があります。感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。未就学児から年配の方々まで老若男女が協力し合い、想定外の苦労も乗り越えながらのギネス世界記録™達成。そして、その先に見えたみんなの笑顔。それは、レッズランドの20年間の歩みにも重なるものだった。

 浦和レッズが総合型スポーツ拠点の構想を打ち出したのは、クラブ創設以来初タイトルとなるJリーグヤマザキナビスコカップ優勝を果たした翌年の2004年3月。ホームタウンであるさいたま市の桜区に「レッズランド」を開設したのは構想発表からわずか1年数カ月後の2005年夏だった。誕生の根底にあったのは、Jリーグの理念である「Jリーグ百年構想~スポーツで、もっと、幸せな国へ。」を具現化し、地域に根差したスポーツ文化を創出しようという浦和レッズの志と英断、そして、労を厭わない情熱だった。

 2005年7月に行われたオープニングイベントでは、Jリーグ百年構想を他クラブに先駆けて体現した施設として、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏が涙ながらにレッズランドの誕生を喜んだ。川淵氏は1993年のJリーグ開幕時から事あるごとに、かつて自身が日本代表としてドイツに遠征した際に見た総合型スポーツ施設「スポーツシューレ」をいつか日本にもつくりたいと語っていた。スポーツが文化として根付いている国への憧憬を具現化する第一歩。それがレッズランドだった。

 こうして、レッズランドは約14万平方メートルという広大な敷地に天然芝・⼈⼯芝のサッカーグラウンドのほか、テニスコート、フットサルコート、「アグリフィールド収穫祭(農業体験)」やバーベキューなどを行う⾃然エリアを有する総合型スポーツ拠点として産声を上げた。

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 オープン当初は雑草が多い箇所も見られ、整備が必要な部分も少なくなかった。一方で、多種目利用を想定してサッカー場内に野球のマウンドを残しており、実際に利用もされていた。

 また、こうした中で河川敷という立地上の制約や、調整池の機能を担う区域に位置していることにより、人工芝ピッチの設置に関しては従来のゴムチップを充填剤として使用することができず、国内ではまだ導入例の少なかった「ノンフィル方式(充填剤を使用しない人工芝)」を採用した。コストは割高だったが、先進的で高品質な人工芝サッカー場ができた。

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 施設の整備が進むにつれて、たこあげ&餅つき大会や、現在の「夏思(なつおも)」の原型である「夏の思い出を作ろう!」などのファミリーで参加できるイベントが増えた。

 地域スポーツ振興の活動拠点という立場に沿った活動も加速した。行政との連携を進め、浦和西体育館の指定管理者となって競技種目や利用対象者の幅を広げるための取り組みを行った。また、地元桜区のスポーツクラブ「SCさくらっく」とのコラボレーションで「桜区ウォーキング大会」を共催するなど、地域と密着した活動にも注力した。

 その一方で、レッズランドという施設がある意義は、アカデミー時代にレッズランドで実力を磨き、トップチームでの活躍を経て世界へ羽ばたいていった選手たちの心にも深く響いていた。その一人が2004年から浦和レッズジュニアユースに所属し、レッズランドで約5年間練習した原口元気(現ベルギーリーグ・ベールスホット)だ。彼は2014年にブンデスリーガのヘルタ・ベルリンに移籍する際に、「育成時代から育ててくれたクラブへの恩返しをしたい。後輩である育成選手のために移籍金を活用してほしい」と希望。クラブは原口の思いを汲み、移籍金の一部を活用して人工芝を新しく張り替えた。

 また、この間には、2005年から浦和レッズが地元の女子サッカーチームを引き継ぐ形で活動していたレディースチームが2009年になでしこリーグで初優勝を飾ったほか、レディースチームの選手も出場した2011年女子ワールドカップで「なでしこジャパン」が世界一に輝くなど、日本の女子サッカーの発展に寄与する面も多かった。

 2007年9月にあった台風の影響による出水、2011年の東日本大震災など、数々のアクシデントに見舞われながらも、地域スポーツ振興の活動拠点として着実に歩んでいたレッズランド。最大の危機が訪れたのは2019年10月のことだった。台風19号がもたらした豪雨はすさまじく、激流の荒川から茶色く濁った水がレッズランドへと押し寄せた。レッズランドの施設はサッカー場6面を含めて完全に水没し、水深は6~7メートル。水が引いた後も大量の泥や流木、想像を超えるゴミが残された。

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 レッズランドが調整池としての機能を果たしたことによって、住宅地への流れ込みを防げたことは幸いだったが、泥やゴミを取り除く復旧作業だけでも莫大な時間と費用が掛かるほか、昨今の気候変動を鑑みれば同程度の豪雨がまた訪れる可能性も否定できず、営業を続けるかどうかは現実的な検討課題となった。

 しかし、浦和レッズは即座に復旧を決めた。「Jリーグ百年構想を具現化し、地域のスポーツ振興に寄与する、浦和レッズだけにしかない施設を絶対に守る」との決断だった。育成組織出身選手も動いた。宇賀神友弥(現浦和レッズU-21強化担当)を中心にクラウドファンディングが立ち上げられ、1000万円以上の募金が集まった。浦和レッズ後援会やパートナー企業も様々な角度から支援をしてくれた。

 存続の危機に直面したレッズランドは、こうして多くの人々の尽力でよみがえった。だが、間髪入れずに今度はコロナ禍に襲われた。この時、レッズランドが見つめ直したのは、「地域のスポーツ拠点」という原点だった。

 浦和レッズが誕生して約30年。レッズランドには地元で生まれ育ち、レッズランドのサッカーグラウンドでボールを蹴り、浦和レッズの育成組織でサッカーに打ち込んだスタッフが在籍しており、地域に根付いた活動に立ち戻ろうという考えが膨らんだのは自然なことだった。また、レッズランドにはサッカー以外のスポーツの拠点としての機能がふんだんにあるにもかかわらず、それが地元の人々に十分に認識されていないという課題があり、それをしっかりと受け止めようという考えも強くなった。

 こうして2022年に創設されたのが、地元の子どもたちの活動を支えるための原資を確保することに特化した「育みパートナー」制度だ。地域とともに次世代に向けたスポーツ文化を育み続けるために導入したこの制度は、初年度から6社が契約に名乗りを上げ、2025年は協賛する地元企業・団体が24社に拡大した。

 これにより、以前はレッズランド会員を中心に、会員先行受付の形で開催していたイベントについて、より多くの子どもたちが参加できるよう内容を見直し、育みパートナーの基金を使用して子どもたちの参加費を無料にするなど、いくつかのイベントをリニューアル。各イベントは年を重ねる毎に地域の人々に浸透し、2025年5月5日に開催した「キッズフェスタ」には1100人の親子が参加し、笑顔であふれる一日となった。

 振り返ればレッズランドの20年の歩みは、子どもたちの健全な育成やスポーツ文化の発展に寄与する取り組みの継続だった。だからこそレッズランドは、地域の人々とともにスポーツの価値を育む施設となりえた。

 近年は、日頃から交流を続けてきた近隣の小中学校のPTA連合会や青少年育成団体と合同で花火大会や音楽演奏イベントを企画することや、地域の防災イベント会場としてレッズランドが場所を提供することなどで地域との接点を増やしている。

 レッズランドのスタッフは「誕生から20年の今、ここで仕事をできていることがすごく幸せです。レッズランドがあって良かったと思ってもらえるよう、これからも地域の人々とともに歩んでいきたいです」と話している。

 レッズランドが蓄積してきた20年間の経験は、百年構想の未来へ向かっていくための土台であり、次世代の人々の夢や希望を豊かに彩るための知見である。そして「育みパートナー」は、この20年の歩みを大切にしながら、次の20年、その先の未来へ向けて地域とともに歩み続けていくための大切な施策。地域に開かれた交流の場であるレッズランドには、まだまだ多くの役割を果たせるポテンシャルがある。

文=矢内 由美子

レッズランドのキャッチコピー「RedsLand~地域と共に、笑顔を重ね、いつまでも~」をイメージしたコンセプトキービジュアル @REDSLAND

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