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【インタビュー】山口一真、渾身のブレ球FK弾は「気持ち良かった!」 同僚も相手サポも“思わず頭抱え”「海外サッカーっぽい」

2022.06.14

[写真]=J.LEAGUE

 5月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』が発表され、J2はFC町田ゼルビアに所属するMF山口一真が受賞した。

 受賞したのはJ2第16節・アルビレックス新潟戦の29分に決まったゴール。フリーキックのチャンスを得ると、推定35メートルの距離から直接ゴールに突き刺した。同僚の髙江麗央もゴール裏の新潟サポーターも思わず頭を抱えた衝撃フリーキック弾を振り返ってもらった。


取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

――まずは5月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』受賞おめでとうございます!
山口 ありがとうございます。受賞できたことは嬉しいですし、これからもゴールを奪っていきたいと思っているので、ゴールへのいいイメージを描きながら日々のトレーニングに臨んでいきたいと思っています。

――新潟戦で決めたフリーキックを改めて振り返っていただけますか?
山口 相手の最終ラインが高く、ゴールまでの距離もあったので、直接狙わず右サイドの選手にパスを出してクロスを上げてもらおうと考えていました。正面からのカメラアングルだと、助走の時に少しだけ左に動いているのが分かると思います。ただ、パスを出すのも厳しいと思ったので『打つしかない!』と決めて振り抜きました。ボールの下側を押し出す感じで蹴ることによって無回転気味になるので、壁を越して落とすことを意識しました。

――ゴールが決まった瞬間、髙江選手の「信じられない!」という表情とリアクションがすごく印象的でした。
山口 気持ち良かったです! ゴール裏の新潟のサポーターの方も同じようなリアクションをしていますよね。海外サッカーでよく見るようなリアクションだったので、海外サッカーっぽいシュートが決まったのかなと思います(笑)。

――ちなみに武田治郎GKコーチからの助言があったそうですね。
山口 この試合の一週間くらい前に「腹筋に力を入れて蹴ってみろ」というアドバイスがありました。それがいい形でゴールにつながったと思います。

――そういった意見は積極的に取り入れていくタイプですか?
山口 自分にとってプラスになりそうなアドバイスは取り入れます。以前までは味方にパスを出した後の動きが少なかったのですが、水戸ホーリーホック時代に「パスを出した後、ゴール方向に向かって走る」ことを教わりました。それからはこぼれ球も来るようになり、得点が取れるようになりました。今でも意識していることの一つです。

――本当に素晴らしいゴールでしたが、ご自身で何度も見返したりはしましたか?
山口 いや、自分の試合やゴールはほぼ見ないですね。このゴールも2、3回しか見ていないです(笑)。試合を見直し始めると「このシーンはこうしておけば……」と考え始めてしまいキリがないので、前だけを見据えていきます!

――これまで在籍したチームで「フリーキックがうまいな」と感じた選手はいますか?
山口 鹿島アントラーズ時代にチームメイトだった遠藤康選手(ベガルタ仙台)ですね。ヤッさんはめちゃくちゃうまかったです! 試合前にスタメン組とサブ組に分かれてセットプレーの練習をするのですが、当時のキッカーが遠藤選手でほぼ全て決まっていました。得点が決まるともう一本追加になるのですが、壁の位置を修正してもまた決まるんですよ。「キックの精度やばいな……」と思いながら見ていましたね。

――遠藤選手のフリーキックから何か学んだことはありますか?
山口 シュートはストレートだけではないことを学びました。自分が狙ったところにボールを落とせる技術がすごいと思います。球速もパンチ力もそこまであるタイプではないと思うのですが、カーブをかけてストンと落とせる。今回のように無回転で沈んで決めるのもカッコいいですけど、カーブをかけてGKの手の届かない位置に蹴ることも選択肢になりました。

――昨季は左ひざ負傷からのリハビリ、復帰後もなかなか結果が伴わずに苦しんだかと思います。今季に懸ける思いはより強いのではないでしょうか。
山口 まずはサッカーを楽しみたいですね! 楽しくやりながらだと、自分の創造性も湧いてきます。楽しめないと自然といいプレーもできなくなるので、これからも楽しくやっていきたいと思っています。

――特に水戸時代に感じたことなのですが、山口選手はどれだけゴールやアシストという結果を残しても“満足しない”という印象を持っています。
山口 単純に欲張りなんですかね。サッカー界にすごい選手はたくさんいて、昔一緒にやっていた選手たちがJ1や海外で活躍して日本代表としてプレーしている姿を見ていると、彼らに追いつくためには1点取って満足しているようではダメだと思います。さらに上を目指していかないと埋もれてしまう職業なので、そう簡単には満足できないですね。

――早くも折り返しとなりました。今季ここまでのJ2の印象はいかがでしょうか?
山口 上と下の勝ち点差もあまりなく、例年に比べて混戦だと思います。ただ、その中でも上位3チーム(アルビレックス新潟、ベガルタ仙台、横浜FC)は、なかなか落とさないですよね。どのチームが勝つのか本当にわからないと思います。連勝すると一気に順位が上がる一方、連敗すると簡単に下がってしまう。ここまで実力が拮抗しているリーグは、世界中を探してもあまりないような気がします。

――今季前半戦を踏まえて、後半戦に生かしていきたいポイントはありますか?
山口 前半戦を振り返ってみると、個人的にはあと3、4試合は勝てたなと思っています。もっと勝ち星を拾っていけるようにいい準備をして、連携面もさらに磨いていきたいと思います。これからの季節はより難しくなります。ただ、暑さの中でも勝つチームは必ずあるので、タフにチャレンジして走り勝つという部分を体現していきたいです。上位との差が広がらないよう、ポイント差をもっと詰めていきたいと思います。

――では、最後にファン・サポーターにメッセージをお願いいたします。
山口 現状、最低限の位置には付けていると思うので、J1昇格に向けて順位を上げていく後半戦にしていきたいと思います。日々トレーニングをしながら、たくさんゴールを決めて勝利に貢献していきたいです。ゼルビアがJ1に上がれるように精一杯頑張るので、サポーターの皆さんもスタジアムに来て欲しいと思います。サポーターの皆さんをスタジアムに呼べるよう、選手たちはもっともっと盛り上げてやっていきます。ここからも共に戦って、J1という夢を一緒に掴みたいです!

By 三島大輔

サッカーキング編集部

サッカーキング編集部所属。 週刊J2&月刊J3 MC。Jリーグ&ブラジルサッカーウォッチャー。

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