[写真]=J.LEAGUE、清原茂樹
■清水エスパルス 関係性の良い右サイドを起点に、どれだけ決定機を作れるか
【プラス材料】
4試合勝利がない状況だが、ここ2試合は内容的にも手応えのある戦いをしたうえで、どちらもアウェイでのドロー。ビルドアップが以前よりスムーズになり、シュート数も第9節のヴィッセル神戸戦が12本、前節のガンバ大阪戦が11本と、かなり増えてきた。
ここ2試合はMF河井陽介とMF宮本航汰がボランチでコンビを組んで良いバランスを見せており、そこに右サイドバックのDFエウシーニョも絡んで、ボールを保持する力は向上している。特に右サイドはエウシーニョ、河井、MF中山克広の関係性が良く、攻撃の起点となっていることが多い。
また、ボールを握る時間が増えたことで守備の安定感も高まり、失点は2試合で1点のみ。得点の面では課題が残っているものの、自分たちがやりたいサッカーに近づきつつあり、それが結果につながってくるのが待たれるところだ。
【マイナス材料】
直近の4試合でわずか1ゴールと、得点力不足に陥っていることが現状では最大のマイナス材料だ。取るべき選手が点を取れておらず、新エースのFWチアゴ・サンタナはここまで2得点、その他のFW陣もFW後藤優介が1得点、FWディサロ燦シルヴァーノとMF鈴木唯人は無得点。ただ、それは決定力というよりもチャンスが少ないという問題のほうが大きい。シュートは増えてきたものの決定機と言える場面は少なく、最後の崩しやラストパスの質という部分はまだまだ発展途上だ。
また、ハードな日程が続く中で主力選手にケガが増えてきたのも痛いところ。FWカルリーニョス・ジュニオは右膝内側側副靭帯損傷(全治4週間)と22日に発表があり、MF原輝綺も神戸戦で足の甲を痛めてG大阪戦とJリーグYBCルヴァンカップ第3節の横浜F・マリノス戦を欠場した。DF片山瑛一とMFヘナト・アウグストも離脱中で、戦力的な損失は大きい。
文:totoONE編集部
■湘南ベルマーレ 安定感抜群の守備に問題なし。あとはゴールを奪うだけ
【プラス材料】
前節はホームにヴィッセル神戸を迎え、スコアレスドローで勝ち点1を積み上げた。ここ5試合で1勝4分と負けがなく、そのうち4試合を無失点で終えているように守備の安定もうかがえる。もちろん、引き分けは勝ちきれていないとも捉え得るが、神戸然り、上位のチームを相手に負けない戦いを演じている事実は悪くない。
見るべきは、水曜日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第3節の柏レイソル戦にもあった。リーグ戦からメンバーを入れ替えた中で、先制を許しながらも終盤に攻め立てて試合終了間際には同点に追いついた。アウェイで勝ち点1を持ち帰ったのみならず、出足や球際など、チームとしての基準の浸透が内容に認められたことも見逃せない。
件の柏戦では、ケガから復帰したMF梅崎司が今季公式戦初出場を記している。FWウェリントンの合流を含め、心強い仲間が帰ってきた。
【マイナス材料】
プラス材料で触れたとおり、安定した戦いぶりを続けている中で、課題はやはり得点力だろう。開幕から10試合で計9得点、そのうち無得点は4試合を数え、かたや複数得点は2試合にとどまっている。
失点を抑えているからといって自陣に引きこもっているわけではなく、ボールを奪えば素早く攻めに切り替え、遅攻と速攻も状況を見極めながらスムーズに使い分けられている印象だ。ルヴァンカップの柏戦然り、先制されても同点に追いつく地力もついてきた。さらなるチャンスを呼び込むためにも、奪った後のパスの精度やゴール前にかけるエネルギーを高めて、相手に脅威を与えたい。
清水エスパルスとの通算対戦成績は8勝5分20敗。相手のホームでは4勝2分12敗と、いずれも大きく水をあけられている。昨季は0-3、2019年には0-6で敗れた試合もある。
文:隈元大吾