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リーグ新記録の8試合連続無失点…極限まで無駄を削ぎ落した名古屋の強さとは?

リーグ新記録の8試合連続無失点を達成した名古屋グランパス [写真]=J.LEAGUE

 8試合連続無失点のリーグ新記録。それがほぼ開幕から続いているということに、名古屋というチームの現状における完成度の高さを示している。9試合でわずか1失点も、ある種見事なオウンゴールであったことを思えば「9試合守りきった感覚がある」というフィッカデンティ監督の言葉に異論はないだろう。6連勝のち2引き分け、そして大分で7勝目を得た成績にも文句のつけようがない。名古屋は守り勝ってきたとともに、そのチーム一丸となった戦い方でもって、川崎とは違う強さを誇示している。

 大分は奮闘した。少なくとも先制点が入る33分までは、持ち前のポゼッションスタイルを真っ向から名古屋にぶつけて優勢の場面も作った。だが、「戦術練習でやった通りだった」と米本拓司が語ったように、それもまた名古屋にとっては想定内、引き出しの中には“取扱説明書”が入っていた。それはDFラインに木本恭生が起用されていても、ボランチが米本と長澤和輝というスタメンでは初のコンビであっても何ら効力を損なうことがなく、大分の攻撃をことごとく跳ね返していく。そして相手が手を出し尽くした頃、布石のように打ち続けていたサイドチェンジの一本から決勝点を奪ってしまうから、これはもう名古屋の様式美でもある。

 米本からのフィードを受け取ったマテウスは、一度引くふりをしての“ノールック股抜き”で羽田健人を抜き去る。振り返ると、この時点でもう大分の歯車は狂っていたようだ。「GKのキャッチミスがあったが、サイドの対応でカバーができていないところがまずエラーだった」。大分の片野坂知宏監督は絞り出すように振り返る。失点はマテウスの柔らかいクロスを高木駿がファンブルし、それを目ざとく山﨑凌吾が決めたものだったが、その手前で飛び込んできた坂圭祐がブラインドになったこともミスの遠因の一つだろう。この日が復帰戦だった坂は奮起したが、44分にマテウスの鋭いFKを木本と競り合い、オウンゴールを献上してしまっている。名古屋の個の力によってミスを引き起こされたことを、敗軍の将は「迫力に屈した」とうつむいた。

 今の名古屋にとって2得点はセーフティリードと呼ぶに十分すぎる価値がある。その後のゲームマネジメントにも卓越したものが見られるようになってきた。先制点でやや守備に重心を傾けると、2点目の後の前半数分をきっちり締めこみ、ハーフタイムに持ち込む。クールダウンした11人の頭にはそのまま試合を終わらせることがミッションとして刻み込まれ、後半頭のプレッシングで牽制したのちは最終ラインを6枚にするのもいとわず守りに徹した。フィッカデンティ監督は選手たちのプレーに対し、「得点よりも、このままバタつくことなく試合を終わらせるという考えを選手たちが持ってプレーしたことが大事な試合だった」と評価しており、さらには「中2日でまた次のゲームがある。ここから必要以上の体力を消耗することなく、まずはしっかり堅く守るという判断ができた」と続けた。その試合を勝ちに帰結させるだけでなく、次戦を視野に入れたコンディショニングまで行なってしまうとは、まったくもって恐るべき集団である。

 試合終了間際には相手のパスミスからカウンターを発動し、柿谷曜一朗の移籍後初ゴールまで生まれた。その柿谷もまた「それ以前にこの試合をシャットアウトするという気持ちで戦おうと決めた中でのゴール。自分の中ではちょっとびっくり」と言うからチームコンセプトの徹底ぶりにはこちらの方が驚くばかり。極限まで無駄を削ぎ落した名古屋の強さは、シュート3本で3-0という今回の勝利によって、さらに研ぎ澄まされた感が強まった。

文=今井雄一朗

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