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【開幕特集】新たな歴史を築くために…福岡FW城後寿が語る決意「チームが勝つために貢献しないと」

2021.02.26

[写真]=J.LEAGUE

 DAZNと18のスポーツメディアで取り組む『DAZN Jリーグ推進委員会』が、その活動の一環としてメディア連動企画を実施。2021シーズンのJリーグ開幕を前に、サッカーキングではアビスパ福岡城後寿選手にインタビューを行い、開幕戦の展望や自身のヒーロー像、新シーズンへの思いを聞いた。

インタビュー・文=鳴神亨

5年ぶりとなるJ1は「残留争いを制することではなく、10位以内に入ることが目標」

――5年ぶりとなるJ1での戦いに挑みます。シーズン開幕を控え、現在の心境を教えてください。

城後 寿(以下、城後)
J1の舞台で戦えることを素直にうれしく思います。同時に、今シーズンは4チームがJ2に降格するレギュレーションとなるため、とても厳しい戦いになると考えています。ただ、クラブの目標は残留争いを制することではなく、10位以内に入ること。明確な目標に向かい、チームが一丸となって取り組めているのかなと。また、例年以上に素晴らしい補強ができたと思うので、強いチームができあがるのではないかとワクワクしています。シーズンの開幕が待ち遠しいですね。

――掲げた目標を達成するために、チームとしてどのようなサッカーを展開していきますか?

城後
ベースとなるのは、昨シーズンのサッカーです。“攻守においてアグレッシブに戦う”という自分たちのスタイルを変える必要はないと思っています。その上で、今シーズンはボールを保持してチャンスを作っていくことにトライしています。経験豊富な選手たちが多く加入したことも含め、昨シーズンとは異なるアビスパ福岡を見せられると思っていますよ。シゲさん(長谷部茂利監督)からも言われているように、一人ひとりの個性を生かしながら自分たちのサッカーを表現していきたいです。

――アグレッシブなスタイルをベースとしつつ、チームとしての幅を広げられていると。

城後
そうですね。福岡はこれまで、J1に昇格した次のシーズンに降格してしまっています。そういった悪い流れを断ち切り、新たな歴史を築いていくためには、“新しいアビスパ福岡”を作っていく必要があります。5年周期でJ1に昇格するという“アビスパ周期”も、今年で終わらせたい。J1で上を目指せるようなチームにしていきたいなと思っています。

――J1に定着するチームとなるために、プレシーズンは強度と質の向上に着手しました。

城後
J1を戦い抜くためには高いレベルの強度と質が必要になります。その2つがJ1の基準に達しなければ、自分たちの目標を達成できないと思います。例えば、走るといってもただ量を増やせばいいというわけではなく、質が伴わなければ効果的と言えませんよね。求められるものは多いですけど、やりがいを感じていますよ。

――長谷部監督はプレシーズンの取り組みに手応えを感じていると発言していました。城後選手はチームの仕上がりをどのように見ていますか?

城後
順調だと思いますね。新加入選手たちはすぐにチームに馴染み、全員が共通理解を持った上でトレーニングに臨むことができました。一丸となって厳しいキャンプを乗り越えたことで、自信を深められたと思っています。すごくいい状態で開幕を迎えられると感じていますよ。もちろん、実際に公式戦をこなして分かることも多くあるはずなので、課題を改善しながらシーズンを過ごしていくことになると思いますけどね。

開幕戦の相手・名古屋は「個性の強い選手が多く在籍」「すごく恐ろしいチームだなと(笑)」

――開幕戦は、ホームに名古屋グランパスを迎えます。対戦相手の印象を教えてください。

城後
個性の強い選手が多く在籍しているチームだと思っています。マテウス選手や阿部(浩之)選手、今シーズンから加入した柿谷(曜一朗)選手や齋藤(学)選手など、前線には独力で局面を打開できるタレントが揃っていますよね。隙を見せたら簡単にゴールを奪われてしまうと思うので、すごく恐ろしいチームだなと(笑)。

――名古屋は、昨シーズンのJ1で最少失点を記録。堅守をベースに勝ち点を積み上げ、上位争いを演じました。

城後
(マッシモ・)フィッカデンティ監督は、サガン鳥栖やFC東京を指揮した時と同様に、名古屋でも手堅いチームを作り上げたと思います。そういったベースがあるなか、今シーズンは新たな戦力を加えて攻守両面でレベルアップしました。歯車が噛み合えば、さらに怖い存在になると思います。昨シーズン、名古屋と同様に僕らもリーグ最少失点を記録したとはいえ、J1とJ2ではやはり強度や質が異なります。そのなかで、どれだけ自分たちの持ち味が通用するのか、楽しみな気持ちもありますね。

――昨シーズンの福岡は、ロースコアでのゲームを制することが多くありました。

城後
「堅い試合展開に持ち込めれば勝てる」という自信がありました。ロースコアで試合を進めることが1つのポイントだったので、J1でも失点を抑えていくことがカギになると思います。また、勝ち点を手にするためには当然、得点力を上げていかなければいけません。今シーズンはセットプレーもチームの強みになると思っているので、訪れたチャンスを確実に生かしていきたいですね。試合をこなしながら、なるべく早くJ1での勝ちパターンを確立していきたいです。

――城後選手がJ1で経験した過去三度の開幕戦では、白星を挙げることができていません。開幕戦特有の難しさがあるのでしょうか?

城後
やはり、雰囲気は独特なのかなと。自ずと気持ちが昂ぶるので、メンタル面をうまくコントロールしてプレーしなければいけません。とにかく開幕戦で大事なのはチームの良さをしっかりと発揮すること。緊張感のある堅い試合展開になると思いますが、自分たちらしいサッカーを見せられればと思います。

――開幕戦で自身に求められる役割とは?

城後
僕自身、若手選手やピッチに立つ選手をサポートしていかなければいけない立場にあると思っています。自分がどういう状況に置かれていようが、チームが勝つために貢献していかなければなりません。試合に出られても出られなくても、ベンチメンバーに選ばれなかったとしても、チームのために何ができるのかを模索して開幕戦に臨みたいです。もちろん、ゴールを決めてチームを勝利に導けるのならそれが一番ですけどね。とにかくチームのために、仲間のために、自分にできることをしていきたいと思います。

子どもの頃のヒーローは「カズさん」「ずっと憧れの存在」

――2021シーズンのJリーグ開幕キャッチコピーである「#2021のヒーローになれ」についてお話をうかがっていきます。城後選手が考えるヒーローとは?

城後
やはり、ゴールを決めてチームを勝利に導けるような選手ですかね。でも、ヒーローが一人である必要はないと思っています。監督もよく言うんですけど、ゴールは誰か一人で決められるものではなく、ボールを奪う選手がいて、ボールをつなぐ選手がいて生まれるもの。だから、ゴールを決めた選手だけがヒーローではないんですよね。きれいごとではないですけど、クラブスタッフをはじめ裏方で選手をサポートしてくれている人たちもヒーローと呼べる存在なんじゃないかなと考えています。

――城後選手が子どもの頃に憧れていたヒーローは誰でしたか?

城後
三浦知良選手(現・横浜FC)ですね。カズさんはまさに“サッカーがうまくてかっこいい人”で、ずっと憧れの存在です。今シーズン、J1の舞台で同じピッチに立てることを楽しみにしていますよ。

――子どもたちが憧れるプロ選手となって以降、心掛けていることはありますか?

城後
とにかくピッチで結果を残すことですね。選手である以上、良くも悪くもメディアに報じられる機会は多くあります。そのなかでいいニュースを届けるためには、やはり結果を残さなければいけません。僕は、公の場で言葉を発して何かを伝えるのが得意ではないので、ピッチで活躍する姿を見せて何かを感じ取ってもらえたらなと。プレーをとおして、少しでも多くのものを伝えられる選手になりたいなと思っています。

――個人として掲げている今シーズンの目標があれば教えてください。

城後
チームと同じ目標になりますが、リーグ戦で10位以内に入ることです。その目標を達成するために、福岡の力になりたいと思っています。ピッチ内はもちろん、ピッチ外でも貢献できることはたくさんあります。若手選手が活躍できるような環境を作ることも役割の1つ。とにかく自分にできることを探しながら、シーズンを過ごしていきたいですね。

――昨シーズンはリーグ戦25試合の出場で1得点を挙げるにとどまり、個人として満足できる成績ではなかったと思います。今シーズンに懸ける思いは強いのでは?

城後
昨シーズンは1年をとおして試合に絡めていたとは言えません。ピッチに立ったとしても、十分なプレー時間を得ることができなかったですしね。悔しい思いをしたからこそ、今シーズンは出場試合数とプレー時間を伸ばせるようにしたい。そのためにはトレーニングで自分の力をアピールしていく必要があるので、日々の練習にしっかりと取り組んでいきたいと思います。個人的にはプロになって以降、リーグ戦で毎年ゴールを決めてきたので、その記録をさらに伸ばせるように、そして1つでも多くの得点を取れるようにしたいです。

――今オフには多くの新戦力が加入し、チーム内競争が一段と激しくなったかと思います。定位置をつかむために必要なことは?

城後
チームには6人のFWが在籍しているので、レギュラー争いは厳しいものになります。そのなかで、監督に「試合で使いたい」と思わせるようなプレーをどれだけできるか。短い出場時間でも、ゴールやアシストといった目に見える結果を出すことで、僕を使わざるを得ない状況を作りたい。ゴール前で自分の持ち味を発揮し、訪れたチャンスをモノにしていきたいですね。とにかく結果にこだわってプレーしていきます。

――自身にとっても5シーズンぶりのJ1となります。J1でプレーした過去の3シーズンと変わったと感じる点は?

城後
これまでに比べて、より安定した精神状態で試合に臨めるのかなと。また、キャリアを通じて積んできた経験を生かしたプレーも見せられると思っています。体力面で衰えたと思う方もいるかと思いますが、僕の持ち味がハードワークであることに変わりはありません。「35歳になってもやれるんだ」というところをファン・サポーターの皆さんに見せたいですね。高校時代の同級生である渡邉千真(現・横浜FC)をはじめ、J1でプレーしている同年代の選手たちから刺激をもらいながら、彼らに負けないように頑張りたいです。

――城後選手がヒーローになることを望んでいるファン・サポーターの皆さんにメッセージをお願いします。

城後
昨シーズンは皆さんにとってストレスが溜まる1年になってしまったと思いますが、困難な状況でもいろいろなアイデアを出して僕たちをサポートしてくれました。支えてくれている皆さんに、J1の舞台で輝いている姿をたくさん見せて恩返しをしたいと思っています。「まだまだ城後の力が必要だ」「頑張っている城後を応援したい」と思ってもらえるようなシーズンにしていきたいですね。新型コロナウイルスにより厳しい状況がまだまだ続くかと思いますが、体調に気をつけて、時間がある時にはスタジアムに足を運んでもらえるとうれしいです。J1の舞台を一緒に楽しみましょう。

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