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【J1展望】絶対王者、名門、伏兵…空前のバトルロイヤルを制するのはどこだ!?

今季のJ1は、史上最多20チームによる総当たり戦だ [写真]=Getty Images

 空前のバトルロイヤルが始まる。

 今シーズンのJ1リーグは、史上最多20チームによる総当たり戦だ。これに伴い、降格チーム(17位以下)の数も従来の2から4に増えた。競争率が上がったぶん、残留争いは例年以上に熾烈を極めるだろう。

 昨シーズンは<降格なし>の特例措置が設けられたこともあり、大胆な用兵や戦術を試みるチームも少なくなかったが、果たして今シーズンはどうか。4チームが降格する異例の規定を踏まえれば、理想と現実の落としどころを冷徹に探り、堅守の陣をもって、したたかに勝ち点を拾いに行くケースが増えるかもしれない。

 そうだとすれば、ブロック崩しの手際がよりいっそう問われることになる。過去5シーズンの最多勝ち点チーム(浦和レッズ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス)は攻囲戦を得意にしていた。速攻一本槍で、城攻めは苦手――というチームが覇権を手にした例は一つもない。こうした流れが、今シーズンも続くかどうか。

 興味深いのは近年、後ろから丁寧にパスを繋ぐ『遅攻型』へ鞍替えしたチームの躍進が目につくことだろう。4位に食い込んだ2018年の北海道コンサドーレ札幌、昇格早々9位につけた2019年の大分トリニータがそうだ。

 昨シーズンはサガン鳥栖と横浜FCがボール保持率を高め、積極的に主導権を取りに行く戦い方を実践し、下位から抜け出している。ちなみに、1試合平均の保持率は鳥栖が4位(52.8%)で、横浜FCは8位(51.3%)だった。

 今シーズンは新たに浦和、清水エスパルス、さらには昇格組の徳島ヴォルティスが同じ列に加わりそうだ。いずれも、この筋の専門家であるスペイン人の新監督(浦和=リカルド・ロドリゲス、清水=ミゲル・アンヘル・ロティーナ、徳島=ダニエル・ポヤトス)を擁するあたりが面白い。

 とりわけ、浦和と清水は指揮官の招聘のみならず、今オフの積極的な補強で戦力面の充実も図った。チームの仕上がり次第では、上位に食い込んでも不思議はない。それどころか覇権争いのダークホース(穴馬)か。

 肝心の覇権争いの中心は、やはり絶対王者の川崎だろう。重鎮の中村憲剛が引退し、攻守の柱石だった守田英正がサンタ・クララ(ポルトガル)へ移籍したものの、補強に余念がなく依然として厚い選手層を誇る。最大のネックは2年ぶりに参戦するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)との兼ね合いだ。

 過去10シーズン、ACL組がリーグの覇権を手にした例はわずか3つ。うち2つはグループステージで早々と敗退している。ノックアウトステージに勝ち上がったチームの優勝は2017年の川崎だけだ。J1リーグとACLの両にらみは、想像以上にハードルが高い。

 今シーズンのグループステージはセントラル方式で開催されるため、例年と比べると負荷は小さいが、やはりリーグ戦への影響は免れない。久々にアジアの舞台へ挑むガンバ大阪、名古屋グランパス、セレッソ大阪も懸案の攻撃面でテコ入れを図ったが、二足のわらじをうまく履きこなせるかどうか。覇権争いの行方を左右するポイントかもしれない。

 逆に有力候補へ浮上しそうなのが、王座奪回を企む横浜FMと初優勝を狙うFC東京だ。昨シーズンはACLとの絡みで未曾有の連戦を強いられ、あえなく優勝戦線から脱落した。今シーズンはリーグ戦に専念できるだけにタイトル奪取へ虎視眈々だろう。実際、人的資本の拡充も申し分なく、戦い方の選択肢も広がった。

 4シーズンにわたって優勝から遠ざかっている名門・鹿島アントラーズも候補の一角だろう。前線にエヴェラウドと上田綺世という強力な決め手を持つのは大きな強みだ。ザーゴ体制2年目を迎え、強度の高いフットボールを消化しつつある。ライバルたちをまとめて蹴散らすか。

 サンフレッチェ広島も、争いに割って入る力を秘めている。基盤の堅守は健在だけに、キャンプで試みた新布陣<4-2-3-1>が軌道に乗れば面白い。巨砲オルンガを失った柏レイソルと重鎮アンドレス・イニエスタ(負傷離脱中)を欠くヴィッセル神戸は新たな最適解を見出せるか。浮き沈みの分かれ目かもしれない。

 伏兵がいるとすれば、独自路線の札幌か。昨シーズンは川崎相手に敵地で快勝するなど、その実力は侮れない。ただ、ハイリスク・ハイリターンの冒険的なフットボールを貫くだけに残留争いに引きずり込まれる危険もはらんでいる。ある意味「浮上と転落は紙一重」という戦国リーグを象徴するチームか。

 例年どおり、先の読めない争いになりそうだが、一つだけ確かなことは今シーズンも総力戦になるということだ。負傷などのアクシデントに耐えうる選手層はもとより、5人交代制をフル活用しながら流れを引き寄せるベンチの采配がますます重要な意味を持つだろう。果たして最後に笑うのはどこか。筋書きなき大河ドラマが、もうすぐ始まる。

文=北條聡

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