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【J1展望】片野坂体制6年目の集大成…“シン・トリニータ”は新たなステージへ|大分

昨季の主力選手が多数移籍したことで、片野坂監督は「新しいチームになった印象」と語る [写真]=J.LEAGUE

 片野坂体制6年目の今シーズンは、大幅な変化を感じる。ディフェンスリーダーの鈴木義宜と成長株の岩田智輝、昨シーズンにチーム内得点王となった田中達也ら攻守の主力が移籍した。“想定外の人事異動”により大幅な入れ替えを余儀なくされ、「抜けた穴を誰が埋めるのか」という点が今シーズンの関心ごとのひとつだ。片野坂知宏監督は「センターバックの主力3枚が抜けたところがすごく難しくなります。後ろでボールを回すだけではなく、ポジションの役割と立ち位置を理解し、安定しないと攻守の狙いが合わなくなる」と、危機感を持つ。GKを組み込んだビルドアップは片野坂戦術の肝だけに、最終ラインを早急に確立しなければ大崩れすることになる。
 
 例年どおり開幕までに6週間の準備期間を費やし、戦術の浸透を最優先させてきた。指揮官の狙いはこうだ。「チームとしての狙いを明確にしないと選手が何をすればいいか分からない。アレもコレもでは迷いが生じ、判断も遅れて後手になります。優先順位をつけてプレーしてもらうことが大事。それがはっきりすれば、選手は判断とプレーのスピードが上がりますから」。帰陣時の立ち位置からサイドにボールがある時の体の向きまで、「状況に応じたポジショニングはかなり細かい」とは、ある新加入選手の弁。「細かいところまで準備しておかないとうまくいかない部分が多くなる」(片野坂監督)と、大きな歪みを未然に防ぐことを徹底している。

 苦戦は覚悟の上だが、開幕を前に片野坂体制となり初めてブラジル人選手を獲得したのは興味深い。ブラジルU-20代表歴のあるエンリケ、ペレイラの2選手とも身長は180cm半ば、強さやスピードといった身体的な能力の高さに加え、守備能力にも長けている。彼らがどの段階でチームにフィットできるかは未知数だが、新加入の長身FW長沢駿を含め、これまで平面の地上戦を好んできた指揮官が、高さとパワーを得たことで新たな展開を生み出しそうだ。

 新体制発表の場で「6年目の集大成」と語った片野坂監督。「今シーズンは主力が抜け、新しいチームになった印象です。一からチームを作っていかなければなりません。これまでの5年間で培ってきた戦術やマネジメントのすべてを出して、チームを作る必要があります」と強い覚悟を示し、「今シーズンを戦い抜けば、新しいトリニータを見せることができる」と続けた。

 クラブも、J2やJ3で活躍した福森健太や渡邉新太ら20代半ばの選手を積極的に招き入れた。年齢と完全移籍にこだわって補強を進めたのは、将来を見据えたチーム作りを進めるためだ。今シーズンの目標である1桁順位をクリアすれば、上位進出を目指すための足掛かりとなるシーズンになるはずだ。

【KEY PLAYER】20 長沢駿

新加入の長沢は、チームが待ち望んでいた大型ストライカーだ [写真]=J.LEAGUE

 新体制発表の場で「待望の大型ストライカー」と紹介されたのが、身長192cmの長沢だ。片野坂監督とは2015年にガンバ大阪でコーチと選手の間柄だった。長沢が「カタさん(片野坂監督の愛称)は、試合に絡めずにいた僕と一緒に居残り練習をしてくれました。自分のことを理解し、性格なども分かってくれてのオファーだったと思います」と話すように、前線からのプレッシングを惜しまず、チームプレーに徹する彼のスタイルは片野坂監督好みと言える。

 サイド攻撃を定石とするクロスの多いチームにとって、ターゲットマンの存在は心強い。高松大樹、森島康仁以来の大型ストライカーとして、長沢には大きな期待が寄せられている。

 ただし、同い歳の高山薫や小林裕紀といったクセの強い同級生と比べると、キャラが弱い。「どんな性格ですか?」との問いには、「自分は真面目だけが取り柄です」と間髪入れずに答えた。一方で、最近は最年長の松本怜に「まだ本性を見せていないだけ」と指摘されるなど、愚直キャラを演じているとの噂が絶えない。クラブ公式YouTubeでは高身長を生かし、高角度から撮影するだけのシュールな企画も素直に応じた。「NAGA Tube」と命名された動画がバズれば、新しいキャラが誕生するかもしれない。今後どんな展開を見せるのか、乞うご期待。

文=柚野真也

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