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【月間表彰】「勝利のために、自分がどれだけ体を張れるか」|川上優樹(ザスパクサツ群馬)

2020.11.15

 DAZNと18のスポーツメディアで取り組む「DAZN Jリーグ推進委員会」が、メディア連動企画として「DAZN Jリーグ推進委員会 月間表彰」をスタートさせた。サッカーキングでは今シーズンの明治安田生命J2リーグにおいて、月間MIP(Most Impressive Player)を選定し、その受賞者へのインタビューを掲載する。10月のJ2リーグ月間MIPには、ザスパクサツ群馬に所属する川上優樹選手を選出した。

取材=三島大輔
写真=Jリーグ

——まずは第32節の長崎戦でプロ初ゴールをマーク。おめでとうございます。
川上 ありがとうございます。

——長崎戦を終えて、どのような反響がありましたか?
川上 特にないですよ(笑)。親と友人から連絡をもらったくらいですね。

——プロ初ゴールの感触はいかがですか?
川上 正直、プロ初ゴールの喜びよりも、試合に敗戦した悔しさのほうが大きかったです。

——長崎戦は3試合ぶりのスタメン出場となりました。スタメンから外れたことで感じたことは?
川上 少し試合の間隔が空いただけで、試合勘が薄れていた印象がありました。もちろん、そのような状況でもいいパフォーマンスを見せないといけないのですが、素直に難しさを感じています。

——ここからは川上選手のプレースタイルやキャリアについて聞かせてください。川上選手はパス出し、高さ、スピードと現代型センターバックに必要とされている能力を高い水準で備えています。ご自身で自信を持っているプレーは?
川上 高さには自信を持ってプレーしていますけど、まだまだ競り負けてるシーンがあります。自分のストロングポイントはもっと伸ばしていきたいです。

——カバーリングの場面では素晴らしい判断が目立ちます。幼少期からどのようなポジションを担ってきたのでしょうか?
川上 幼稚園からサッカーを始めて、物心ついたころからずっとセンターバックをやっていました。流れの中で前線に行くことはありますけど、基本的にはセンターバックしかやっていません。

——プロ入りを意識し始めたのはいつごろでしたか?
川上 大学の頃ですね。明治大学の先輩方がプロの世界に入っていく姿を見て、「自分もプロになりたいな」、「ならないといけないな」と感じました。矢板中央高校の時にも何度かJクラブの練習に参加させていただいたのですが、手応えを感じることはできませんでした。「このままプロになって通用するのか」という不安のほうが大きかったです。明治大学に入って、試合に出るようになった。そういう経験を積んだところで「先輩方のようになりたい」とプロを意識し始めました。

——FC東京の安部柊斗選手、中村帆高選手、横浜FCの瀬古樹選手、サガン鳥栖の森下龍矢選手、ギラヴァンツ北九州の佐藤亮選手を始め、昨年度の明治大学は多くのJリーガーを輩出しました。明治大学でともにプレーした選手の中で、特に刺激を受けたチームメイトはどなたですか?
川上 京都に在籍している上夷(克典)さんですね。一つ年上の先輩で、学生時代は私生活でも仲良くしてもらいました。京都入団が決まった時は自分自身もすごくうれしかったことを覚えています。同じセンターバックとして、上夷さんのような選手になりたいという気持ちが強かったです。

——ザスパクサツ群馬への加入が発表されたのは昨年の12月21日。同学年ではプロ入りが決定した選手がいたり、就職活動に専念していたりと、チームメイトの多くが卒業後の進路を決めていた時期かと思います。当時の心境はいかがでしたか?
川上 そうですね。プロを目指していたので、自分自身がやることは変わらないと思っていました。とはいえ、チームメイトは早いタイミングで内定が発表されていたので、正直なところ焦りはありましたね。

——群馬に練習参加した時のことを覚えていますか?
川上 うーん……あんまり覚えていないかな。大学4年生の時に1回だけ参加させてもらいました。いつも通りプレーしようと思っていた気がします(笑)。

——プロのオファー、内定があった時の心境はいかがでしたか?
川上 オファーをもらった時は、すごくうれしかったです。同時にホッとしましたね。「ホントに良かったな」と。自分がやってきたことが間違ってなかったと感じることができました。それからはザスパに入団したあとをすごく意識して練習していました。入団してからがスタートだと考えていたので、内定を頂いたときはようやくスタートラインに立てたかなと感じました。

——ここから今シーズンの話を聞かせてください。プロ1年目はリーグが中断するという予期しないスタートになり、リーグ再開後もなかなか出場機会が訪れない状況が続いていました。どのように日々を過ごしていましたか?
川上 出番が少なかった時期に、自分自身の力のなさを痛感した瞬間がありました。その中で日々の練習にどう取り組むかを常に意識するようにしましたね。先輩方のプレーを見て、盗めるところを探しました。出場している選手を一番近くで見られるのは自分自身ですから。プレー面を学ぶ上で、ザスパには本当に手本とすべき選手たちがそろっています。日々、吸収できるところがすごく多いなと感じています。

——2試合の途中出場を経て、10月4日の第24節のジェフユナイテッド千葉戦で初めてスタメン出場を果たしました。
川上 (第18節の)京都戦で長い時間の出場機会があったのですが、その時は緊張してしまって、あまり覚えていないんです。本当にあっぷあっぷしてしまって(笑)。それもあってか初スタメンの時は緊張はしなかったです。試合に問題なく入ることができました。試合前にみんなから声掛けもしてもらっていたので、それも影響していたと思います。

——千葉戦はプロ初先発で完封勝利。印象に残る試合になったのではないでしょうか。
川上 自分が初めてスタメンで出て、その試合を無失点で終わることができた。個人的にはすごい良かったと思える試合になりました。

——10月は千葉戦を含めて6試合すべてで先発出場を果たしました。ギラヴァンツ北九州やFC琉球、ヴァンフォーレ甲府戦と、攻撃力のあるチームを相手に完封しています。出場を積み重ねていく中で自信を得た部分はありますか?
川上 初めてスタメン出場した千葉戦で、クレーベ選手と競り合ったシーン。大きい選手を潰せたのは自分の自信につながりました。とはいえ、攻撃陣を抑えられたのは自分一人の力ではありません。チームとして守備の意識がすごく高かったからこその結果だと思っています。チーム全体としていい流れができていたと思っています。

——群馬は攻撃的なサッカーがフォーカスされるチームです。最終ラインの選手としてのビルドアップに手応えを感じていますか?
川上 ビルドアップの能力はまだ自分に足りてないと感じています。ボランチの(岩上)祐三さんだったり、宮阪(政樹)さん、内田(達也)さんに助けてもらっている場面が多い。能力値として伸ばさないといけないと思っています。

——チームとして10月は結果が伴ってきた一方で、上位に位置する福岡と磐田に敗北を喫しました。上位陣との差はどんなところにあると感じていますか?
川上 上位陣と試合をする時に感じたのは、一つひとつのパスの質や決定力の高さ。今の群馬と比較すると、不足しているところだと感じています。

——川上選手個人にとって、10月はキャリアの分岐点となるような1カ月だったのではないでしょうか。
川上 個人的に10月は試合に出場する回数が多くなりました。出場機会を得たことはプラスですが、同時にもっといいパフォーマンスを出さないといけなかったんじゃないかと感じています。

——手応えを得たというよりも、成長する必要を感じたと?
川上 そうですね。

——チーム全体として10月を総括すると?
川上 チーム全体としても少なからず勝ち点を積み上げられた月だったと思います。だけど、試合内容を考えると、もっと勝ち切れる試合があった。そこで勝ち切らないと順位を上げていくのは難しいんだなと感じています。

——リーグは終盤戦に入っていきます。どういったプレーでチームに貢献したいと考えていますか?
川上 DFなので、ゴール前の最後の場面でどれだけ体を張れるか。それがチームの勝利につながると思います。どの試合でも失点しないことが一番チームのためになります。ゴール前で体を張って、無失点で試合を終える。そういったパフォーマンスでチームの勝利に貢献したいです。

——チームとしての共通目標は?
川上 チームの目標は、勝ち点50の16位以内。そこを目標にしています。個人的にはそれ以上の成績を残せるんじゃないかと思ってプレーしています。とはいえ、目標を越えるためには、チーム全体としてやらなきゃいけないことがたくさんある。日々の練習から全体でのすり合わせが大事になってくると思いますね。

——プロ1年目という中で試合出場を重ねていますが、プロになって改めて設定したご自身の目標はありますか?
川上 個人的にはさらに上のレベルでやってみたいですし、チームとしても下位ではなく上位のチームになれるようになりたい。おそらくサッカー選手であれば目標が尽きることはないと思います。常にさらに上に行きたいと感じながら成長していきたいです。

——先ほども触れましたが、今季は川上選手の同期である明治大学卒の選手が話題になっています。同期はどういう選手たちが多かったのでしょうか?
川上 みんながみんな個性的で、まとまりのない年代だと見られていたと思います。だけどサッカーになると、全員がすごく真摯に取り組んでいたというか、とにかく負けず嫌いが多かった。そういう意識が強かったので、ピッチの中でのまとまりは強かったかなと感じています。

——カテゴリーを問わず結果を残している選手がたくさんいます。彼らの出場やゴールは気になりますか?
川上 そうですね。みんなの活躍は結構気にしちゃっています(笑)。SNSを通して活躍を知ることが多いですね。彼らから自分も刺激を受けています。お互いに刺激し合えたらいいなと思います。

——群馬というクラブをどういうチームにしていきたいか。また、その目標に向けて個人としてはどんなアプローチをしていきたいですか?
川上 チームとして今シーズンはずっと下位にいる状態です。周囲からも「J3から上がってきたチーム」と見られてしまいます。だからこそ、J2でも戦える、上位にも食い込めるチームなんだということをこれからの結果で示していきたいです。自分自身のプレーとしては先ほど言ったように、ゴール前の体を張る守備がどれだけできるか。それが今後の順位にも関わってくると思うので、強く意識してやっていきたいです。

——最後に群馬のサポーターの方、サッカーキングの読者に一言メッセージを。
川上 群馬のためにゴール前で体を張って守備をしていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。

By 三島大輔

サッカーキング編集部

サッカーキング編集部所属。 週刊J2&月刊J3 MC。Jリーグ&ブラジルサッカーウォッチャー。

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