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2万人が熱狂した大阪ダービー。コロナ禍の応援合戦も白熱!

2020.11.04

大阪ダービーで好プレーを見せた清武[写真]=白井誠二

「両チームとも力を出し切った試合だったし、充実したダービーになった思います」

 セレッソ大阪の10番を背負う清武弘嗣は試合後、清々しい表情で言い切った。


 11月3日に開催された明治安田生命J1リーグ第26節、セレッソ大阪vsガンバ大阪の大阪ダービー。チケットは完売し1万9,553人が詰めかけたなか、試合前には特別ゲストの天童よしみが『セレッソ大阪 アンセム』を歌い上げ、特別な一戦を盛り上げた。

天童よしみが『セレッソ大阪 アンセム』を斉唱。声を出してはいけないサポーターの思いを背負って歌声を響かせた[写真]=CEREZO OSAKA

 互いにとって負けられない大一番は、32分に井手口陽介のゴールでG大阪が先制するも、その直後にC大阪の豊川雄太が頭で押し込み、1-1の同点に。後半に入ると、意地と意地がぶつかり合う試合がさらにヒートアップ。球際では激しい攻防が繰り広げられ、互いにチャンスを作り合う。しかし、あと一歩のところで決勝点は生まれず、1-1の痛み分けに終わった。

後半アディショナルタイムに放たれた清武のオーバーヘッドシュートもわずかに枠を逸れ、試合は1-1で終了した[写真]=白井誠二

 「満足はしていない。勝ちたかった」(C大阪ロティーナ監督)
 「結果に関して、残念な思いはある」(G大阪宮本恒靖監督)

 試合後のオンライン会見で両軍の指揮官は、素直に悔しさを吐露した。大阪ダービーという特別な一戦で勝利することは、終盤戦に向けて勢いを加速させていく上で何よりの“特効薬”になる得る。

 絶対に負けたくない。その思いは両チームのサポーターも同じだが、新型コロナウイルスの感染防止対策として声を出すことは禁じられている。それでも、創意工夫を重ね試合のテンションに負けないほどの熱い応援合戦を繰り広げた。

 ホームのC大阪は入場者1万5,000人に大阪人にはなじみ深いハリセンを配布。たたいて応援するという新しい試みにチャレンジした。C大阪のスタッフ島田皓介さん(事業部ファンマーケティングユニット所属)は、ハリセンに込めた思いを次のように明かしてくれた。

「手拍子は解禁されたとはいえ、現状はサポーターの皆さんは思いを選手に届けづらい。そこでハリセンを使っていただき、まとまりのある大きな音を出してもらうことで、チーム、選手を応援してもらうと同時に、新しい応援スタイルになるかもしれないと考え実施することになりました」


配布されたハリセンは選手入場時には広げて掲げられ、試合中は応援アイテムに[写真]=白井誠二

 実際、試合中はスピーカーから流れるチャントに合わせてハリセンを「パン! パン! パン!」とたたく音が響きわたっていた。その大きな音は当然、選手たちの耳にも届いていただろう。

 島田さんもある程度の手応えを感じたという。「思っていたよりも良かったです。課題もありましたが、音の大きさ、迫力は出せていたと思うので、ホームの雰囲気を作れたはず。普段は手をたたかないであろう人もハリセンをたたいてくれていましたし、たくさんの人に応援に参加していただくという意味でも良かった」。

 一方のG大阪サポーターも気合十分でダービーに臨んだ。ブロックごとに青と黒のゴミ袋を身にまとい、90分を通してスタンドに美しいコレオグラフィを表現。コロナ禍になる前から“ガンバ・クラップ”(勝利した試合後に選手とサポーターが手拍子で喜びを分かち合う儀式)を実践していたとあって、手拍子はお手の物。試合前からSNSで呼び掛けるなどして、最大限の音量で選手を鼓舞していた。

G大阪サポーターはコレオグラフィで選手を後押し[写真]=白井誠二


 互いのライバル意識の強さや強豪同士の対決から、Jリーグ最高峰のダービーと評価される大阪ダービー。約2万人の観客によって作り上げられた雰囲気は、サポーターにとっても喜びを感じるものになった。

 「駅から出た時、人の多さにビックリしました。スタンドは360度、人で埋まっていたし、ハリセンでの応援も一体感が感じられて迫力があった。昨シーズンの雰囲気に戻りつつあると感じられたので、すごくいいダービーになったと思います」(C大阪サポーター)

 選手を後押しするため、“日常のJリーグ”を取り戻すため、サポーターもクラブスタッフも、できることを一生懸命にやっている。記念すべき40回目の大阪ダービーは、その熱い思いを改めて感じさせる試合にもなった。

文=山本剛央

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