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中村憲剛こそが“等々力の神”か…驚異的な勝負強さでチームを12連勝に導く

2020.10.31

[写真]=金田慎平

「説明がつかない」……本人も驚きを隠せない“持ってる選手”っぷりだ。今日40歳の誕生日を迎えた川崎フロンターレ中村憲剛が、Jリーグ屈指のダービーマッチ『多摩川クラシコ』で決勝点を挙げる活躍を見せたのだ。

●『点、取れちゃいますね』レジェンドを後押ししたエースからのメール

[写真]=金田慎平



 川崎はこの試合、立ち上がりからいつも通りのハイクオリティな試合展開を見せ家長昭博のPKで先制に成功。中村自身も頻繁に相手ゴール前に顔を出し攻撃のタクトを振るった。しかし後半、システムを変更し攻勢をかけるFC東京に押し込まれ、同点に追いつかれてしまう。この時までは中村自身、「今日は自分の日ではない」と感じていたそうだ。

「誕生日に試合というシチュエーションはキャリアで初めてだったので、気持ちの持って行き方がわからなくて。試合前、(小林)悠からメールをもらって、『点取れちゃいますね』と(笑)。『お前のメンタリティだからそう思うんだよ、バースデーゴールなんて狙えないよ』と思ったんですが、試合が始まったら『やっぱりバースデーゴールほしいな』と(笑)。前半から積極的にシュートを打って、なかなかゴールまでは至らなかったんですが、念じ続けたら(三笘)薫からいいボールが来て得点できました。小林のメールのおかげですね」

中村憲剛のメモリアルゴールを生んだ新人

[写真]=金田慎平


 中村のゴールをお膳立てするクロスを供給したのは、新人ながら今季リーグ戦で11得点を記録している三笘薫だ。ゴールを振り返る中村の口調からは、三笘がすでに絶大な信頼を得ていることがうかがえる。

「あそこは薫に勝負させました。薫のペナルティエリアへの侵入角度がグングンと深くなっていくのを見て、『これはオレ、ゴールできるんじゃね?』と思ってゴール前に入ったら素晴らしいボールをくれて。薫に感謝したいです」

●「同じピッチに立てて幸せ」天才MFも惚れ込む実力とカリスマ性

[写真]=金田慎平

 ユース時代から“天才”と呼ばれ、Jリーグやラ・リーガでも実績を積んできた家長昭博も、中村の存在感の大きさを手放しで称賛する。

「憲剛さんは今日が40歳の誕生日ですけど、一緒にやっていて40歳とは思えない、それくらい良いパフォーマンスを維持している。本当に心強い選手がケガから帰ってきてくれたな、と感じます。僕らにとってもそうですけど、サポーターの皆さんにとっても替えが効かない選手ですよね。フロンターレそのものというか。同じピッチに立てて光栄です」

 中村の誕生日に際して何か声をかけたのか、という報道陣からの問いかけには少しはにかむ様子を見せながら次のように語り、その関係性の深さをうかがわせた。

「特段話はしていないですけど、僕と憲剛さんはピッチ上でボールで会話ができますから。今日は憲剛さんにとって特別な日だったと思いますけど、変わらず良い関係でプレーできました」

 指揮官・鬼木達監督も、中村について「名古屋戦でも結果を出しましたし、日々のトレーニングでも良いパフォーマンスを見せ続けてくれている。日々の積み重ねが結果に現れていますから。今日も本当に素晴らしいプレーを見せてくれました」と語り、絶大な信頼感を示した。本人は「等々力陸上競技場に神様がいた」、「誕生日に多摩川クラシコで決勝ゴールを決めるなんて、理由を理屈では説明できない」と謙虚に語る。しかしそれは、その積み上げてきた努力と実力で、中村憲剛こそが“等々力陸上競技場の神”になりつつある、ということなのかもしれない。


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