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相手のプラン通りでも、やり続けるのが川崎F。同点&逆転ゴールの山根・三笘にも慢心なし

2020.07.27

 試合後のオンライン会見に現れた鬼木達監督の表情や声には、どこか余裕すら感じさせられた。前節ベガルタ仙台戦に続き先制点を奪われる展開だったが、まるで指揮官には結末がわかり切っていたかのようだ。「ホームのサポーターの前でゴールと勝利を届けられてうれしい。逆転できたのは前半から攻撃し続けたからこそ。選手たちがよくやってくれました」と、穏やかな表情で自チームをねぎらった。

◆またも交代策が機能…「選手層はうちがNo.1」

 後半途中から送り出した三笘薫田中碧がしっかりと期待に応え、ゴールを決めて見せた。サブの選手の質を問われると、鬼木監督は「選手層の厚さはJリーグでうちが一番。誰を出しても信頼できる。出場する選手が違っても、変わらないプレーをすることがフロンターレの哲学です」と胸を張った。


◆同点弾・山根が語ったのは、反省と古巣への想い

[写真]=金田慎平


 山根視来も、自身が決めた同点ゴールの話題を振られても淡々としていた。それよりも、すぐに反省を口にし、「ちょっとした隙を突かれて先制されてしまいましたから。それは無くしたいし、僕自身もっとチャンスに絡みたい。全体的に向上しないといけないと感じています」と兜の緒をしめた。古巣である湘南への想いを問われると「僕がいた頃とは監督も違って、もちろん別のサッカーをしている」と前置きしながらも、今も持つ愛情とライバル心を語ってくれた。

「湘南の選手たちに、走力では絶対に負けないと思って試合に入りました。でも、あまりボールを取りにこなかったので……。爆発したときの湘南はもっともっと強い。次対戦するときもやられないように準備していきたいです」

 確かに、この試合の湘南は守備時には5-3-2のブロックを敷き、ボールの取り所を少し深めに設定していた。湘南がボールを持った際には、山根の裏のスペースを狙われるシーンもあったが、ジェジエウとの連携でうまく回避した。“湘南スタイル”を知る山根は、さらに激しいプレッシングやスプリント合戦を予想していたのかもしれない。

◆恐ろしいほど冷静。自分を客観視する三笘薫

[写真]=金田慎平


 自身のゴールについて手放しで喜ばなかったのは、Jリーグ初得点が逆転&決勝弾となった三笘薫も同じだった。「ゴールよりも、ミスやうまくいかなかったプレーの方が印象が強い。課題の方が大きい試合だなと思います」と言い切った。「今は途中から流れを変える役割を求められているので、それに徹しています。でも、やっぱりスタートから出て、試合を作ることもできるようにならないと。終盤のオープンな展開では自分の良さは生きますが、それ以外のシチュエーションではどこまでプレーできるかわからない。いろいろな状況でのプレーを見せていきたいです」と、自身が置かれている状況を冷静に分析した。この日先発出場した旗手怜央、途中から投入された宮代大聖らと切磋琢磨しながら、どこまで成長していくのか。計り知れないポテンシャルを感じさせられた一夜だった。

◆川崎Fが見せた“ダービー相手”へのリスペクト…Jリーグの日常を取り戻す戦いは続く

[写真]=金田慎平


 この日の観客来場者数は4724人。本来ならば、“神奈川ダービー”はサポーターで超満員となるはずだが、現状は5000人の上限が存在し、アウェイの湘南サポーターの姿もない。しかしキックオフ前、等々力陸上競技場のオーロラビジョンには「湘南ベルマーレサポーターの皆さん 再び等々力でお会いできる日を楽しみにお待ちしています」の文字が映し出された。さらに、湘南のスターティングメンバー発表の際にも、川崎Fサポーターから拍手が贈られた。本当の意味での“Jリーグの日常”がいつ戻ってくるのか、予測できない状況が続くが、今は各クラブ、サポーターがリスペクトし合いながら、一歩ずつ進んでいくしかない。

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