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J1最多の632試合出場へついにリスタート…「ピッチで試合ができる喜びを感じたい」 遠藤保仁(ガンバ大阪/MF)

[写真]=©J.LEAGUE

 今月21日に関西三県の緊急事態宣言が解除され、ガンバ大阪も25日から練習再開に踏み切った。密集、密接、密閉を避けるため、現時点では約10人ずつの3グループに分かれた練習からスタート。当面はクラブハウス内の施設も使用できないという。さまざまな制約がある中でのリスタートだが、選手たちにとっては芝生の上で思いきりボールを蹴れるだけでも、大きな前進と言っていい。

「新型コロナウイルスがこれだけ世界中に広まってしまったんでしょうがないですね。慌てる必要ないと思いますし、選手や会社の人だったり、サポーターの健康が第一だと思うので、冷静な判断でやっていただけたら、選手が従うだけですね」

 活動休止前の3月下旬、遠藤保仁は冷静にこう語っていた。2006年と2008年にウイルス性感染症で入院し、北京五輪を棒に振った経験もある彼だけに「慌てる必要はない」という言葉にはズシリという重みが感じられた。「普段より気を付けて、しっかり休養や栄養を取って、手洗いやうがいという基本的なことを徹底してやっています」という言葉通り、この2カ月間も自己管理を徹底していたに違いない。こういった地道な努力が大きな力になるはず。ピッチに戻ったときにはこれまで通りの高度なテクニックと鋭い戦術眼を発揮してくれるに違いない。

 そんな遠藤にとって今回の練習再開は大きな意味がある。というのも、2月23日の今季J1開幕、横浜F・マリノス戦でJ1歴代最多出場記録となる631試合に到達。あと一つで横浜フリューゲルスの先輩・楢崎正剛を超えるところまで来ているからだ。

「これだけ試合に出る大変さっていうのは、たぶん僕と正剛さんにしか分からないところがあると思う。正剛さんの偉大さを痛感しております」と彼は横浜戦後、第一声でこう語ったが、トップに並ばれた楢崎は「若いときは勢いでやっていけるし、そんなに深く考えなくても体が動いたりするけど、40歳とかになってくるとそれなりの頑張りが必要になるから。ヤットはそんなに意識を持たずにやってるとは思うけど、やっぱり大変ですよ」と後輩を慮っていた。

 J1再開日程はまだ決まっていないが、次戦に遠藤が出場すれば、632試合となり、ついに単独トップに躍り出る。抜かれる側の楢崎は「今までナンバーワンが一つの名刺代わりだったから、それがなくなるとちょっと寂しいけど、その記録に相応しい選手が1位になるわけなんで、僕は2番でも大丈夫です」と遠藤に最大級の敬意を払っていた。温かい言葉を贈ってくれる偉大な先輩の思いに応えるためにも、まずは実戦をこなせるレベルまでコンディションを高めていくことが肝要だ。「またフィールドに立って喜びを感じられるようにしたいなと思います」と新たな意欲を持って公式戦に突き進むつもりだ。

 しかしながら、98年のプロ入りから23年目を迎えた百戦錬磨の遠藤にとっても、3カ月もの予期せぬ中断期間に直面したのは初めてのこと。ここからいかにして調子を上げていくか悩む部分もあるだろう。キャンプでしっかり体を作ると同時にチーム戦術を刷り込み、開幕で昨季王者を撃破した直後のリーグ休止だったのだから、その領域まで再び引き上げる作業はたやすいものではない。「40歳になるとそれなりの頑張りが必要になる」と楢崎も指摘していたが、ピークまで持って行く時間は若手よりもかかる可能性はある。そこは宮本恒靖監督にとっても懸念材料の一つかもしれない。

 けれども、彼には比類なき戦術眼とゲームコントロール力という絶対的武器がある。開幕戦でもボランチのポジショニング変更を指揮官に進言し、修正を図ったことでチーム全体が落ち着き、勝利につながるという大きな仕事をしてみせた。倉田秋も「やっぱ頭がいいし、サッカーIQがずば抜けていて天才やと思う。だからこそ、あそこまで人を動かしてゲームをコントロールできる。それは日本一やと思います」と神妙な面持ちでコメントしたが、そういう能力は3カ月程度の休止期間に失われるものではない。ガンバも井手口陽介や福田湧矢ら20代前半の選手が台頭しつつあるが、やはり遠藤がいてこそ、試合が引き締まる場面も少なくない。その底力を大いに発揮することが再開後のチームの大きなエネルギーになるはずだ。

「最終的に何試合くらい出たい? 試合数とかは決めてないですけど、充実したサッカー人生を送りたいと思うんで。そのためには試合に出ないといけないですし、いい準備をしていかないと若い選手がどんどん出てくる。それに負けないようにやっていきたい。『負けたくない』っていう気持ちが自分の原動力かなと思います」

 自宅待機になったことで、本人も認める「負けじ魂」はより一層、高まったはず。普段からあまり感情は表に出さない男だが、蓄積してきた熱い思いを示すのは再開後の公式戦の場しかない。自分の存在価値を改めて実証するためにも、ここから1カ月程度の準備期間を大切にして、次はスタメンで新記録達成の瞬間を迎えてほしいものである。

文=元川悦子

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