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J挑戦2年目は「サイコー!」のシーズンに…タイサッカー界の“至宝”が新たな歴史を刻む

2018.12.19

ベストイレブンを受賞したチャナティップ [写真]=J.LEAGUE

 今季の明治安田生命J1リーグ年間最優秀選手は家長昭博(川崎フロンターレ)だったが、もしもJリーグアウォーズのMVPを決めるのであればチャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)で異論はないだろう。優秀選手賞を受賞し、壇上に上がると「こんばんは。僕、嬉しいかったね。ありがとうございます。今、ドキドキ!」と日本語でスピーチ。インタビュアーを務めた平畠啓史さんの“絶好のフリ”を一度スルーしてしまったが、お決まりの「サイコー!」で会場を盛り上げた。そして、東南アジア出身選手では初となるベストイレブン受賞を果たした。

[写真]=J.LEAGUE


「ありがとうございます。今年は素晴らしいシーズンね。ありがとう野々村社長、ありがとうミシャ、ありがとうチームメイト、ありがとうスタッフ、ありがとうティーさん(通訳)、ありがとうサポーター。本当にありがとう! 来年もコンサドーレで頑張ります!」

 札幌の野々村芳和社長、村井満チェアマン、高円宮妃久子殿下、全てのJリーグファンが我が子を見守るような眼差しで“微笑みの国”からやってきたスター選手のスピーチを見守った。会場は何とも言えない柔らかい空気に包まれ、割れんばかりの拍手が送られた。

 チャナティップは昨年夏に加入するとすぐさま主力に定着。16試合に出場したが、得点を奪うことはできなかった。今季はミハイロ・ペトロヴィッチ監督の就任で攻撃的なサッカーを志向するチームに生まれ変わると、その才能が一気に開花。身長は158センチと小柄ながら、抜群のテクニックで相手を翻弄し、左右両足から繰り出される正確なシュートで8得点をマーク。J1リーグでは30試合に出場し、札幌4位躍進の原動力となった。文句なしの優秀選手賞、そしてベストイレブン選出だろう。

 ベストイレブンを受賞した西大伍(鹿島アントラーズ)、ファン・ウィジョ(ガンバ大阪)、ジョー(名古屋グランパス)が欠席したため、会見ではチャナティップ以外全員が川崎の選手という顔ぶれに。「ビッグネームが周りにいる中、まさか自分がベストイレブンに入れるとは思いませんでした」と謙遜しつつ、「ミシャをはじめ、素晴らしい社長、スタッフ、チーム、ファン・サポーターなしではできなかったことだと思います。支えてくれた家族、チーム、ファン・サポーターに感謝しています」と心境を語った。

[写真]=J.LEAGUE

「チャナティップに続け!」とばかりに今季からチャウワット(セレッソ大阪)、ティーラトン(ヴィッセル神戸)、ティーラシン(サンフレッチェ広島)がJリーグに参戦。Jリーグ公式メディアではタイ人選手のプレー動画やインタビューを配信し、タイ語で多くのコメントが寄せられた。また来年1月にはJリーグアジアチャレンジの開催も決定し、空前の“タイブーム”が訪れている。

 キングカズに憧れを抱いた選手がたくさんいるように、チャナティップに憧れてJリーグを志すタイ人選手は今後も増え続けるだろう。チャナティップのベストイレブン受賞は、その流れをさらに加速させるファクターになったはずだ。ピッチの中でも外でも愛されるチャナティップにはタイサッカー界をけん引するだけでなく、“Jリーグの宝”として来季以降もさらなる飛躍を期待したい。


By 三島大輔

サッカーキング編集部

サッカーキング編集部所属。 週刊J2&月刊J3 MC。Jリーグ&ブラジルサッカーウォッチャー。

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