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【インタビュー】ヴィッセル神戸で成長曲線を描く郷家友太が見据える先

2018.12.17

プロ1年目にしてリーグ戦22試合に出場した郷家友太 [写真]=︎NIKE

 2018シーズン、高卒ルーキーの中でもっとも成長したフットボーラー。そう表現してもいいのかもしれない。

 高校からヴィッセル神戸に加入すると、第4節で初先発を飾り、以降も継続的にピッチに立った。トレーニングから“世界一”を経験した2人のスーパースターたちと切磋琢磨。その刺激的な日々を過ごす中で、地に足をつけながら努力を重ねてきた。決しておごることはなく、「1日、1日の練習を大切に」。


 10代らしからぬ「落ち着き」と「自信」を備えつつある郷家友太。その眼差しは、2019年のさらなる飛躍を見据えている。

この1年で「体力の配分」ができるようになった

――J1リーグでは20試合以上に出場するなど、変化や成長を感じたプロ1年目だと思います。振り返ってみていかがですか?
シーズン前半は、試合に出場できている自分に驚いていました。でも、出場を重ねるうちに課題がたくさんみつかって、「もっとできたんじゃないか」と後悔するようになりました。夏を過ぎた頃からは自信がついてきて、ゴールに迫る場面もかなり増えました。(アンドレス)イニエスタの加入も、僕の成長に大きな影響を与えたと思います。身近にいいお手本がいるので、学ぶことは多いですね。

――神戸に加入した頃の自分と比べて、何が一番変化したと思いますか?
落ち着きが出てきたと思います。初めは「若いんだから、一番動かないといけない」という思いが強すぎて、人のために走ることばかりを考えていました。無駄な走りが多くて、いざチャンスが来た時に走れなくなっていた。でも、(フアン・マヌエル)リージョ監督が来てからは、コンセプトが変わったこともあって、ここぞという時に走れる力を残せるようになりました。自分でペースを考えながらゲームを進められるようになったと思います。

――体力の配分ができるようになったんですね。
そうです。高校の時はひたすら走って、ひたすら突っ込んで、頑張るという感じでした。でも、プロはそれだけでは通用しないということが分かった。体のケアもそうです。ピッチ外の時間の使い方は、高校生の時よりも考えるようになりました。

――すべてをサッカーに捧げるという意識が強くなった?
はい。チームの練習は長くても2時間半なので、それ以外の時間はフリーになる。僕はクラブでマッサージをしてもらったり、家でできるストレッチや筋トレをしたり、体のケアに時間を充てています。いつ終わるか分からないプロ生活をより長くするために、何があってもケアの時間を作るようにしています。

――2月にお話を聞いた時、プロは判断のスピードが速いと言っていました。スピードに慣れるために意識したことはありますか?
周りを見る回数を増やしました。それと、吉田(孝行)前監督に質問したら、「ユースから上がった選手も最初は戸惑うけど、慣れれば自然と周りが見えてくる」と言われました。実際に慣れてくると人の動きが自然と見えてきたので、やっぱり慣れは大切だと思いました。

郷家友太

――世界トップクラスの選手とプレーしていて、刺激を受けることは多いと思います。
イニエスタと最初に練習をした時は、1本のパス、1本のシュートに驚きました。「イニエスタしか通せないパスがあるんじゃないか」と思ったほどで(笑)。でも、イニエスタもルーカス(ポドルスキ)もやっていることはシンプルなんですよ。空いていればパスを通すし、空いていなければシンプルにサイドを使う。世界を経験している二人の状況判断はさすがだと思いました。

――彼らのようにレベルの高いプレーを試合中に出すために、工夫したことや意識したことはありますか?
僕たち日本人選手が二人のプレーに入っていくことです。前半戦に比べると、今は全員が流動的に動くようになっています。全員で攻撃することは、チームのコンセプトでもある。ボールを受けて前を見た時にみんなが走ってくれるので、僕のプレーの選択肢も増えました。

――その攻撃スタイルは常に周りを見て、バランスを意識しないとできないことだと思います。判断を少し迷っただけでも、攻撃が遅れてしまうのでは?
それはありますね。全員で攻撃をしているということは、後ろが空いている状況なので、一つのミスが失点につながることだってある。軽いプレーはできません。

もう無駄走りはしない。プレーの質を高めて、効果的に動く

――リージョ監督の考えを落とし込んでいく過程で、難しさを感じることはありましたか?
僕がサッカーを始めてから初の外国人監督なので、コミュニケーションが難しいと感じることはありました。でも、やっていくうちにリージョ監督の考えているサッカーが段々と分かってきて、今は溶け込んでいる感覚があります。チームにもコンセプトが浸透してきて、勝てるようになってきました。まだ完全ではないですけど、バルセロナに近づいてきていると思います。前半戦は良い順位にいたのに、連敗をして順位を下げてしまった。ファンやサポーターのみなさんには悲しい思いをさせてしまいました。

――改めて、郷家選手はどういうプレーでチームに貢献したいですか?
監督からは、中継役としてボールを散らしたりして、ゲームをコントロールすることを求められています。吉田監督の時は右サイドハーフでプレーしていましたけど、今は動きすぎずに真ん中でボールを触って、チャンスメークすることを意識しています。

――フィニッシュに絡むというより、少し下がった位置でゲームを組み立てていくイメージですか?
はい。もちろん、ゴールを狙えそうな時は前に飛び込んで行きますよ。でも、無駄走りはしない。今はそういう考えでプレーしています。

郷家友太

――ゲームメークする上で求められるのが的確な状況判断です。
そうですね。実は高校時代に正木(昌宣)コーチに「プレー範囲が狭い」と言われたことがありました。最初はどういう意味か分からなかったんですけど、ビデオを見ると後ろに下がってボールを受けている回数が多かった。それから、もっと危険な位置に入って行くことを意識したら、「改善したな」という言葉をもらいました。自分がピッチの一部でしかプレーをしていないことに気づかされました。ピッチ全体に関わることを意識し始めてから、状況をより判断できるようになったと思います。

――状況を判断した後のプレー精度も大事だと思います。郷家選手は少ないタッチでボールをさばくプレーが印象的ですが、安定したボールコントロールはどうやって磨いてきたのですか?
高校1年生の時に、身長が一気に10センチも伸びて、トラップやキックの感覚が変わってしまったんですよ。両足のかかとが成長痛で、ヒールパスができない時期もありました。でも、身長が高いから下手だとは言われたくなかった。朝練が終わった後も残って、シンプルなショートパスやロングパスをひたすら練習していました。そうしているうちにコントロールが身について、パスの精度が上がりました。

モドリッチのターンに憧れる!

――ルカ・モドリッチ選手に憧れていると聞きました。彼のどんなプレーに魅力を感じますか?
1番はターンです。後ろからパスを受けてのターンや、ドリブルをしながら進行方向を変えるターンなど、いろいろなバリエーションを持っている。あの俊敏なターンを僕もできるようになりたいと思っていて、動画を何度も見ています。

――実際に練習で試したりするんですか?
しています。イニエスタとモドリッチのターンは似ているんですよ。日本人選手は何回もボールを触りながらターンしますけど、外国人選手は1回触っただけでクルッと回ってしまう。その感覚を意識しながらやっていますし、彼らのようにターンのバリエーションを増やせるようにしたいと思っています。

――来年5月には年代別の世界大会が開催されます。最後に意気込みを聞かせてください。
まずはメンバーに選ばれるように、1日1日の練習を大切にしたい。危機感を持って、自チームで頑張っていれば、結果はついてくると思っています。大会までの合宿にはすべて参加して、チーム力を上げる。強豪が相手だろうと、日本らしいサッカーをして、優勝を手にしたいです。

インタビュー・文=山本剛央
取材協力、写真=ナイキジャパン

郷家友太が語るスパイクへのこだわり

郷家友太

――愛用している「ファントム ビジョン」は、郷家選手のどういうプレーをサポートしてくれていますか?

僕は足の甲が低いんですけど、インサイドの銀色になっている部分が高さを作ってくれています。そのおかげで、コントロールが安定します。

――スパイクに1番求めることは何ですか?

フィット感です。「ファントム ビジョン」は履いた瞬間からフィットしてくれるので、慣れる必要がない。ナイキのスパイクは僕の狭い足幅にもぴったりと合います。

郷家友太

――ナイキのスパイクを履くようになったきっかけは?

高校生の時に親がナイキのスパイクをプレゼントしてくれたのがきっかけです。安定感があって、中ずれもしなかったので、すぐに気に入りました。長い間使っても型が変わらないところも良かったです。自分の足に合ったことが、今でも履いている一番の理由ですね。

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