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【ライターコラムfrom磐田】長期離脱のアダイウトンが復帰へ前進…救世主となれるか

2018.10.29

アダイウトンは今季中の復帰を目指している [写真]=J.LEAGUE

 ブラジル人MFアダイウトンが、ついにピッチへ戻ってきた。10月26日の全体練習。全員で行ったシュート練習では慎重に蹴っていたため威力はなかったものの、丁寧にコースをついてゴールネットを何度も揺らした。

「気分よくやれたよ。部分合流だったけど(復活への)自信になる。ブラジルでボールを使ったトレーニングまでやっていたけど、1人でリハビリしていたので、周りにたくさんの選手がいる練習はやっぱりいいね」とアダイウトンは合流初日の感想を笑顔で語った。


 ツキに見放された今季のジュビロ磐田を象徴するようなアクシデントだった。3月18日のサンフレッチェ広島戦で、守備に戻ろうとダッシュしたアダイウトンが転倒。その後の検査の結果、右ひざ前十字じん帯断裂と半月板損傷で全治6カ月と診断された。3月10日のFC東京戦で今季のチーム初得点を挙げたばかりの男の長期離脱は、チームに不穏な空気を漂わせた。

アダイウトン

広島戦で大ケガを負ってしまったアダイウトン [写真]=J.LEAGUE

 アダイウトンの負傷から助っ人勢の“崩壊”状態が始まった。3月27日、MFムサエフがウズベキスタン代表の試合で右ひざ前十字じん帯と外側半月板を損傷し、全治6カ月の診断。5月2日の横浜F・マリノス戦では、ブラジル人DFギレルメが相手選手やスタッフへ暴行を加え、契約を解除された。ピッチに立つ外国籍選手はGKカミンスキーだけという期間が長く続いた磐田は、攻撃で迫力を欠き、失速していった。

 自身の現役時代の経験から、ケガから復帰した選手に対して慎重な姿勢を崩さない名波浩監督が、アダイウトンの公式戦復帰について「今季どこかで間に合えばと思っている。最後には間に合ってくれると思う」と12月1日の川崎フロンターレとの最終節を復活のめどに挙げた。アダイウトンが万全の状態なら、チームは前への推進力を高められる。以前のようなスピードが今季中に戻ることは難しいだろうが、アダイウトンの磐田での存在感は大きい。なにより、救世主が出る可能性があるのとないのとでは、精神的にもタフになる今後を見据えれば違ってくる。

「試合に出るか出ないかは、監督やスタッフが決めること。自分は常にいいプレーを見せていくだけ」とアダイウトンは話したが、「チームが置かれた状況は分かっている。気持ちは持っている」と今季中にピッチに立つレベルまで回復させることを目指す決意を示した。

 6戦勝ちなしで30日にホームのヤマハスタジアムへ迎える相手は湘南ベルマーレ。残留を争う相手に、勝てば順位をひっくり返すことができる。当初は9月30日に行われる予定だったが、台風による悪天候が予想されたため、延期された一戦。1カ月前はどちらもチーム状態が良くなかったが、相手は28日にYBCルヴァンカップを制した。日程的には厳しい状況だが、勢いを増していることは確実だろう。救世主となるべく今季中の復帰を目指すアダイウトンの思いを無駄にしないためにも、カップ戦王者になんとしてでも食らいつきたい。

文=岩田大五

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