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【ライターコラムfrom清水】オリバ以来のインパクト! ドウグラスは“エスパルス史上最高の助っ人”になれるか?

2018.10.06

7月の加入以来、清水でゴールを量産しているドウグラス [写真]=J.LEAGUE

「正直、ドウグラスはちょっと次元が違うなと思う。今まで見てきたブラジル人選手の中では、ジュニーニョ以来のすごい選手だなと感じています」

 7月に清水エスパルスに加入して10試合7得点(第28節まで)を記録している“新助っ人”のドウグラスについて、同僚の鄭大世はそう語る。引き合いに出したジュニーニョは川崎F時代の元チームメイトで、圧倒的なスピードと得点力でJリーグに旋風を巻き起こし、J2とJ1の両方で得点王に輝いた史上最高の外国籍選手と言うべきレジェンド。「ジュニーニョ以来」というのは相当な評価と言える。


 この夏はケガでスタンドから試合を観ることが多かった鄭は、ドウグラスの能力に唸らされる場面が多かったという。

「最初の試合(7月22日のG大阪戦)でヘディングで決勝点を挙げた場面を観て『この選手はヘディングが強いな』と。僕もヘディングには自信があるのですぐに分かるんですよ。その上で、裏に抜ける走り(スピード)で相手に勝てるし、引いてボールを受けてタメを作ることもできる。『えっ、それを決めるんだ!?』というゴールが多いし、本当に何でもできちゃう。ブラジルの選手は能力は高いけど短所もあるというケースが多いけど、ドウグラスにはそれがない。ちょっとクラスが違いますね」

 鄭はなかば脱帽しつつも、戦列復帰してドウグラスと一緒にプレーすることを心から楽しみにしている。もちろん、清水サポーターも筆者も、ドウグラスのプレーにはワクワクさせられっぱなしだ。鄭が例に挙げたデビュー戦でのヘディングシュートを筆頭に、川崎戦(8月11日)で決めた見事な1トラップからの左足シュート、さらには横浜FM戦(8月29日)で決めた胸トラップからのボレーなど、思わず「ハンパねえ!」と叫びたくなるようなゴールシーンが多い。

ここまでのインパクトは歴代の外国籍選手の中でも一、二を争う[写真]=J.LEAGUE

 鄭はドウグラスの衝撃をジュニーニョに例えたが、古くからの清水サポーターにとっては「オリバ以来」と言うほうが分かりやすいだろうか。1996年にエスパルスの一員となったアルゼンチン出身のオリバは、ドウグラスと同様にフィジカルと技術をハイレベルに両立させ、独創的なプレーと高い得点力でサポーターを魅了した。同年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)ではクラブ初のタイトル獲得に大きく貢献し、在籍3年目の98年には21得点を記録。今も“エスパルス史上最高の外国籍選手”と評する声は多い。

 ドウグラスが清水サポーターに与えているインパクトは、そのオリバに勝るとも劣らない。また、その存在は清水アカデミー出身で地元の大きな期待を背負う22歳のストライカー・北川航也の成長を促す意味でも大きな役割を果たしている。現在ドウグラスと2トップを組んでいる北川は、相棒について次のように語る。

「速い、強い、うまい。日本のサッカーに慣れていて日本語も話せるので、一緒にやっていて本当にやりやすいです。なるべくドウグラスの近くでプレーするよう心がけていますし、彼の動きと逆のことをやればディフェンスにギャップができるので、そこも意識しています。僕の動きを見てパスを出してくれますし、さらに関係を良くしていけば、お互いにゴールを増やせると思っています」

 地元出身の生え抜きと外国人助っ人がお互いに引き立て合う関係を作れれば、それも理想の一つだろう。さまざまな意味でサポーターの期待は高まるばかりだが、その中でドウグラス本人は次のように考えている。

「シーズン途中からでしたが、早くチームに馴染むことができた。自分とエスパルスの相性はすごくいいし、ここに来たのは正しい選択だったと思っています。その中で自分自身もっともっと成長していきたいですし、エスパルスで必ず何かタイトルを獲りたい。引退した後でまた清水に来た時に、その優勝写真を見たいですね。『ああ、ここでタイトルを獲ったよな』と。そのためにできるだけ長くエスパルスでプレーして、歴史に名前を残したいと思っています」

 その実現に向けて最大の障害となるのは、もしかすると海外クラブによる引き抜きかもしれない。だが、クラブが長くドウグラスを引き留めることができれば、やがて“エスパルス史上最高の助っ人”と呼ばれる日が来るかもしれない。

文=前島芳雄

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