2018.10.05

【ライターコラムfrom京都】苦しいときもリスクを恐れるな! 仙頭啓矢と小屋松知哉が見せた積極性

京都サンガ
スタメン落ちを経て、輝きを放つ仙頭(左)と小屋松(右)の京都橘コンビ [写真]=Getty Images
京都サンガF.C.を中心に取材するサッカーライター

 一時は最下位まで転落していた京都サンガF.C.が、第35節を終えて19位に浮上した。J3降格圏内との勝ち点差を7まで広げ、なんとか残留への道が見えてきた。

 クラブは夏の移籍期間で7人の新戦力を獲得し、庄司悦大やカイオは定位置を確保した。一方で、前半戦の主力の中には出場機会を減らした選手がいる。仙頭啓矢と小屋松知哉が第27節のモンテディオ山形戦で揃ってメンバー外となったのは周囲を驚かせた。

 ボスコ・ジュロヴスキー監督は「これまで(このメンバーで)戦って結果が出ていない」と説明したが、そこにはショック療法という側面もあった。山形戦の翌日、サブ組中心の試合でプレーした仙頭は「パスつなぐスタイルを掲げる中で、相手が一番嫌がる『ゴールを狙うこと』の優先順位が下がっていたかもしれない」と振り返った。翌週のFC岐阜戦でスタメン復帰を果たした仙頭は、試合終了間際に右サイドをドリブルで打開して決勝点をアシストした。2週間前の彼なら、対面したDFへ仕掛けずにボールを後に戻して、攻撃をやり直していたかもしれない。リスクはあったが、抜ければチャンス。そのトライを選択したことで、今季初連勝を引き寄せた。

 小屋松はスタメン復帰まで1カ月半を必要としたが、第22節(延期分)のアビスパ福岡戦で決勝点を挙げると、続くロアッソ熊本戦でも仙頭のロングパスから追加点を決めて、残留争い直接対決の行方を決定づけた。攻守を献身的にこなすハードワークは彼の魅力だが、今季前半戦は低迷するチームの中で肝心の攻撃力をなかなか発揮できずにいた。チームとして決定機が少ないこと、ときにポジションが3バックのウイングバックに下がったことは考慮すべきだが、昨季は8ゴールと二桁得点まであと一歩だった男が、今季は33節終了時で3ゴールと物足りない数字だ。チームとしての戦術面をこなしつつ、いかに特徴であるゴール前への飛び出しを実行するのか。出場機会がない中、練習場で己の嗅覚を研ぎ澄ませた先に2試合連続ゴールがあった。

 もう一つ、熊本戦の守備面について触れておこう。この試合で京都は[4-4-2]の布陣をベースとしながら、守備時は熊本の右ウイングバックである田中達也を警戒して、左MFの仙頭が低い位置へ下がり5バック気味の[5-3-2]になる状況が多かった。仙頭は足がつるまで上下動を繰り返して、本多勇喜とともに左サイドを防衛。その際、中盤はダブルボランチに小屋松を加えた3人となるのだが、小屋松は右サイドから中央へスライドして、マークやカバーといったボランチ的な動きをこなしている。チームには他にも優れた攻撃力を持つサイドアタッカーが控えるが、この重要な3連戦で彼らが起用されたのは、こうした攻守両面の戦術理解や実行力が評価されているのも理由の一つだ。

 最後に二人の関係性が見れるエピソードを紹介したい。熊本戦の後、彼らはインスタグラムにストーリーを投稿し、仙頭は「やっとアシストできた。ナイスシュート」というメッセージを、京都橘時代の二人の写真に添えた。小屋松は京都での二人の写真に「やっと啓矢くんとのコンビで点取れた! 嬉しかった笑。ナイスボール!笑」と記している。2012年度の全国高校選手権で“京都橘旋風”を巻き起こしたチームにおいて『仙頭が出して、小屋松が決める』は大きな得点源だった。二人が高校卒業後に一度は離れた京都の地で、再びチームメイトとなったのが昨年。そして仙頭のアシストから小屋松がゴールを決めたのは、熊本戦が初めてだった。6年ぶりに開通したホットライン。それを最も喜んでいるのは、他ならぬ本人たちなのかもしれない。

文=雨堤俊祐

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