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【ライターコラムfromG大阪】「強いガンバ」を取り戻せ! “正念場”迎えるチームに頼れる男・今野泰幸が復帰

2018.09.21

戦列復帰を果たした今野泰幸 [写真]=J.LEAGUE

 長らく右足首の痛みに悩まされていた今野泰幸が戦列復帰を果たしたのは、8月26日に行われたJ3第20節ガンバ大阪U-23対Y.S.C.C横浜戦のこと。5月12日のJ1第14節・横浜F・マリノス戦以来、約3カ月半ぶりにピッチに立つと、開始わずか3分で公式戦今季初となるゴールを叩き込む。しかも同試合で53分間にわたりプレーした翌週には、待望のJ1のピッチへ――。J1第25節・川崎フロンターレ戦では今季2度目のフル出場を果たし、チームが待ち望んでいた4試合ぶりの白星に貢献した。

「後半が始まってからは痛みを感じながらも、とにかく70分まで頑張ろう、80分まで頑張ろうと思ってチラチラと時計を見ていました。ただ80分を過ぎてからは時計を見ることもなくなって、気がついたら試合が終わっていた。正直プレー自体は探り探りで、まだまだうまくいかないなと感じる部分はありましたが、最後のところで相手にやらせないということはみんなとも声を掛け合いながらやれていたんじゃないかと思います。U-23の試合でゴールを決めて、今日の試合では完封勝利をできて……。僕、持っているみたいです(笑)。ただもっとガンバに貢献できると自分では思っているので、それをこれからの試合で示していきたい」


 久しぶりのJ1のピッチ、そして完封勝利という理想的な結果を受け、長きにわたって抱えていた右足首への不安が少し払拭されたのだろう。久しぶりに晴れやかな笑顔を見せた今野。さらに翌節、敵地で行われたヴィッセル神戸戦では前半3バックの一角を担うと、4バックにシステムを変えた後半はボランチでプレーし、83分で途中交代となるまで攻守に存在感を光らせる。結果、チームは今季1度も勝てていなかったアウェイでの初勝利挙げ、今季2度目の連勝を飾る。ビハインドを負った展開からの逆転勝利も今季初めてのことだった。

「前半は僕自身も3バックの戦いに慣れていなかったし、縦ズレ、横ズレも激しくチームとしても難しい戦いになってしまった。ただ後半、システムを変更して僕もボランチに戻ってからは落ち着いてプレーできた。ここにきてようやく連勝ができて、チームとしても僕自身も少しずつ自信を掴みつつありますが、個人的なコンディションも、またチームへの貢献度という意味でも、もっとやれるという自信がある。これからが正念場だと思っています」

「正念場」と語るのは言うまでもなく、チームが残留争いに巻き込まれている事実への危機感からだ。直近の2試合では、連勝を飾ったガンバだが順位は17位。依然、自動降格圏を脱し切れてはおらず、クラブ史上2度目のJ2降格の危機にさらされている状況も変わっていない。

 しかも1度目のJ2降格となった12年は今野がガンバに移籍した年。あの時の悔しさは今も胸に刻まれているだけに、改めて「正念場」への思い、そこを勝ち抜くためにやるべきことを言葉に変える。

今野泰幸

2012年、G大阪に移籍するも無念のJ2降格 [写真]=J.LEAGUE

「残り試合では『割り切り』も大事だと思っています。例えば、前節の神戸戦の前半は、全くシステムがハマっていなかったにも関わらず、つなごうとしていた。本来、ああいう流れでは、蹴ってもいいと思うんです。相手のプレッシャーが厳しくてつなげないのなら、馬鹿正直にサッカーをするのはやめて、蹴って、押し上げてコンパクトに陣形を整えて、セカンドボールを拾ってしぶとく戦うことを考えればいい。実際にツネさんもつなぐことだけに拘ってやっているわけじゃないですしね。そういう柔軟さや判断力が今のガンバに欠けている部分というか。自分たちの立ち位置を考えればこそ、展開に応じて、もっと一人ひとりが頭を使って、ずる賢く勝ち点を拾うことを考えるべきだと思う。そうやって現実的に泥臭く戦うことが、この先『強いガンバ』を取り戻すために必要だと僕は思っています」
 
 残り8試合となったJ1で“残留”を勝ち取るために、泥臭く、しぶとく――。その積み重ねの先にしか、残留はないと考えるからこそ、今野はこの先の1戦1戦を勝つことだけに執念を燃やして戦い抜く。

文=高村美砂

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