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【ライターコラムfrom柏】還ってきた“背番号4”…苦しむチームの再建は鈴木大輔に託された!

2018.09.14

柏に復帰した鈴木大輔が現在15位に沈むチームにもたらすものとは [写真]=Jリーグ

 9月9日、鈴木大輔が3年ぶりに柏レイソルに復帰するというビッグニュースが飛び込んできた。

「こっちに戻ってくる前に、他の選手とは連絡を取っていなかったので、みんな驚いていた」


鈴木自身が加入会見でそう語ったように、3年前まで一緒にプレーした柏の選手たちも事前に移籍を知らされていなかったため、ファン、サポーター、メディアのみならず、柏のチームにとってもサプライズの加入となった。

 このタイミングでの柏復帰を、鈴木は次のように説明する。

「ヒムナスティック・タラゴナからの契約更新のオファーを断らせてもらい、自分がフリーになって、今の自分にはどのような可能性があるのか、それをすべて見たかった。スペイン1部を狙っていたがなかなか移籍先が決まらないというのもあり、いくつかのクラブとコンタクトを取っていた中で、最終的に自分にとって特別なクラブであるレイソルに決めた」

 第25節終了時点で総失点がリーグワーストの4位と守備面に問題を抱え、現在15位に沈む柏にとって、守備の立て直しを図るにはこれ以上ない補強である。

「外の世界を見て学んだことはあるが、特別うまくなったとか、大きく変わった部分はない」

「自分が入ったからボールがもっと動くとか、失点が急激に減るということはないと思う」

 加入時の会見で、自分が加わることでチームにもたらす変化を問われ、謙遜気味に語った鈴木。だが、大谷秀和と栗澤僚一、かつて鈴木とともにプレーをした2人のベテランは、客観的な視点で加入の好影響を語る。

「大輔のキャラクターは間違いなくチームにポジティブな空気をもたらす。年齢的にも中堅がいなかったから、あいつにはリーダーシップを取ってもらいたい。ポジティブな性格だけどチームを締めるところは締められる。海外でやってきた激しさも知っているから、タフな部分をチームに還元してくれたらいいと思う」(大谷)

「大輔は厳しさを持っているし、やられてはいけないところ、チームを締めなければいけないところをわかっている。後ろでどっしり構えられる選手だし、チームに安心感をもたらすと思う。こういう順位だけど大輔に期待するものは大きい」(栗澤)

鈴木大輔は加入会見で3年ぶりに柏のユニフォームに袖を通した [写真]=鈴木潤

 今季の柏が不安定な戦いを繰り返す原因の一つ、それはメンタリティーにある。相手チームに先制を許すと目に見えて意気消沈し、悪い流れを立て直せずにそのまま敗れるケースが今季は非常に多い。特に大谷、栗澤、細貝萌、鎌田次郎ら、リーダーシップを取れるベテランがピッチにいないときには、そのウィークポイントが顕著に表れてしまう。

 鈴木は日本代表に推挙する声も上がるほどの実力の持ち主だ。対人と空中戦で強さを発揮し、柏の守備の安定と失点の減少にも貢献してくれるだろう。ただ、それ以上に彼が後方でリーダーシップを取り、味方を鼓舞することで、チームが苦しい状況に陥ったときには盛り返すパワーを与え、さらに破綻の糸口が見えればコーチングや指示によって迅速に修正する。柏が現状を打破するためにも、鈴木のリーダーシップは大いに期待される部分だ。

 鈴木も、スペインの経験でもっとも成長した部分は技術面ではなくメンタル面だと話している。それを踏まえ、チームを「引っ張っていきたい」と強い意気込みを口にした。

「経験を伝えたり、自分のキャラクターを前面に押し出したりして、チームの勝ちの可能性を上げることは確実にできると思う。海外でやってきてメンタル的な部分は鍛えられた。チームには若い選手が多いけど、何か引っ掛かりを感じながらプレーをしている人がいれば、そういうのを少しは解せると思う」

背番号は慣れ親しんだ“4”に決定(写真は2015年撮影) [写真]=Jリーグ

 加入からわずか数日だが、すでにトレーニングでは彼らしさを発揮し、存在感を放っている。もちろんサッカーは1人の力だけでは勝てないが、鈴木大輔という選手が現在の柏に欠けていたピースであることは間違いない。

 与えられた背番号は慣れ親しんだ“4”に決まった。ネルシーニョ監督時代のタイトル獲得を知るディフェンスリーダーが、もがき苦しむチームを救う。

文=鈴木潤

By 鈴木潤

『柏フットボールジャーナル』などで執筆するフリーライター。柏レイソルを中心に、ラグビーなども取材。

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