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【ライターコラムfrom磐田】総力戦を乗り越えて勢いを取り戻した磐田、残り10試合でラストスパートへ

2018.08.31

今夏加入した大久保嘉人 [写真]=Getty Images

 ジュビロ磐田が総力戦を制した。19日の第23節柏レイソル戦。19試合ぶりに先発したMF松本昌也が6分に先制点を挙げる。大分トリニータから移籍して2年目での磐田初得点、「ポジションは右サイドだったけど、先制点が欲しい試合だったので、中へ切り込む動きは意識していた」。大分でJ1、J2、J3を経験。磐田では中盤の複数のポジションでプレーできることを目指し、出場機会を増やしていった苦労人のゴールで、チームは勢いを取り戻した。

 4日前の第22節浦和レッズ戦。昨季34試合30失点とJ1最少失点を記録した堅守を今季もベースにしてきた磐田が、まさかの大敗を喫した。4失点は2年ぶりのこと。翌日のオフを経て、再開した17日の練習で名波浩監督は厳しい口調で「ネガティブな気持ちで練習に取り組むな。戦術や技術ではなく、そうしたところから見直そう」と短期間でチームを立て直すため、精神面を充実させた。「明るい雰囲気で練習をやれたことが、柏戦の勝利につながった」と松本は振り返った。


櫻内渚

アウェイでの浦和戦はまさかの4失点 [写真]=Getty Images

 ホームのヤマハスタジアムでの一戦とはいえ、柏戦は勝てる要素が乏しすぎた。主力7人がケガで欠場することに加え、2月25日の川崎フロンターレとの開幕戦を除き、先発出場を続けていたMF田口泰士が出場停止。ボランチは田口のほか、宮崎智彦、山本康裕がケガとあって、攻撃を引っ張っていたMF山田大記を一列下げるしかなかった。

 その山田がボールを奪ってからのスルーパスで松本の先制点をアシスト。13分には元日本代表FW大久保嘉人がJリーグ通算200得点となる移籍後初ゴールを決めた。2-0の85分には、新人の伊藤洋輝が初めてJ1のピッチに立ち、相手の反撃を抑えて無失点勝利に貢献。チームが再び勢いを取り戻すには、これ以上ないキャストの活躍で3試合ぶりの勝ち点3を手にした。

 3月にMFアダイウトン、MFムサエフの助っ人2人がケガで今季の出場が絶望的になるなど、負傷者続出の流れに歯止めがかからず、苦しい状況が続いている。DFギレルメは5月に相手への暴力行為で契約解除になるなど、予期せぬ出来事もあった。外国人でピッチに立つのはGKカミンスキーだけ。11日のヴィッセル神戸戦は元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキのW杯優勝経験者2人をはじめ、6人の外国人がメンバー入りした相手に完全な力負けだった。

 磐田は29日、トルコ代表経験がある左サイドバック、エレンの獲得を発表。「欧州クラブからのオファーもあったが、日本の温かい文化が自分に合っていると思った。チームを向上させたい」と抱負を語ったエレンのまじめな性格は、チームにフィットする時間を短縮させそうだ。6月に右足首を手術した元日本代表MF中村俊輔も9月1日の次節、名古屋グランパス戦から戻ってくる。ここまで8勝8分け8敗の勝ち点32で10位。目標の5位以内に向けてまずまずの位置につけるなど、なんとか人をやりくりし、堪え忍んできた磐田は、残り10試合でラストスパートをかけることができるか。

文=岩田大五

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