2018.08.29

森保ジャパン招集なるか? Jリーグで存在感示す「A代表未経験選手」5選

森保ジャパン入りが期待される代表未経験の5人を紹介 [写真]=J.LEAGUE
スポーツ報道を主戦場とするノンフィクションライター。

 ロシア・ワールドカップの閉幕から1カ月半、森保一監督率いる新生日本代表がついに始動する。30日には9月の国際親善試合(7日・チリ戦、11日・コスタリカ戦)に向けた招集メンバーが発表されるが、気になるのはその顔ぶれ。指揮官の交代によって、これまで“海外組”偏重だったチーム構成にも変化が見られるかもしれない。これまで代表と縁遠かった“国内組”にとっては大きなチャンス。今季のJリーグで存在感を示している選手の中から森保ジャパン入りが期待される代表未経験の5人を紹介する。

■都倉 賢

[写真]=Getty Images


▶北海道コンサドーレ札幌/FW
▶1986年6月16日(32歳)187cm・80kg
▶今季成績 J1リーグ:20試合・10得点/ルヴァンカップ:2試合・0得点/天皇杯:2試合・2得点

 本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)や長友佑都(ガラタサライ)と同じ1986年生まれの都倉は今年6月で32歳になった。ベテランと呼ばれて久しいが、その時点で最も調子のいい選手が入る、というA代表の原理原則に則れば相応しい選手の一人と言っていい。
 25日の清水エスパルス戦で今シーズン2度目となる3試合連続ゴールをマーク。得点数を自身初となる2桁に乗せ、10試合を残して自己最多だった昨シーズンの9ゴールを更新した。10得点すべてを後半、そのうち4つをアディショナルタイムに決めるなど、無類の勝負強さも発揮している。
 187cm、80kgの恵まれたボディに搭載された規格外のパワーと、利き足の左足から放たれる強烈なシュートは定評があったが、いまひとつ殻を破れなかった。しかし、通算4チーム目にして最も長く在籍する札幌への愛着と、今シーズンに果たした出会いが都倉を内面から変え、試合を重ねるごとに遅咲きの開花が導かれつつある。
「今までのパラダイムシフトじゃないですけど、革新的というか、無知の知というか。まったく知らなかったことを新たに知ること、刺激を受けることで成長の第一歩になっている」
 今シーズンから指揮を執るミハイロ・ペトロヴィッチ監督が掲げる攻撃的なサッカーの下で、札幌は4位とACL出場権獲得も狙える位置につけている。都倉自身も「僕の肌感覚では35歳、36歳までは問題なく成長できる」と触発されながら、右肩上がりの軌跡を描き続けている。

■前田 直輝

[写真]=N.G.E


▶名古屋グランパス/MF
▶1994年11月17日(23歳)175cm・66kg
▶今季成績 J1リーグ:7試合・3得点/J2リーグ:16試合・3得点/天皇杯:2試合・0得点
※J2と天皇杯は松本山雅FCでの成績

 今夏にJ2の松本山雅FCから完全移籍で加入した名古屋グランパスで、右サイドハーフのポジションをゲット。6連勝中のチームで3ゴールをマークし、最下位から中位に進出しつつあるチームをけん引する一人になっている。
 東京ヴェルディの下部組織で小学生時代から磨いてきた、繊細かつ大胆なボールタッチを駆使した高速ドリブル。利き足の左足から放つ強烈なシュート力に、松本山雅へ期限付き移籍した2015シーズンにハードワークと球際の強さを上乗せした。
 今シーズンも指揮を執る松本山雅の反町康治監督は、当時21歳の前田に皮肉を込めて「ウルトラマン」というニックネームをつけた。
「試合の流れから消えている時間が多いから、すぐにカラータイマーが鳴るという意味を込めてね」
 もっとも、当時の陣容を見ながら、日本代表に入れる潜在能力をもつ選手として前田の名前を挙げている。横浜F・マリノスを経て、3年ぶりに松本山雅へ復帰した今シーズン。反町監督の指導を受ける日々は半年間で終わりを告げ、不振からの脱却を目指す名古屋の起爆剤になってほしい、という期待を背負って新天地へ旅立った。
 得点ランキング2位のジョー、魔法使いガブリエル・シャビエルらハイレベルの攻撃陣に触発され、さらに反町監督のもとであらためて思い出した、攻守両面で試合に関与し続けることを実践しながら、前田はピンチのときに地上に舞い降りる、本当の意味での「ウルトラマン」になろうとしている。

■柏 好文

[写真]=J.LEAGUE


▶サンフレッチェ広島/MF
▶1987年7月28日(31歳)168cm・62kg
▶今季成績 J1リーグ:24試合・3得点/ルヴァンカップ:2試合・0得点/天皇杯:2試合・0得点

 なぜA代表に無縁なのか、とファンやサポーターが首を傾げる選手は少なくない。開幕から首位を快走するサンフレッチェ広島で、不動の左サイドハーフを担う柏好文もその一人となるだろう。
 今シーズンだけではない。ヴァンフォーレ甲府で2年目を迎えた2011シーズンからリーグ戦でコンスタントに出場した柏は、2014シーズンから森保一監督が率いる広島へ完全移籍。翌2015シーズンには左ウイングバックとして、3度目のJ1制覇に大きく貢献した。
 3年半指導を受けた森保監督が、五輪代表監督とA代表監督を兼任することが決まった。左サイドから積極的に仕掛けるドリブル、無尽蔵のスタミナ、球際の激しい攻防を厭わないハードワークをさらにスケールアップさせた柏は、「狙っていきたいですね」と初の代表入りへ意欲を見せる。
「森保さんの下でウイングバックとしてプレーしていますし、そこは自分の強みを出せるポジションだと思っています。今シーズンに関しては異なるポジションで攻撃を担い、ここまで首位に立っている自負もあるので」
 森保監督の下でアジア競技大会を戦う、U‐21日本代表が採る[3‐6‐1]の左ウイングバック。
そして、オーソドックスな[4‐4‐2]の左サイドハーフをハイクオリティーでこなす自信を抱きながら、31歳になったばかりのドリブラーは「チームの結果と自分の結果が、どのように評価されるかが本当に楽しみです」と30日の新生日本代表発表を心待ちにしている。

■天野 純

[写真]=J.LEAGUE


▶横浜F・マリノス/MF
▶1991年7月19日(27歳)175cm・64kg
▶今季成績 J1リーグ:23試合・3得点/ルヴァンカップ:3試合・1得点/天皇杯:2試合・0得点

 日本代表に「空白期間」が生じて久しい。日産スタジアムにガーナ代表を迎えた2013年9月10日のキリンチャレンジカップ。64分にMF遠藤保仁(ガンバ大阪)が決めた一撃を最後に、直接FKによるゴールが5年近くも生まれていない。
 フランス代表の優勝で幕を閉じたワールドカップ・ロシア大会では、直接FKを含めたセットプレーの重要性が再確認された。そして、新たに船出する森保ジャパンで、セットプレーのキッカーを担うのに相応しい精度を左足に宿しているのが横浜F・マリノスのMF天野純だ。
今シーズンの2発を含めて、J1で決めた8ゴールのうち3つを直接FKからゲット。CKも含めてマリノスの攻撃を差配している天野はレフティーの偉大なる先輩として、順天堂大学から加入した2014シーズンから中村俊輔の背中を追い続けてきた。
 俊輔のジュビロ磐田移籍に伴い、昨シーズンの途中にボランチからトップ下にポジションを移した。レジェンドと比較されることを覚悟の上で、天野は「自分はトップ下の選手だと思っている」と自負を込めて精進を重ねてきた。
「キック以外のプレーの質も高めていかないと、絶対に入れない場所だと思うので。コツコツとやっていきます」
 ユニバーシアード代表を除けば、年代別の代表を含めて日の丸に無縁だった天野は自らの現在地を謙虚に受け止める。それでも、今現在はシャドーを務める175cm、64kgの体には走行距離で常にチームの上位に入る、豊富なスタミナも力強く脈打っている。

■大﨑 玲央

[写真]=J.LEAGUE


▶ヴィッセル神戸/DF
▶1991年8月7日(27歳)187cm・82kg
▶今季成績 J1リーグ:7試合・0得点/J2リーグ:17試合・0得点/天皇杯:1試合・0得点
※J2は徳島ヴォルティスでの成績

 J1に記したキャリアはまだ7試合しかない。それでもスケールの大きさと高い潜在能力を感じさせるのが、今夏にJ2の徳島ヴォルティスからヴィッセル神戸へ加入したDF大崎玲央だ。
 両親の仕事の都合で幼少期の10年ほどをハワイで暮らし、ホノルルのクラブチームでサッカーを始めた大崎は、アメリカ合衆国の永住権グリーンカードを所持する稀有なJリーガーでもある。
 帰国後は横浜F・マリノス及び横浜FCの下部組織で心技体を磨き、桐蔭横浜大学卒業後には再び渡米。アメリカの2部チームでプレーし、2016シーズンに古巣の横浜FC、2017シーズンからはJ1昇格プレーオフ進出へあと一歩と迫った徳島と着実にステップアップしてきた。
 今シーズンは副キャプテンを務めていたが、目標としてきたJ1クラブからのオファーが届いたことで、熟慮した末に移籍を決断。新天地でデビューした7月28日の柏レイソル戦から、7試合連続で先発フル出場を続けている。
 187cm、82kgとサイズに恵まれているだけではない。空中戦を含めて対人守備で強さを発揮し、足元の技術も高い。今月19日の湘南ベルマーレ戦ではチーム事情からアンカーに入り、練習1回だけというぶっつけ本番ながら、攻守のリンク役をそつなく務め上げた。
 高さと強さ、そしてビルドアップに携われる上手さを兼ね備えたセンターバックの育成は急務。可能性を秘めた27歳は流暢な英語を操りながら、6人の外国籍選手を擁する神戸における存在感を日に日に高めている。

文=藤江直人

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