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【ライターコラムfrom横浜FM】先発起用に一発回答! 久保建英が新天地で確かな一歩を踏み出す

2018.08.27

26日の神戸戦で待望のJ1初ゴールを挙げた久保 [写真]=J.LEAGUE

 久保建英に迷いや躊躇は一切見られなかった。J1第24節・ヴィッセル神戸戦の56分、松原健からのグラウンダーの折り返しを冷静に止めると、少し浮いたボールの落ち際をシャープに叩いてゴールネットを揺らした。リーグ戦初先発で待望のJ1初ゴール。アンジェ・ポステコグルー監督の期待に一発回答で応えた。

「決めたら監督のところに行こうと決めていた」。ゴールを決めると、試合中さながらのスプリントでベンチ前の指揮官の下へ駆け寄って熱い抱擁を交わし、全身で先発起用への感謝を表した。


 簡単な決断ではなかったシーズン途中での移籍、だからこそシンプルに結果が欲しかった。移籍会見では「プレッシャーがないとサッカー選手として危機感を持ってやれないと思う。プレッシャーを感じながら、それをプラスにするかマイナスにするかは自分次第」と強気に言い放ったが、一方でゴール後には「新たな決断をして、結果が出なければ『ダメじゃん』と言われるのは明らかだった」とも吐露している。

 移籍決定からまだ10日余りだが、注目度の高さに応えるには結果を出すしかない。天皇杯4回戦から中3日という連戦の影響もあったのか、本来のキレは鳴りを潜め、前半はらしくないボールロストも見られた。それでも、たった一度のシュートチャンスをゴールに結びつけるのだから、やはり只者ではない。本人は「ビギナーズラックにならないように」とおどけてみせたが、決して難易度の低くないプレーを本能的にやってのけるあたりが才能の証だろう。

 結果を必要としていたのはチームも同じだ。これまでは内容やパフォーマンスに重きを置いていたが、気がつけばシーズンの3分の2を終えて降格圏がすぐそこに迫っている。現状を打破するための特効薬として「内容よりも結果」になるのは仕方がないこと。今回の決勝弾は、久保が置かれている状況とチーム状況がリンクしたからこそ生まれたゴールとも言える。

 神戸戦での活躍によって注目度は増し、期待値はさらに高まっていく。結果を求め続けられるのがプロの宿命ではあるが、そのプレッシャーに押し潰された選手は過去に数えきれないほどいる。久保にとっての本当の戦いはこれから始まる。

 鮮烈なインパクトとともに存在感とスター性を示したのは間違いない。同時に移籍の決断が間違っていなかったことも証明した。これからもプロサッカー選手として、自身の力で道を切り拓いていく。神戸の地で記した足跡はその一歩目にすぎない。

文=藤井雅彦

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