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【ライターコラムfrom水戸】“エースの才能”が花開く…伊藤涼太郎が導き出した「成功のルーティン」とは?

2018.08.23

エースとしての地位を築いた伊藤涼太郎 [写真]=J.LEAGUE

 明治安田生命J2リーグ第29節のジェフユナイテッド・千葉戦、水戸ホーリーホックの勝利を引き寄せたのは伊藤涼太郎の一撃だった。90分、ロングスローのこぼれ球をペナルティエリア前で拾った伊藤は胸トラップから素早く右足を一閃。地を這うような鋭い弾道はゴール左隅に突き刺さった。チーム最多の8得点目を決めた涼太郎。まさに“エース”としての働きを見せた瞬間だった。

 しかし、ここまでの道のりは決して順風満帆ではない。シーズン序盤は出場機会に恵まれず、同期の黒川淳史や岸本武流の活躍をベンチから見守る日々が続いた。「同期の2人が活躍していたのは、正直なところめちゃくちゃ悔しかったです。前半戦は本当に苦しいところからスタートしました」と伊藤は振り返る。


 ただ、下を向いていたわけではなかった。自分を変えるために地道な努力を継続していた。「一番変えたのはサッカー外のところ。食事だったり、睡眠時間だったり、生活習慣を大きく変えました」と伊藤は説明する。

 特に食事面に関しては「クラブの協力も大きい」と話す。開幕前にはクラブが希望者を対象としたアレルギーチェックを実施。そこで判明した体質に合わない食材を食べないようにした。また、クラブは定期的に栄養士を招いて講義を行っており、その内容をもとにした食事を摂ることを心掛けた。すると、みるみる体脂肪が落ち、体のキレが増していく。

 そして、開幕直後から習慣としている練習後のスイミングも「大きな変化につながっている」と伊藤涼は語る。「プールは体力を使うので、心肺機能を高められますし、体重も落とすことができる。同時に肩などの筋力をつけられるし、三半規管も鍛えられる。非常にいい効果が出ていると思います」。練習後に1キロを泳ぐことを自らに課し、継続したことによって「自分の体が変わっていくのが分かるようになりました」と手ごたえを口にする。

 類まれな才能の開花の裏には、ピッチ外での地道な努力が隠されていた。しかし、「現状で満足してはいない」と険しい表情を見せる。「このチームはもっと上位に行けるし、『6位以内』に入れる力がある。そのためにも、自分がチームを引っ張り、攻撃を引っ張っていきたいと思っています。自分のゴールで勝つ試合をもっと増やしていきたい」。そう語る伊藤涼からはエースの風格があふれ出ていた。

 いい生活習慣がいいプレーを生み出す。成功のルーティンをつかんだ伊藤涼。その才能はこれからさらに輝きを放つに違いない。

文=佐藤拓也

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